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やってやれるか!!

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そういえば、王宮で働き出したばかりの時王太子を一度見たことがある。ずるそうな目つきだった。

あの署名をした日もにやにや笑っていた。馬鹿な平民を騙せて喜んでいたのだろう。

機会があれば、あの金髪をむしり取ってやりたい。

指を強くするポーションの材料はなにがいいのだろうか?調べて準備しておこう。


さて、今日は給料日、いくら貰えるのかなと経理課へ明細を貰いに行った。


いつもの明細の他に封筒があった。宛名は間違いなく自分だが、知らないお店からだ。

『マダム・ボーテメルバ』ってなんでしょう・・・・・!!!??


請求書、ドレス三枚。給料二年分

驚きすぎて冷静になった。あの公爵は自分の愛人にドレスを買って請求書をこちらにまわした。

落ち着け、落ち着け・・・・

今じゃない。声をダミ声にして罵倒する言葉を豊富にして出直そう・・・・・


わたしは王宮図書館に急いだ。そして必要な薬草を見つけた。



『やったれ草』わたしはそれを求めて地下の倉庫をやって来た。普段わたしが使う薬草じゃないから褒められた行為じゃないけど、目には目よ。そう居直ってわたしはそれを一本もらって部屋に戻った。

いつもの仕事が終えると声が太く、口が悪くなる薬を作ってみた。

思ったより早く、思ったより量ができた。

雑貨屋さんで買ってきた瓶五本にいれてもまだ、余る。余った分をカップにいれて飲んだ。



必要な書類が揃っているのを確認すると、胸クソわりい部屋をおん出た。

人事課に行って退職届けを出した。

「退職ですか?王宮薬師をやめるってどういう事ですか?」

「てめえに言う必要があるか?この人買いが!とっとと受け取れ」

「いえ、人買いってあなたどうして・・・」

「食ってけねえからだろ、わかってるくせに 盗人猛々しい・・・・」

「食ってけねぇって」

「これを見ろ。これが手取りだ・・・・ガキのおやつにもならねぇ・・・おまえらが人買いしてる証拠だろ・・・」

「人買いって・・・・」

「この金の行くさきゃぁ公爵んとこだよ」

「王命で売り飛ばしやがって・・・・ 性質たち悪すぎるだろ・・・・おまえも仲間だろ」

「王命ってどういうことですか?」

「とぼけやがって・・・いいか、給料をとりあげるだけってぇたちわりいけど・・・・この請求書を見な」

「マダム・ボーテメルバ。これって貴族御用達のお店じゃない、どうしてあなたに請求が?」

「われの亭主が妾にドレス買ってやってこっちに請求回しやがったからだろうが・・・・わからないのか?人を奴隷に売りやがって・・・・稼ぎはみんなこいつらが吸い上げてるのさ・・・」

「吸い上げてるって?」

「だからこいつはこのくそ公爵は亭主だよ・・・・一度あったきりの亭主だよ・・・・王命で結婚させやがって・・・・金取るための結婚だよ・・・・おまえらもぐるだろう・・・・田舎出のまぬけを見つけて売り飛ばしてんだろうが」

「王命?公爵にそんな・・・首が飛ぶわよ」

「飛ぶだと?あぁ飛ばしてもらおうじゃないか」

「思い切り飛んでやるからな・・・飛びながら人買いへのうらみを」

「やめなさい、首が飛ぶ」

「だから飛ばせって・・・・飛んでもしゃべる薬作って王都中を飛びながら、三日三晩うらみつらみを訴えてやる・・・・いいか飯が食えねぇ日もあるんだぞ・・・・くそくらえだ・・・・ぬくぬく三食食ってほっぺと腹に肉貯蔵しやがって、王命だとよ・・・公爵がなんでぇ」


そういうとティーナは退職届けと離婚届を置くと

「あぁあのくそ公爵に言ってくれ、奴隷はこりごりだとな、妾のドレスくらぁてめぇで買えって、そうだこのマダムと王命で結婚すりぁ・・・・・ドレスはただでもらえますってお伝えください。それでは失礼します」


わたしは退職届けと離婚届を人事課の受付テーブルに置くとその場を離れた。

歩きながら、指輪を返し忘れたと思ったが、いまさらだからと引き返さなかった。


誰かが引き止めるかなと思ったけど誰も追ってこないし、城を出るときにたいした検査はない。わたしはせっかくだからと庶民的な宝石店にはいった。
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