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03 家を出られるのはちょっとうれしい

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「うちにはノエルと言う適任者がいましたわ。間違いなくノエルはレイフォード家の者。ちょうど、いいではありませんか。あちらも遠慮なく好きにできます。逆に喜ばれます」と言うことでおれが行くことになった。喜ばれるとは思わんが。

婚約の席ではフードを深くかぶって顔を隠し、性別を誤魔化すためにローブを羽織った。

この席をあちらの”花人”は、欠席した。署名された婚約契約書が届けられた。喧嘩のペナルティの結婚をあちらも喜んでいないと言うことだよな。

わたしはこれに署名をしてアンジェラ・マーチって言う女の婚約者になった。

確か公爵令息が相手と聞いていたが・・・あちらも交代したってことか?



そして、いよいよクラインベック王国へ出発する日になった。

二つ年下の弟のお古の服を着たわたしは、侯爵夫妻と弟のセドリック、妹のプリシラに見送られて馬車に乗り込んだ。

この家の嫡男シビルの尻拭いの結婚だよ。わかっているのか??

国を挙げての結婚じゃないのか?

わたしは、ぶつくさ言いながらも、それなりに馬車の旅を楽しんだ。

窓から見た景色は前世と似ている。魔獣もいるようだ。

わたしはこの魔獣ともよく戦った。ドラゴンと戦ったがあれは紙一重の戦いだった。

どうせならその時に死にたかった。親友と思っていた男に殺されるよりよっぽどいい。
いや、前世のことはどうでもいい、アンジェラさんってどんな人だろう。

縁あって結婚するんだ。仲良く出来るといいけど。わたしも優しくしよう。


馬車は王城に到着した。あっさりと入れた。出迎えなのか、三人、馬車に近づいて来た。

式が終わるまでフードとローブを着て、誤魔化せと言われていたがわたしはそれを着ないで馬車を降りた。いくらなんでも、いきなり殺されることはないだろうし。
わたしが降りたのを確認した馭者はこう言った。わたしでなく、三人に向かって言った。

「それではこれで、わたしの仕事は終わりです。戻ります」

「あぁご苦労」と返事が来た時には馬車は動き出していた。

「慌ただしいことで」「せっかちですね」「早すぎでしょう」「怖がりなのでは?」「ケルですからね」

そこで彼らは大笑いをした。

そして、おもむろにわたしを見ると

「あなたもご苦労様。予定が変わったんだ。すぐに婚姻して欲しい。神官が待機している。すぐに行こう」とわたしは三人に取り囲まれた。

思った通り相手がアンジェラ嬢なのだから、男のわたしでもとりあえずは大丈夫だった。でも何故急ぐのか?

案内されたのは教会とかでなく、普通の部屋だった。そこに神官が待っていた。

「すぐに、来ます」と言われてもう一人の”花人”を待った。


☆彡☆彡☆彡☆彡

アンジェラと言う名前は女性につけられることが多い名前です。

アンジェラの両親は女の子が欲しくて、名前を用意してました。

男の子が生まれてもその名前をつけました。

アンジェラの通称はアンジェロ。ジェロです。
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