わたしの運命の相手は輪廻を超えて会いに来てくれた。忘れていたけど覚えていた。

朝山みどり

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09 レベッカの婚約

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公爵夫人目線

二人がお茶会から戻って来た。侍従はステラの手を取って馬車から降ろしたが、レベッカはもたもたして一人で降りて来た。

ほんとにこの娘は昔から・・・いえ昔は物覚えの良い素直な娘だった・・・本を読んでやっただけで自分で読めるようになり、ステラに読んでやっていた。魔法もいつのまにか使えるようになっていた。本当に判定の日を楽しみにしていたのに・・・

いや、我が家にあるまじき無能な娘だ。

ステラが「ただいま」と言いに部屋に来たが、様子がおかしい。

お茶会でなにがあったのか?学院の仲良しが招待されたはずだが。

あのレベッカはどうだったのだろう。陰気な態度で、さぞ場にそぐわなかっただろう。


今日、王城からわたくしたち二人に呼び出しがあった。

もしかしたら、ステラの婚姻の話かしらと、思っていたのだが、レベッカを第三王子に娶りたいと言う話だった。

「レベッカですか?ステラではなく?」と夫のウィリアムが思わず口にしていた。

うっかりにも程があるが、無理もない。

「そうだ。レベッカだ」

「公爵家と王家が久々に縁を繋ぐのもいいでしょ」と笑って言った。

確かに、飼い殺しのつもりのレベッカを引き取ってくれるならと思った。

国王の

「返事は両家で茶会でも開いて聞かせて貰おうか」の言葉でわたしたちは退出した。

城内ではうっかりしたことを言えない。馬車に急いだ。

レベッカを王子の婚約者にすることに意義はない。

そして、わたしは王子は多分、ステラに心惹かれるだろうと予想した。それならそれで入れ替えれば良い。そう思った。

屋敷に戻るとマダム・ボーテ・メルバを呼んでわたくしとステラとレベッカのドレスを注文した。

ステラは部屋に呼んで楽しく決めたがレベッカの分はお任せした。


顔合わせ 第三者目線

レベッカは不思議そうな顔で食堂に現れた。

一家四人は既に揃っていた。

「待たせるなんて何様なの」といきなりステラが言うとレベッカは

「申し訳ありません」と頭を下げた。

「よい、席につけ」と公爵が言うとレベッカは驚いた顔をして公爵夫人を見た。

夫人も
「座って」と席を示した。使用人は誰も動かなかった。

一瞬、レベッカの顔に笑みが浮かび、自分で椅子を引いて座った。

オードブルが運ばれて来た。綺麗に盛り付けられた野菜のマリネとサーモンだった。

レベッカは綺麗な所作でゆっくりと食べた。

ステラが口に入れようとしたサーモンがファークから落ちて膝に落ちた。

ステラがナプキンを取り替えて貰う時、レベッカは少し笑った。

スープ皿を下げる時、給仕していた侍従が皿をテーブルに落とした。

思いの外、大きな音が響いた。幸い皿は割れなかったが侍従は手の震えが止まらず他の者が交代した。

メイン料理をレベッカに給仕しようとした侍従は皿ごとレベッカの肩にかけた。

レベッカはその給仕を冷たく見やると一家を無表情で見た。そして肩に乗った肉と付け合せを手で取ってテーブルに置くと

「失礼します」と立ち上がった。部屋から出ようとドアに向かうとやっと声が出せるようになった公爵夫人が

「待ちなさい」と言った。

レベッカは立ち止まり夫人を見た。夫人は吃りながら

「まだ、食べ終わってないでしょ。すぐに新しい皿を用意させるわ」と言った。

「つまり、この気持ち悪い状態で食事を続けろと言うことでございますか?
どこまで嫌がらせをしたいのですか?」

とレベッカが言うと

「そう、そうよね。悪かったわ。着替えたいわよね」と夫人は答えたが、リチャードが
「嫌がらせとはなんだ?」とレベッカに向かって言った。

「給仕のものが皿のものを主家の者・・・失礼しました。わたしは家族ではありませんでしたね。食卓についている者にかけるなんて嫌がらせです。わざとしているのです。命令されているのです」と言った。

それから、一同を見渡して、薄く笑うと

「失礼します」と再度、言うとドアを念動で開けて出て行った。

リチャードはそれを見て「うん?」と思ったが、ステラが

「なに、あの態度」と言ったのに気を取られて忘れた。

「申し訳ありません、なぜか皿が急に動いて」と給仕が頭を下げるとステラが

「いいのよ、あれは無能なんだから、第一なんで今日はここに来たのかしら、家族でもないのに」と言った。

「黙りなさい、レベッカは家族ですよ。娘です」と夫人は言ったが、家族扱いしてなかったことは充分自覚していた。
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