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27 ハイタック王国へ フェルナンド目線
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ルークを早く手に入れたくて、ハイタック王国で神子に起こったことを話した。
俺の思惑通りにルークは動くと確信しているから出来ることだ。
ルークは途中で驚いた声を出したが、黙って最後まで聞いた。
そして
「教えて下さいましてありがとうございます。わたしは・・・助けに行くべきでしょうね」
と言った。
俺はルークの手を握って言った。
「行くべきとは思わない。だが、ルークに申し訳ないが行ってくれると助かる。この国としても助かる。
俺としても行ってルークが自由になれると嬉しい。ルークを心置きなく独占できる」
ルークは俺をじっとみて
「自由になれる?」と首を傾げた。
俺もじっとルークを見て
「そうだ。自由になれる。ルークを見ていて思う。行きたくなくてもルークは行くだろう。
行って賢明に働くだろう。嫌だと思うのは申し訳ないと思うだろう。
そんなルークを見たくない。ルークはもっと・・・もっと自分のことだけを考えればいいんだ。
だけどルークは慈悲深い、優しい。ルークはミツルギに囚われている。
逃げていいんだ。逃げる簡単な方法は、向かいあって殴りつける。これだ。殴るんだ」と言った。
そうだ。たとえ嫌いだいやだと言う感情でもルークのなかにミツルギやあの国の王子を入れて置きたくない。
だったら、殴りつけて追い出せばいいのだ。
ルークの目が潤んだ。
俺はわざと乱暴に言った。
「大丈夫だ、俺がそばにいるんだ。ルークは安心していい。だけど覚悟はして欲しい。
ルークを独占する。俺はルークは俺のものだと、全力で見せつける」
そしてルークを抱きしめて、その唇を塞いだ。
それからは早かった。ハイタック王国の神殿に連絡して、あっと言う間に意思が通じ合った。
身の危険を感じて逃げ出した神子を、神殿が総力をあげて保護。
その後、ハイタック王国の状況、ミツルギの怪我を知った神子の憂いを察した神殿が国に相談。
国は国益を度外視して親衛隊を結成しハイタック王国に赴く神子を守る。
見事な筋書きが出来た。
そして賭けに勝った俺は、俺だけがルークのそばにいる。
ハイタック王国の城に入った。俺たちは隊列を組んでなかに入った。
「王と謁見?冗談ですよね。神子様の治療が先でしょ?」
ルークの厳しい声がした。ルークがこんな言い方をするとは。
親衛隊長の騎士団長がわざとらしく声を張り上げ
「ルーク様、世俗のことはわたくしが引き受けます。ルーク様は御心のままに」と言った。
そこで俺が
「ありがたい、王のほうは頼む」と騎士団長に言った。
それから俺はルークに向かって
「多分、ミツルギ様はろくに世話もされていないのですよ。心配です。すぐに参りましょう」
と言った。
すると神殿のものが駆けつけて来た。
「オオヤナギ、来ましたね。」
わざと「様」をつけずに名前を呼んできた。
ルークは
「マイル神官」と呼んで頭を下げた。
「オオヤナギ・・・無事で良かった」とマイル神官はほんとうに安心したように言ったが、すぐに
「話はあとにしましょう。ミツルギ様の所へ案内します」と先に立った。
ルークはすぐに後に続いた。俺はルークを追いながら少しむっとしていた。
ルークが俺を置いてマイル神官について行ったから・・・俺は子供か!
マイル神官はある部屋のドアの前で
「こちらです」と言いながらノックした。
返事がない。バカ正直に待たずに入ればいいのに、さっさと済ませたいんだが。
もう一度ノックして少し待ってドアを開けた。
「役立たずが来たのか?」
そんな声に迎えられた。男が立っていた。男の顔半分は火傷で醜く引きつっていた。
男がルークを見た。それからこう言った。
「顔を返せ。おれを返せ」顔は怒りでより醜く歪んでいた。
ルークは黙って男の顔を凝視していたが、俺に向かってこう言った。
「フェルナンド。こいつを押さえて。治療する」
ルーク。そう、それでいい。そう来なくっちゃ。俺はそいつの後ろに回り込むと、腕をとらえた。片手で腕を捕らえて片手で髪を掴んだ。
「なにをする。痛い。やめろ」と喚いていたが、ルークはなにも言わずにそいつの傷に手を近づけた。
おもわず俺は
「ルーク。噛み付かれる」と言って髪をぐいっと引っ張った。
「そうしてくれると安心だ」と言いながら、治療を始めた。
「こんな所か」とルークが言った。
見ると火傷のあとは綺麗になっている。
「フェルナンド、押さえてて」の声とともに頬を打つ音がした。
ルークが俺をみた。
「殴った」と笑った。
俺は男を離すとルークを抱きしめた。
俺の思惑通りにルークは動くと確信しているから出来ることだ。
ルークは途中で驚いた声を出したが、黙って最後まで聞いた。
そして
「教えて下さいましてありがとうございます。わたしは・・・助けに行くべきでしょうね」
と言った。
俺はルークの手を握って言った。
「行くべきとは思わない。だが、ルークに申し訳ないが行ってくれると助かる。この国としても助かる。
俺としても行ってルークが自由になれると嬉しい。ルークを心置きなく独占できる」
ルークは俺をじっとみて
「自由になれる?」と首を傾げた。
俺もじっとルークを見て
「そうだ。自由になれる。ルークを見ていて思う。行きたくなくてもルークは行くだろう。
行って賢明に働くだろう。嫌だと思うのは申し訳ないと思うだろう。
そんなルークを見たくない。ルークはもっと・・・もっと自分のことだけを考えればいいんだ。
だけどルークは慈悲深い、優しい。ルークはミツルギに囚われている。
逃げていいんだ。逃げる簡単な方法は、向かいあって殴りつける。これだ。殴るんだ」と言った。
そうだ。たとえ嫌いだいやだと言う感情でもルークのなかにミツルギやあの国の王子を入れて置きたくない。
だったら、殴りつけて追い出せばいいのだ。
ルークの目が潤んだ。
俺はわざと乱暴に言った。
「大丈夫だ、俺がそばにいるんだ。ルークは安心していい。だけど覚悟はして欲しい。
ルークを独占する。俺はルークは俺のものだと、全力で見せつける」
そしてルークを抱きしめて、その唇を塞いだ。
それからは早かった。ハイタック王国の神殿に連絡して、あっと言う間に意思が通じ合った。
身の危険を感じて逃げ出した神子を、神殿が総力をあげて保護。
その後、ハイタック王国の状況、ミツルギの怪我を知った神子の憂いを察した神殿が国に相談。
国は国益を度外視して親衛隊を結成しハイタック王国に赴く神子を守る。
見事な筋書きが出来た。
そして賭けに勝った俺は、俺だけがルークのそばにいる。
ハイタック王国の城に入った。俺たちは隊列を組んでなかに入った。
「王と謁見?冗談ですよね。神子様の治療が先でしょ?」
ルークの厳しい声がした。ルークがこんな言い方をするとは。
親衛隊長の騎士団長がわざとらしく声を張り上げ
「ルーク様、世俗のことはわたくしが引き受けます。ルーク様は御心のままに」と言った。
そこで俺が
「ありがたい、王のほうは頼む」と騎士団長に言った。
それから俺はルークに向かって
「多分、ミツルギ様はろくに世話もされていないのですよ。心配です。すぐに参りましょう」
と言った。
すると神殿のものが駆けつけて来た。
「オオヤナギ、来ましたね。」
わざと「様」をつけずに名前を呼んできた。
ルークは
「マイル神官」と呼んで頭を下げた。
「オオヤナギ・・・無事で良かった」とマイル神官はほんとうに安心したように言ったが、すぐに
「話はあとにしましょう。ミツルギ様の所へ案内します」と先に立った。
ルークはすぐに後に続いた。俺はルークを追いながら少しむっとしていた。
ルークが俺を置いてマイル神官について行ったから・・・俺は子供か!
マイル神官はある部屋のドアの前で
「こちらです」と言いながらノックした。
返事がない。バカ正直に待たずに入ればいいのに、さっさと済ませたいんだが。
もう一度ノックして少し待ってドアを開けた。
「役立たずが来たのか?」
そんな声に迎えられた。男が立っていた。男の顔半分は火傷で醜く引きつっていた。
男がルークを見た。それからこう言った。
「顔を返せ。おれを返せ」顔は怒りでより醜く歪んでいた。
ルークは黙って男の顔を凝視していたが、俺に向かってこう言った。
「フェルナンド。こいつを押さえて。治療する」
ルーク。そう、それでいい。そう来なくっちゃ。俺はそいつの後ろに回り込むと、腕をとらえた。片手で腕を捕らえて片手で髪を掴んだ。
「なにをする。痛い。やめろ」と喚いていたが、ルークはなにも言わずにそいつの傷に手を近づけた。
おもわず俺は
「ルーク。噛み付かれる」と言って髪をぐいっと引っ張った。
「そうしてくれると安心だ」と言いながら、治療を始めた。
「こんな所か」とルークが言った。
見ると火傷のあとは綺麗になっている。
「フェルナンド、押さえてて」の声とともに頬を打つ音がした。
ルークが俺をみた。
「殴った」と笑った。
俺は男を離すとルークを抱きしめた。
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