神子の余分

朝山みどり

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21 にぎやかなパーティ

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ルークは、薬草を持ってギルドに戻ってきた。フェルナンドが別の町に行って、また一人で行動するようになった。

気が付くと、下を向いて歩く癖が戻って来ている。

ルークは前を歩く女性の、髪飾りに視線をやって意識して背を伸ばした。

薬草を売って帰ろうとした時、大剣を持ったハロルドのパーティがギルドに戻って来た。

「あぁルーク、久しぶり。ここで会えて良かった。明日一緒に狩りに行かないか?」と誘われた。

「僕は薬草を取りたいから」と答えると、

「もちろん、薬草を取ってもらっていいんだよ。俺たちも薬草の大切さに気づいたからな。たまには一緒に行こう。気分も変わるさ」とハロルドが言うと、

「そうだな。それもいいかな」とルークが言うと、

「そうだろ。そうだよ」とハロルドが、喜んで答えると、パーティの一行も、うなづきあった。

「それじゃ、明日よろしく」とルークが帰っていくと、

「「やった。良かった」」とリズとミリーが手を取り合って喜んだ。



そこに赤毛のケビンが戻って来た。

「どうしたんだ。美人がはしゃいでいるのは、いいもんだね」と声をかけた。

「聞いて、ケビン。明日、ルークと狩りに行くの。約束したのよ」と二人が言うと、ケビンはびくっとしたが、

「珍しいなルークが一緒に行くとは」とハロルドをちらっと見たが、リズを見ながら続けた。

「でしょ。誘ってみるもんよね。楽しみ」とリズが笑った。


ルークは、自分でも戸惑いながら、歩いていた。

何故?ハロルドの誘いを受けたんだろう。たまには、賑やかなのもいいと、あの時思ったんだろうな!


翌日、ルークは後悔しながら歩いていた。

「ルーク。今度はいつ休むの?」「え?そんなに休むの?」「休みの日はなにしてるんですかぁ」

リズとミリーはひっきりなしに、ルークに話しかけた。ルークは薬草をとるのは諦めた。


そんななか、異常な気配を感じた。ハロルドの背中にも緊張が走ったのをルークは感じた。

「静かにしろ。来るぞ」とハロルドが、言うとすぐにルークが、

「鎧熊・・・・・三頭・・・」と続けた。

「三頭・・・・わかるの?・・・馬鹿な」


すぐにその大きな体が、現れた。すぐにルークが前足を拘束した。

二頭目が、その体につまづいて倒れた。それも前足を拘束された。

三頭目はその様子を見て、その場に踏みとどまったが、後ろ足を拘束された。

大剣のハロルドと剣のローリーが、鎧熊に斬りかかった。

ルークが、足を更に拘束するように、回り込む。その時、やっと魔法の準備が出来たミリーが、投げたカッターが、ねらいをはずして、ローリーの右胸から右腕をかすめた。

それを横目で見ながら、ルークは三頭の両足の拘束に成功し、ハロルドがどうにか三頭を仕留めた。


ルークはローリーの傷を調べて、

「僕、少し治癒ができるんですよ。内緒にしてくれると言う条件で治療しますが」


「なに?何故秘密に?・・・・・内緒。もちろんだ」とハロルドが答え、

「いいか、誰にもしゃべるなよ」とハロルドが言うと

「もちろん」ミリーが答えた。

「おまえもだぞ、リズ」とハロルドが念を押すと、

「そんなのあたり前」とリズが答えた。



「ルーク、これだけの力があると王宮でも働けるのでは?」とミリーが言うと

「窮屈そうだから、いやなんだ。薬草を取っているのが一番だ」とルークが答え、

「そうだろよな。ルーク。だから内緒だぞ」とハロルドがパーティに釘を刺した。


鎧熊、三頭分は持って帰れず、肉は残していくことになった。

「しかたないね。でも魔石だけでも、たいしたもんだね」と言いながら、ギルドに戻った。



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