神子の余分

朝山みどり

文字の大きさ
上 下
17 / 31

16 ルークの護衛 フェルナンド目線

しおりを挟む
俺は図書館にやって来た。ルークは窓辺のテーブルで本を読んでいる。なにを読んでいるのだろう。俺は薬草の本を

パラパラと拾い読みしながら、ルークを見ていた。

やがて、ルークは本を片付けると出て行った。俺はルークが部屋をでるのを確認すると彼が片付けた本を見に行った。

この国の歴史書を読んでいた。一体何者だ。というより何故彼が気にかかるんだ。ただ、彼を逃してはならないと言う気がしてならないのだ。

こういう感は大事にしたほうがいい。何度もこれには助けられている。


翌日、ギルドでルークが別の男から誘われていた。だがルークは断り続け、ついにギルドの受付が割って入った。

「薬師ギルドから薬草の供給を頼まれています。ですのでルークさんにがんばって欲しいのです」

「だから今日は薬草を摘みに行きたいんだ」


「そうか、わかった」と言うと男のパーティはギルドを出て行った。

「今のはなんだ?」と俺は受付に聞くと

「ルークさんは魔法を使えるので誘う人が多くて・・・・・」

「君はいつもソロなのか?」とルークに聞くと

「はい」

「魔法士で一人は大変だろう」と言うと

「いえ、剣も使いますので大丈夫ですし、危ないところには行きません」とルークは俺に答えると

「では行ってきますね」と受付に挨拶をし俺に目礼をするとギルドを出て行った。

俺はその姿を目で追ってしまった。とあることを思いついた俺は薬師ギルドに向かった。

話をすると、とても喜ばれた。

俺はわざと二日程ギルドへ顔を出さないようにした。気持ちは焦ったが本屋で買ってきた薬草の本を読んで気をまぎらせた。


そして俺はわくわくしてギルドへ行った。


「フェルナンドさん、氏名依頼が入ってます」と受付から声をかけられた。

「氏名依頼?護衛?」

「えぇ護衛です」

「どこに行くの?」

「近くなんですけど」

にやにやしそう顔を必死で動かさないようにして、眉をあげて続きを促した。

「ルークさんの護衛です」

「薬草を取ってる人だったかな?ルークさんって」

「はい、質のいい薬草をとってくるので薬草ギルドからルークさんの薬草が欲しいと頼まれまして」

うなづいて先を促す。

「それで護衛をフェルナンドさんにお願いしたいと薬草ギルドから依頼が・・・・」

「それは近くの森の薬草でいいって事」と俺が言うと

「そうなんです。フェルナンドさんに頼むような事じゃないんですが」

「やってみる。いいポーションができるのは助かる。これからは特に」

「そうですね、ありがとうございます」と受付が答えた。ほっとしているのがわかる。

「それでルーク・・・・さんはどこに」と部屋を見回すと

「そろそろだと」

「待ってればいいのかな」と俺は受付から離れた。

しばらくするとルークが入って来た。とすぐに冒険者が近づいた。ひとりは赤毛でひとりは大剣を背負っていた。

ルークを挟んで二人が熱心に話している。ルークが少し後ろに下がると二人は前にでる。赤毛がルークの肩を抱いている。

俺はルークに近づいた。

「ルークさん」

俺の声に赤毛が振り向いて

「フェルナンドさん、おはようございます。ルークをパーティに誘っているんですよ」

俺はルークを見て

「ルークさん。・・・君の薬草採取の護衛依頼を受けた。よろしく」

「護衛ですか?」とルークが戸惑っている。

「あぁ薬師ギルドが君の護衛を依頼して来たんだ」

「護衛ですか?いらないですけど」とルークが冷たく答える。その冷たさ・・・・ちょっとこたえるぞ。

「あぁ俺もここをしばらく離れられないからちょうどいいんだ。邪魔しないから、我慢してくれ。ということだから、ルークさんは受付に」

俺はルークの肩を抱くと受付に連れて行った。

受付と話したルークはしぶしぶ俺の護衛を受けることにした。俺は邪魔しないといいながら、親しくなれば邪魔だと思わないはずだと信じて、全力で愛想よくした。





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完】僕の弟と僕の護衛騎士は、赤い糸で繋がっている

たまとら
BL
赤い糸が見えるキリルは、自分には糸が無いのでやさぐれ気味です

侯爵令息は婚約者の王太子を弟に奪われました。

克全
BL
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

双子は不吉と消された僕が、真の血統魔法の使い手でした‼

HIROTOYUKI
BL
 辺境の地で自然に囲まれて母と二人、裕福ではないが幸せに暮らしていたルフェル。森の中で倒れていた冒険者を助けたことで、魔法を使えることが判明して、王都にある魔法学園に無理矢理入学させられることに!貴族ばかりの生徒の中、平民ながら高い魔力を持つルフェルはいじめを受けながらも、卒業できれば母に楽をさせてあげられると信じて、辛い環境に耐え自分を磨いていた。そのような中、あまりにも理不尽な行いに魔力を暴走させたルフェルは、上級貴族の当主のみが使うことのできると言われる血統魔法を発現させ……。  カテゴリをBLに戻しました。まだ、その気配もありませんが……これから少しづつ匂わすべく頑張ります!

謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません

柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。 父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。 あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない? 前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。 そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。 「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」 今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。 「おはようミーシャ、今日も元気だね」 あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない? 義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け 9/2以降不定期更新

嘘つきの婚約破棄計画

はなげ
BL
好きな人がいるのに受との婚約を命じられた攻(騎士)×攻めにずっと片思いしている受(悪息) 攻が好きな人と結婚できるように婚約破棄しようと奮闘する受の話です。

使命を全うするために俺は死にます。

あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。 とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。 だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。 それが、みなに忘れられても_

魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます

オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。 魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。

悪役令息の死ぬ前に

ゆるり
BL
「あんたら全員最高の馬鹿だ」  ある日、高貴な血筋に生まれた公爵令息であるラインハルト・ニーチェ・デ・サヴォイアが突如として婚約者によって破棄されるという衝撃的な出来事が起こった。  彼が愛し、心から信じていた相手の裏切りに、しかもその新たな相手が自分の義弟だということに彼の心は深く傷ついた。  さらに冤罪をかけられたラインハルトは公爵家の自室に幽閉され、数日後、シーツで作った縄で首を吊っているのを発見された。  青年たちは、ラインハルトの遺体を抱きしめる男からその話を聞いた。その青年たちこそ、マークの元婚約者と義弟とその友人である。 「真実も分からないクセに分かった風になっているガキがいたからラインは死んだんだ」  男によって過去に戻された青年たちは「真実」を見つけられるのか。

処理中です...