50 / 56
44 責任者達
しおりを挟む
「揃ったから、始めようか。みんな見ていたと思うが、驚かされた」
「えぇ確かに。息子の披露の席で、あのような」と二人目が憤慨した声を出した。
「『あのような、素晴らしい虹を披露してくれてありがたい』といいたいんだよな」と三人目が言うと
「あのような、素晴らしい技を見せて貰った」と最初に発言した男が言った。
彼は続けて
「それにしても、素晴らしい。この世界の平和が惜しい。もっと殺伐としておれば」と言った。
その男に向かって
「陛下。冗談に聞こえませんよ」と宰相が言うと
「本気で言ってる。彼女のあの技は簡単に要人を暗殺出来る」と国王がため息混じりに言った。
「ですから、それは言ってはいけません」と宰相が首を振りながら言った。
「コリンの馬車だって、今は連結出来ますよ。悪路でも行ける。馬に関しても治癒できる厩務員が思ったよりたくさんいる。兵の移動が簡単で費用も抑えられる」と三人目の男、騎士団長が言った。
それを受けて四人目の男。ブルース隊長が
「確かにそうですね。空を飛ぶのも多分完成しますよ。人間、と言うか自分で乗って検証したがってます。禁止してますが、こっそりやるでしょう!
実用化されたら、上から攻撃できる」
「魔法士たちは、単純に生活の質を向上させる、便利な物を作ると思ってますから・・・」と騎士団長が言った。
「政治も頑張ってますからね。各国との関係はすこぶる良好」と宰相が言うと
「確かにそこはありがたいですね」と騎士団長が言った。
「厩務員のことを言っているが、ミシガン家で働いていた者たちか?」と国王が聞くと
「はい、報告書に書けないと思いまして・・・」と騎士団長が説明を始めた。
「あの家で雇われていたのは、その、どの家門でもそうでしょうが、代々働いています。
ミシガン本家から枝分かれして、平民になった者も、親や祖父母の縁で働いていましたので、ミシガンを名乗る者も多く・・・要はみんなどこか親戚ってことで、治癒を無意識にしているようです。
本人に自覚はないですし、はっきり言えませんが、どの馬もよく世話されてましたし・・・王宮の厩舎も彼らのやり方を取り入れようとしてます。
大事にしてますが、甘やかしてませんよ。今の所はまだ、馬の毛艶がよくなった位ですが・・・なんというか馬の筋肉もよくなったようです。
それで、提案なんですが、厩務員を育成する機関を作れないでしょうか?」
「機関。なるほど・・・いい馬は兵を助けるしな」と国王が言った。
それにたいして騎士団長はこう答えた。
「それもありますが、貴族に残れない者の受け皿になるかなと思いまして。騎士団に入れずに予備員で長くいるのも大変です、それなら厩務員になるのもいいのではないかと思いました」
「なるほど、家で肩身狭い者は王宮で働けばいいと」とブルース隊長は言った。
「一つ、決まった所で今月は終わりにしよう」国王が言うと
「細かい所は、ミシガン子爵にやらせましょう」と宰相が言った。
「頑張っているようだな」と国王が言うと
「はい、なんというか妙な迫力があります」と宰相が答えた。
「それでは、わたしは戻ります」とブルース隊長が立ち上がって出て行った。
「わたしも仕事をしないといけないな」と国王も立ち上がった。
宰相と騎士団長も立ち上がると国王を見送った。
二人は歩きながら話していた。
「あの、ソフィは誰かの仕込みか?」
「おまえがやったと思っていたが、違うのか?」
「あいつの仕込みか」「やりそうなことだ」
二人は顔を見合わせると、吹き出した。
「えぇ確かに。息子の披露の席で、あのような」と二人目が憤慨した声を出した。
「『あのような、素晴らしい虹を披露してくれてありがたい』といいたいんだよな」と三人目が言うと
「あのような、素晴らしい技を見せて貰った」と最初に発言した男が言った。
彼は続けて
「それにしても、素晴らしい。この世界の平和が惜しい。もっと殺伐としておれば」と言った。
その男に向かって
「陛下。冗談に聞こえませんよ」と宰相が言うと
「本気で言ってる。彼女のあの技は簡単に要人を暗殺出来る」と国王がため息混じりに言った。
「ですから、それは言ってはいけません」と宰相が首を振りながら言った。
「コリンの馬車だって、今は連結出来ますよ。悪路でも行ける。馬に関しても治癒できる厩務員が思ったよりたくさんいる。兵の移動が簡単で費用も抑えられる」と三人目の男、騎士団長が言った。
それを受けて四人目の男。ブルース隊長が
「確かにそうですね。空を飛ぶのも多分完成しますよ。人間、と言うか自分で乗って検証したがってます。禁止してますが、こっそりやるでしょう!
実用化されたら、上から攻撃できる」
「魔法士たちは、単純に生活の質を向上させる、便利な物を作ると思ってますから・・・」と騎士団長が言った。
「政治も頑張ってますからね。各国との関係はすこぶる良好」と宰相が言うと
「確かにそこはありがたいですね」と騎士団長が言った。
「厩務員のことを言っているが、ミシガン家で働いていた者たちか?」と国王が聞くと
「はい、報告書に書けないと思いまして・・・」と騎士団長が説明を始めた。
「あの家で雇われていたのは、その、どの家門でもそうでしょうが、代々働いています。
ミシガン本家から枝分かれして、平民になった者も、親や祖父母の縁で働いていましたので、ミシガンを名乗る者も多く・・・要はみんなどこか親戚ってことで、治癒を無意識にしているようです。
本人に自覚はないですし、はっきり言えませんが、どの馬もよく世話されてましたし・・・王宮の厩舎も彼らのやり方を取り入れようとしてます。
大事にしてますが、甘やかしてませんよ。今の所はまだ、馬の毛艶がよくなった位ですが・・・なんというか馬の筋肉もよくなったようです。
それで、提案なんですが、厩務員を育成する機関を作れないでしょうか?」
「機関。なるほど・・・いい馬は兵を助けるしな」と国王が言った。
それにたいして騎士団長はこう答えた。
「それもありますが、貴族に残れない者の受け皿になるかなと思いまして。騎士団に入れずに予備員で長くいるのも大変です、それなら厩務員になるのもいいのではないかと思いました」
「なるほど、家で肩身狭い者は王宮で働けばいいと」とブルース隊長は言った。
「一つ、決まった所で今月は終わりにしよう」国王が言うと
「細かい所は、ミシガン子爵にやらせましょう」と宰相が言った。
「頑張っているようだな」と国王が言うと
「はい、なんというか妙な迫力があります」と宰相が答えた。
「それでは、わたしは戻ります」とブルース隊長が立ち上がって出て行った。
「わたしも仕事をしないといけないな」と国王も立ち上がった。
宰相と騎士団長も立ち上がると国王を見送った。
二人は歩きながら話していた。
「あの、ソフィは誰かの仕込みか?」
「おまえがやったと思っていたが、違うのか?」
「あいつの仕込みか」「やりそうなことだ」
二人は顔を見合わせると、吹き出した。
1,994
お気に入りに追加
4,347
あなたにおすすめの小説

妹だけを可愛がるなら私はいらないでしょう。だから消えます……。何でもねだる妹と溺愛する両親に私は見切りをつける。
しげむろ ゆうき
ファンタジー
誕生日に買ってもらったドレスを欲しがる妹
そんな妹を溺愛する両親は、笑顔であげなさいと言ってくる
もう限界がきた私はあることを決心するのだった
公爵家の家族ができました。〜記憶を失くした少女は新たな場所で幸せに過ごす〜
月
ファンタジー
記憶を失くしたフィーは、怪我をして国境沿いの森で倒れていたところをウィスタリア公爵に助けてもらい保護される。
けれど、公爵家の次女フィーリアの大切なワンピースを意図せず着てしまい、双子のアルヴァートとリティシアを傷付けてしまう。
ウィスタリア公爵夫妻には五人の子どもがいたが、次女のフィーリアは病気で亡くなってしまっていたのだ。
大切なワンピースを着てしまったこと、フィーリアの愛称フィーと公爵夫妻から呼ばれたことなどから双子との確執ができてしまった。
子どもたちに受け入れられないまま王都にある本邸へと戻ることになってしまったフィーに、そのこじれた関係のせいでとある出来事が起きてしまう。
素性もわからないフィーに優しくしてくれるウィスタリア公爵夫妻と、心を開き始めた子どもたちにどこか後ろめたい気持ちを抱いてしまう。
それは夢の中で見た、フィーと同じ輝くような金色の髪をした男の子のことが気になっていたからだった。
夢の中で見た、金色の花びらが舞う花畑。
ペンダントの金に彫刻された花と水色の魔石。
自分のことをフィーと呼んだ、夢の中の男の子。
フィーにとって、それらは記憶を取り戻す唯一の手がかりだった。
夢で会った、金色の髪をした男の子との関係。
新たに出会う、友人たち。
再会した、大切な人。
そして成長するにつれ周りで起き始めた不可解なこと。
フィーはどのように公爵家で過ごしていくのか。
★記憶を失くした代わりに前世を思い出した、ちょっとだけ感情豊かな少女が新たな家族の優しさに触れ、信頼できる友人に出会い、助け合い、そして忘れていた大切なものを取り戻そうとするお話です。
※前世の記憶がありますが、転生のお話ではありません。
※一話あたり二千文字前後となります。

姉妹差別の末路
京佳
ファンタジー
粗末に扱われる姉と蝶よ花よと大切に愛される妹。同じ親から産まれたのにまるで真逆の姉妹。見捨てられた姉はひとり静かに家を出た。妹が不治の病?私がドナーに適応?喜んでお断り致します!
妹嫌悪。ゆるゆる設定
※初期に書いた物を手直し再投稿&その後も追記済

あなたがそう望んだから
まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」
思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。
確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。
喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。
○○○○○○○○○○
誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。
閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*)
何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
澤谷弥(さわたに わたる)
ファンタジー
結婚式の日の夜。夫のイアンは妻のケイトに向かって「お前を愛するつもりはない」と言い放つ。
ケイトは知っていた。イアンには他に好きな女性がいるのだ。この結婚は家のため。そうわかっていたはずなのに――。
※短いお話です。
※恋愛要素が薄いのでファンタジーです。おまけ程度です。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる