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13 いらない馬の行き先
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話は遡り、競技会の翌日
「おはよう、リリー。あの馬のことだけど」と顔を合わせるなり、ナタリーが言い出した。
「おはよう、ナタリー。馬ってあの馬?」
「うん、お父様がね。欲しいって」
「欲しい?」
「うん、いい馬って」言ってる
「貰ってくれるならそうして、家では好きにしろって言われたの。どういう意味かわからないけど。最初はいらない馬って」と言うと
「酷い、いらない馬に乗せられたの?」途中から話に入って来たパトラが言った。
その時、生徒会の人がやって来て
「リリー様、出場して下さいましてありがとうございます」と言い別の一人が
「三位おめでとうございます。順路を間違えなければ一位でしたね」
「正しい順路に行かせられなかったのは、わたしですから」と答えると
「でもあの馬を従えました」
「思い切り鞭を使いましたから」と答えると
「確かに、見事でした。あんなに強く。バシっと」
なんだか、わたしが酷い人間みたい・・・
「すみません、あまりに素晴らしかったのでつい・・・その今日来たのは、あの馬が欲しいと言う問い合わせが生徒会に来まして・・・そのご実家に連絡すれば大げさになるのではと先方が危惧なさいまして」
「わたしたちが代わりにお話に」と言う所で
「あの馬はうちが買います」とナタリーがビシっと言った。
「あぁ先に」
「当たり前でしょ。親友よ」とナタリーが胸を張って言った。
「わかりました。もう決まっていたとお返事します」と生徒会の役員は帰って行った。
「ちょっとナタリー買うって??」と言うと
「お願い。今日の帰りにうちに寄って。父と話をして」
「わかった・・・」とあのお父様に会うのね。
家に行くとナタリーのお父様は待っていて、本当に馬が欲しいと言うことだった。
わたしも馬をどうしようかと心配だったので、馬を貰ってくれるなら嬉しいと思っていたのだが、お父様はどうしてもお金を払いたいとおっしゃった。それでわたしは正直に、馬について父と兄が言ったことを話した。
それからナタリーが生徒会の人が言っていたことを話した。
「危なかったわね、朝一番で話してよかった」
「いや・・生徒会から・・・それは」とお父様のフォード伯爵は考えていたが
「なるほど、そう言うことなんですね・・・そう言うことでしたらリリー嬢、生徒会の人ともう一度話をして、そちらに引き取って貰いなさい。そうしたほうがリリー嬢のためになる。うちで引き取るとリリー嬢とご家族の関係とか、貴族同士の関係とか、面倒になる。今日はよく来てくれたね。ゆっくり遊んでいって。ナタリー頼んだぞ」と言うとフォード伯爵は出て行った。
「はぁ面倒ね。でもお菓子たべちゃお」とナタリーは言うとマドレーヌを食べだした。
「あの、馬いつまでも学院に置いとけないし、どうしようと思っていたのよ。だから貰ってくれるなら、どなたでもありがたいわ」と言うと
「でも、どうしてあなたのおうちで、あの馬をいらないって言うのかしら」
「そうね」とわたしは小さく答えた。
わたしの治療が上手だからよ。だからあの馬を父と兄が見たら、いらない馬なんて言わないと思うけど、見もしないで、処分しろって言ったのはあちら・・・こちらが気を使う必要はないわ。
お菓子とおしゃべりを楽しんだわたしは送って貰って家に戻った。
翌日、生徒会室に行って、いっさいを任せられるなら、譲ると言うと
「良かった。あちらは喜びます・・・それなら終わってからの報告がいいですね」と言うのに頷いた。
これで馬の問題は終わり。放課後、リンゴを持って行ってお別れをした。
「おはよう、リリー。あの馬のことだけど」と顔を合わせるなり、ナタリーが言い出した。
「おはよう、ナタリー。馬ってあの馬?」
「うん、お父様がね。欲しいって」
「欲しい?」
「うん、いい馬って」言ってる
「貰ってくれるならそうして、家では好きにしろって言われたの。どういう意味かわからないけど。最初はいらない馬って」と言うと
「酷い、いらない馬に乗せられたの?」途中から話に入って来たパトラが言った。
その時、生徒会の人がやって来て
「リリー様、出場して下さいましてありがとうございます」と言い別の一人が
「三位おめでとうございます。順路を間違えなければ一位でしたね」
「正しい順路に行かせられなかったのは、わたしですから」と答えると
「でもあの馬を従えました」
「思い切り鞭を使いましたから」と答えると
「確かに、見事でした。あんなに強く。バシっと」
なんだか、わたしが酷い人間みたい・・・
「すみません、あまりに素晴らしかったのでつい・・・その今日来たのは、あの馬が欲しいと言う問い合わせが生徒会に来まして・・・そのご実家に連絡すれば大げさになるのではと先方が危惧なさいまして」
「わたしたちが代わりにお話に」と言う所で
「あの馬はうちが買います」とナタリーがビシっと言った。
「あぁ先に」
「当たり前でしょ。親友よ」とナタリーが胸を張って言った。
「わかりました。もう決まっていたとお返事します」と生徒会の役員は帰って行った。
「ちょっとナタリー買うって??」と言うと
「お願い。今日の帰りにうちに寄って。父と話をして」
「わかった・・・」とあのお父様に会うのね。
家に行くとナタリーのお父様は待っていて、本当に馬が欲しいと言うことだった。
わたしも馬をどうしようかと心配だったので、馬を貰ってくれるなら嬉しいと思っていたのだが、お父様はどうしてもお金を払いたいとおっしゃった。それでわたしは正直に、馬について父と兄が言ったことを話した。
それからナタリーが生徒会の人が言っていたことを話した。
「危なかったわね、朝一番で話してよかった」
「いや・・生徒会から・・・それは」とお父様のフォード伯爵は考えていたが
「なるほど、そう言うことなんですね・・・そう言うことでしたらリリー嬢、生徒会の人ともう一度話をして、そちらに引き取って貰いなさい。そうしたほうがリリー嬢のためになる。うちで引き取るとリリー嬢とご家族の関係とか、貴族同士の関係とか、面倒になる。今日はよく来てくれたね。ゆっくり遊んでいって。ナタリー頼んだぞ」と言うとフォード伯爵は出て行った。
「はぁ面倒ね。でもお菓子たべちゃお」とナタリーは言うとマドレーヌを食べだした。
「あの、馬いつまでも学院に置いとけないし、どうしようと思っていたのよ。だから貰ってくれるなら、どなたでもありがたいわ」と言うと
「でも、どうしてあなたのおうちで、あの馬をいらないって言うのかしら」
「そうね」とわたしは小さく答えた。
わたしの治療が上手だからよ。だからあの馬を父と兄が見たら、いらない馬なんて言わないと思うけど、見もしないで、処分しろって言ったのはあちら・・・こちらが気を使う必要はないわ。
お菓子とおしゃべりを楽しんだわたしは送って貰って家に戻った。
翌日、生徒会室に行って、いっさいを任せられるなら、譲ると言うと
「良かった。あちらは喜びます・・・それなら終わってからの報告がいいですね」と言うのに頷いた。
これで馬の問題は終わり。放課後、リンゴを持って行ってお別れをした。
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