上 下
10 / 50

10 剣術の試合

しおりを挟む
馬の手入れが終わって着替えると、剣術の会場に行った。来賓の観覧席にはなんか偉そうな人がずらりと並んでいた。ナタリーのお父さんもそこにいる。そして驚いたことにわたしのお父様とアナベルがいた。

ロバート様の応援にいらしたのだ。わたしの婚約者を応援してくれるとは。ロバート様の良さをわかって下さったのだ。せっかく見に来てくれた二人をがっかりさせないためにわたしはペン軸を握り締めた。

馬術競技が終わったようだ。表彰は剣術が終わってから一緒に行われる。

わたしの結果はどうでもいい。ロバート様を応援するのだ。

三試合目にロバート様が出てきた。相手はロバート様より背が高かった。

ロバート様が剣を振り上げた時、相手は脇腹を打った。わたしはペン軸を向けて痛み止めと治療を放った。

ロバート様は痛そうな顔をしたが、なにごともないように後ろに下がった。

それから、相手がロバート様を打つたびにわたしは治療をした。何度攻撃されても頑張るロバート様に歓声があがる。
わたしは婚約者だから誰よりも大きな声で応援してもいいはずだけど、出来なかった。何故なら、アナベルが大きな声で応援しているから。なんだか、ロバート様の婚約者はわたしなのにって思ってしまう・・・

そして、ついにロバート様が剣を振り回したらそれが相手の肩にあたり、剣を落とした。

ロバート様が勝った。アナベルとお父様が拍手してアナベルが
「ロバート様ーー」と呼んでいた。褒めて下さって嬉しいはずなのに、がっかりした。


次の試合はわたしも大きな声で応援しよう。
ロバート様の次の相手が出てくると大歓声があがった。騎士団長の息子さんですごくかっこいい。ロバート様より少しだけかっこいい。

この人の攻撃はとても速かったが、わたしは最初から治療を飛ばしていた。わたしのほうが速いのだ。

それで、ロバート様が勝った。

そして決勝戦。わたしが飛ばした治療でロバート様が勝ち、優勝した。

婚約者が優勝したってことで、わたしは競技場に行こうとしたが、アナベルがいち早く降りてロバート様に抱きついた。

「ロバート様、さすがわたしのロバート様」アナベルはそう言っていた。

わたしのロバート様・・・って婚約者はわたしなのに・・・

だけど、二人に向けられる歓声は、わたしが邪魔者だと知らせてくれた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢は永眠しました

詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」 長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。 だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。 ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」 *思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

ああ、もういらないのね

志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。 それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。 だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥ たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

【完結】彼女以外、みんな思い出す。

❄️冬は つとめて
ファンタジー
R15をつける事にしました。 幼い頃からの婚約者、この国の第二王子に婚約破棄を告げられ。あらぬ冤罪を突きつけられたリフィル。この場所に誰も助けてくれるものはいない。

嘘はあなたから教わりました

菜花
ファンタジー
公爵令嬢オリガは王太子ネストルの婚約者だった。だがノンナという令嬢が現れてから全てが変わった。平気で嘘をつかれ、約束を破られ、オリガは恋心を失った。カクヨム様でも公開中。

〈とりあえずまた〆〉婚約破棄? ちょうどいいですわ、断罪の場には。

江戸川ばた散歩
ファンタジー
辺境伯令嬢バルバラ・ザクセットは、第一王子セインの誕生パーティの場で婚約破棄を言い渡された。 だがその途端周囲がざわめき、空気が変わる。 父王も王妃も絶望にへたりこみ、セインの母第三側妃は彼の頬を打ち叱責した後、毒をもって自害する。 そしてバルバラは皇帝の代理人として、パーティ自体をチェイルト王家自体に対する裁判の場に変えるのだった。 番外編1……裁判となった事件の裏側を、その首謀者三人のうちの一人カイシャル・セルーメ視点であちこち移動しながら30年くらいのスパンで描いています。シリアス。 番外編2……マリウラ視点のその後。もう絶対に関わりにならないと思っていたはずの人々が何故か自分のところに相談しにやってくるという。お気楽話。 番外編3……辺境伯令嬢バルバラの動きを、彼女の本当の婚約者で護衛騎士のシェイデンの視点から見た話。番外1の少し後の部分も入ってます。 *カテゴリが恋愛にしてありますが本編においては恋愛要素は薄いです。 *むしろ恋愛は番外編の方に集中しました。 3/31 番外の番外「円盤太陽杯優勝者の供述」短期連載です。 恋愛大賞にひっかからなかったこともあり、カテゴリを変更しました。

処理中です...