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07 留学生
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そんなある日、帝国から留学生が来た。驚いた。帝国に学びに行くのはわかるが逆だ。
帝国が王国に学ぶ物ってある?
胡散臭さ一杯の留学生は、ぼさぼさの黒髪。それはくせ毛であっちこっち向いていて、長い前髪が目を隠しているさえない人だった。
そしてこともあろうに、わたし、レイチャルがお世話係をするように言われた。
生徒会役員がやればいいのでは?マイケルとかお姉様とか・・・いつも声高に役員を強調してるじゃないの!!
それなのに、わたしにお鉢が回って来た。
「どうしてわたしですか?生徒会役員がやるほうがいいと思いますが」とわたしは学院長に言った。
「忙しいそうだ」
「忙しい?なにをしていて忙しいのですか?」
「まぁそうだね。だが、もう決まったことで先方にも伝えたから、頼むよ」と押し切られてしまった。
なんだか、学院の注文漏れがあったとかで、留学生。デニス・サンダースは教科書も揃ってなかったし、制服もサイズが合ってない。
それで、授業中は隣りに座り、一緒に教科書を見た。宿題も教科書を一緒に見ながら図書室で一緒に解いた。
デニス様は勉強はよく出来た。わたしがひっかかるなと思った所をさりげなく説明してくれた。
デニス様はわたしに婚約者がいると聞いて、マイケルの所へ挨拶に行きたいと言い出した。
「これでも一応は男です。誰かが面白半分でおかしなことを言い出したら、レイチャル様の名誉、ご家門の名誉を損ないます。それで保険の意味でも挨拶をしておきたいと思います」
そこまで言うならとわたしたちはマイケルに会いに行った。
「マイケル・ダグラス侯爵ご令息でらっしゃいますね。わたくしは帝国から遊学して来たデニス・サンダース子爵です。レイチャル・ブラウンご令嬢にお世話になっております。学院からの紹介です。その一緒に行動することがありますので、誤解のないようにと思いまして挨拶に」
「そうなのか。ご丁寧に」とデニス様の挨拶にマイケルは割り込んだ。
「帝国でなにかあったのですか?」とそばにいた姉が言ったがなんとなく馬鹿にした言葉の響きだった。確かに胡散臭いが姉の態度は失礼だ」
「王国で調べたいものがありまして」とデニス様は丁寧に答えたが、二人はそれには反応せず
「じゃぁ、僕たちはこれで」と去って行った。
デニス様は
「なんだ?あれ?」と独り言を言っていた。まぁ言うよね。
「これでひとまずは安心だ。わたしのことはデニスと呼んで下さい」
こうして聞いていると、声も話し方も落ち着く感じだ。
わたしは
「はい、デニス様、よろしくおねがいします」と答えたが
「デニスでお願い」と返されてしまった。
デニスはさえない見た目の割に押しが強くて、いつのまにかわたしたちは
「デニス」「レイチャル」と呼び合い話し方もくだけたものになった。
お世話係として食堂も一緒に行った。正直、デニス様ってさえないから、二人で行動しても安心。安全。メアリーとマリリンは、そんなわたしに同情して食堂ではわたしとデニスと同じテーブルについてくれた。
二人とも好きだ。
そして意外なことにデニスは剣術が上手らしく。その縁で親しくなったとか言うウィルソン・デキンズとラルフ・ペレスの二人が加わり、食堂では六人!となった。
ある日、何故王国へ来たのか話してくれた。王国では教会などの古い記録をあまり保護していないから、それを保護するために来たそうだ。
だから、記録を回収に出かけることがあるが、もしかしたら授業を休む必要があるから、申し訳ない。
ただ、公休扱いになるから、安心して欲しい。と言われたが、そう言われてもありがとうとは言えない。
そして実際に、地方の領主や教会に残っている古い日記を回収するために一緒に出かけることが多くなった。
彼はもしかしてアレクサンダー様の研究者仲間だろうか?いや、余計なことは言うまいとわたしは、回収した日記の埃を払った。
帝国が王国に学ぶ物ってある?
胡散臭さ一杯の留学生は、ぼさぼさの黒髪。それはくせ毛であっちこっち向いていて、長い前髪が目を隠しているさえない人だった。
そしてこともあろうに、わたし、レイチャルがお世話係をするように言われた。
生徒会役員がやればいいのでは?マイケルとかお姉様とか・・・いつも声高に役員を強調してるじゃないの!!
それなのに、わたしにお鉢が回って来た。
「どうしてわたしですか?生徒会役員がやるほうがいいと思いますが」とわたしは学院長に言った。
「忙しいそうだ」
「忙しい?なにをしていて忙しいのですか?」
「まぁそうだね。だが、もう決まったことで先方にも伝えたから、頼むよ」と押し切られてしまった。
なんだか、学院の注文漏れがあったとかで、留学生。デニス・サンダースは教科書も揃ってなかったし、制服もサイズが合ってない。
それで、授業中は隣りに座り、一緒に教科書を見た。宿題も教科書を一緒に見ながら図書室で一緒に解いた。
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デニス様はわたしに婚約者がいると聞いて、マイケルの所へ挨拶に行きたいと言い出した。
「これでも一応は男です。誰かが面白半分でおかしなことを言い出したら、レイチャル様の名誉、ご家門の名誉を損ないます。それで保険の意味でも挨拶をしておきたいと思います」
そこまで言うならとわたしたちはマイケルに会いに行った。
「マイケル・ダグラス侯爵ご令息でらっしゃいますね。わたくしは帝国から遊学して来たデニス・サンダース子爵です。レイチャル・ブラウンご令嬢にお世話になっております。学院からの紹介です。その一緒に行動することがありますので、誤解のないようにと思いまして挨拶に」
「そうなのか。ご丁寧に」とデニス様の挨拶にマイケルは割り込んだ。
「帝国でなにかあったのですか?」とそばにいた姉が言ったがなんとなく馬鹿にした言葉の響きだった。確かに胡散臭いが姉の態度は失礼だ」
「王国で調べたいものがありまして」とデニス様は丁寧に答えたが、二人はそれには反応せず
「じゃぁ、僕たちはこれで」と去って行った。
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「なんだ?あれ?」と独り言を言っていた。まぁ言うよね。
「これでひとまずは安心だ。わたしのことはデニスと呼んで下さい」
こうして聞いていると、声も話し方も落ち着く感じだ。
わたしは
「はい、デニス様、よろしくおねがいします」と答えたが
「デニスでお願い」と返されてしまった。
デニスはさえない見た目の割に押しが強くて、いつのまにかわたしたちは
「デニス」「レイチャル」と呼び合い話し方もくだけたものになった。
お世話係として食堂も一緒に行った。正直、デニス様ってさえないから、二人で行動しても安心。安全。メアリーとマリリンは、そんなわたしに同情して食堂ではわたしとデニスと同じテーブルについてくれた。
二人とも好きだ。
そして意外なことにデニスは剣術が上手らしく。その縁で親しくなったとか言うウィルソン・デキンズとラルフ・ペレスの二人が加わり、食堂では六人!となった。
ある日、何故王国へ来たのか話してくれた。王国では教会などの古い記録をあまり保護していないから、それを保護するために来たそうだ。
だから、記録を回収に出かけることがあるが、もしかしたら授業を休む必要があるから、申し訳ない。
ただ、公休扱いになるから、安心して欲しい。と言われたが、そう言われてもありがとうとは言えない。
そして実際に、地方の領主や教会に残っている古い日記を回収するために一緒に出かけることが多くなった。
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