いつまでも甘くないから

朝山みどり

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話し合い

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三日後、ナタリーから連絡があった。ナタリーの部屋で三人で会いたいと。


エリザベスは部屋を訪ねた。二人が待っていた。



「お待たせしました」とエリザベスが席に着くと

「いえ、エリザベス来てくれてありがとう。話をしたい」とフレッドが答えた。

「いえ、こちらこそ、先日は逃げ帰ってしまって」と答えるエリザベスに

「みじめで耐えられなかったよね。ごめんね。フレッドに一目惚れして・・・・全力で奪い取りたかったの。フレッドも同じ気持ちだったみたいで・・・・」

「馬鹿なことを言わないでくれ。僕が愛しているのはエリザベスだ」




「お二人は結婚するんですね。おめでとうございます」

「いいの?」「いいのか?」

「愛し合ってるってナタリーが言ったわ」とエリザベスは短調に言った。

「そうよ」「それは・・・・エリザベス聞いてくれ」

「婚約してないですし、結ばれたなら不誠実な事は出来ないでしょ」とエリザベスは不実を強調して言った。


「そうよ。たまたま、あなたが先に出会っただけよ」とナタリーが言うが、エリザベスは返事をしなかった。

「不誠実・・・・・」とフレッドが呟く。

「ですから、祝福します」とエリザベスが言うと

ナタリーが

「さすがエリザベス。わかってくれるのね」と言った。

一方フレッドは
「不誠実・・・・あぁ・・・」と呟いていた。

「どうしたの?フレッド喜んでよ。結婚出来るのよ」とナタリーが腕を持って揺すった。


エリザベスは明るく
「フレッドさん、わたくしから部長へ報告しますね。うそはつけないから正確に。プロポーズされたことやナタリーさんの事も」

「やめてくれ・・・・それだと・・・・やめてくれ・・・・ナタリー!ナタリー別れてくれ」とフレッドがナタリーに縋った。

ナタリーは戸惑いながら

「どうしたの?エリザベスは身を引くのよ」と言った。


エリザベスは二人が言い合うのをしばらく見ていた。

するとフレッドが

「頼む、エリザベス。君が許してくれるなら、なんでもする」と言い出した。


「フレッド、いいじゃない。部長ってなに?関係ないでしょ。エリザベスよりナタリーが好きだって言えば」

「黙れ!」

フレッドの異様な態度にナタリーは少し怯えて、震える声で

「フレッド」と言ったがフレッドは返事をしなかった。

最初、嘲るように私を見ていたナタリーだったが、今は救いを求めるように私に目を向けている。

「それでは二人も別れて」

「え?!!」「それでいいのか?」

「そう、二人も別れるの。部長には友情で終わったと言うわ。誠実な方ですもの無理強いはしないわ」




「いやよ。離さないわ」とナタリーが言うが、エリザベスは無視して

「部長にはあなたが誠実に付き合ってくれて気が合ったと話すわ。すごくいい人でいい友人だとね。それ以上はなにも・・・・」

「感謝する」短くフレッドさんは答えた。やるべきことを理解した目をしていた。


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