聖女ですよね、あなたも

朝山みどり

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新しい世界へ

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ここまで見届けると私は教会をでた。光をまとっていない私を気にするものはいない。

いつのまにかあの彼がそばにいた。

彼に導かれるままに歩くと馬が待っていた。馬の長い顔を撫でながら

「ほんとにこの子はいい子よね」と言うと

「そうだな」と彼が言った。予想より近いところから降りてきた声に見上げれば、彼が微笑んでいた。

そうだ、名前も教えていない。

「私、カレンと言います」

「俺はアーサー」

「アーサー」と名前を呟き、続けて

「この世界で名乗ったのは初めて、誰も私の名前を気にしなかった」

「初めてか・・・・」次の瞬間、アーサーは私を抱きしめて唇にキスをした。

抗議の声を出そうとした私の唇に彼の舌がはいってきて、抗議どころか息も絶え絶えになった。

「これも初めて?」と彼がいたづらっぽく笑いながら言うので、思い切り足を踏んづけて

「これも初めて!」と言った。

「カレンの初めては好きだ」そういうと私を馬に乗せて、後ろに自分も乗って来た。

「あれ?私」

「一人で乗れることは知ってる。上手いことも・・・だけど初めてだ」

そういうと、いつ合図をしたのか、馬が走り出した。私がよく乗る馬もあとからついてくる。


ふいに馬が宙に浮いた。一瞬の不安も体に回された彼の腕が消した。

「初めて」と私が言うと

「これから、たくさん初めてしよう」

馬が空を飛んでいく。

初めてこの世界が好きだと思った。

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