聖女ですよね、あなたも

朝山みどり

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聖女の信託

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お茶会以来、王子が私との接触を増やして来た。

旅の間の寂しさとか悔しさが顔を見るたび思い出されて、靴を脱いでひっぱたいてやりたくなる。

「お仕事すれば」二言目にはこのセリフをはいて、追い返すが、翌日おなじことの繰り返しだ。

そして、あのエリシアを呼び出してもらった。王妃つきの侍女を貸してもらって、最高の美顔術を施したらしいが、日焼けの影響はまだ、残っている。

聖女の旅の恐ろしさをみせてやると思い、この間のお嬢さんたちを招待して、エリシアを主賓としたお茶会を開いた。私のことを警戒していると思うので、王子主催で招待状を出した。


王子の名前が聞いたのか、欠席者はいなかった。誰も皆、美しく着飾ってやってきた。本当に綺麗だ。

主賓のエリシアを囲んで日焼けの恐ろしさを熱弁してやった。


ほどよくお腹が膨れた所で、中央教会の女神像を光らせ始めた。

教会の外に光が漏れ始めると、「聖女様」「聖女様、感謝します」とか人々が騒ぎ始め王宮にも知らせが届いた。

「聖女様がまたいらっしゃる。今度の聖女様こそ、慈悲深く、義務をすすんで果たして下さる方ですわ」と侍女長が言った。

失礼だろ、そりゃ、私はしぶしぶ義務を果たしたよ。あんたのことばかにしているよ。まぁいいその言葉、広めてやんよ。

「楽しみですわね、慈悲深く、すぐにでも浄化の旅にでてくれますよ。ほら、魔物が活発になってるって知らせが来てますよね。王子が戻られた場所あたりから、たぶん王室の不在の影響だと思います。聖女だけでは足りないのですね」

私の言葉に王子が顔色を悪くした。


「皆で教会へ参りましょう」と私が言うと、お嬢さんたちはさっさと部屋を出て行った。

残された王妃と王子と侍女長は私に目もくれず、なにやら相談している。

私はいくつかお菓子を持つと一度自分の部屋へ戻った。

目立たない服に着替えて部屋を出ると『森の民』が待っていた。

彼は黙って私の横を歩いた。

外にでると馬が待っていた。予想通り?希望通り?

教会で馬から降りると私は中へはいった。普通にしていると聖女とわかってもらえないので、自分を光らせて前にすすむ。

はっきり言って情けないです。ただ、聖女様という呟きは群衆に広まっていきました。

私がドアからはいると

「聖女よ、待っていました」と女神の声がした。

貴族も平民も同じように響めく。やや静かになった所で女神が

「皆の願いを聞きました。聖女を遣わします」その声と共に光が渦巻いた。

やがて渦が分かれて六個の渦ができると六人の令嬢に降り注いだ。





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