1 / 6
始まり
しおりを挟む
あの物音が聞こえて来た。二人にしか聞こえない音。教会の地下から聞こえる音。教会の地下に行くことは禁止されている。
「行ってみようよ。二人なら大丈夫」少し迷って
「そうだね。二人なら」と返って来た答えは予想通りだった。
教会の地下への階段を二つの小さな背中が降りて行く。恐れと期待に満ちた足取りで奥へと歩いて行く。
朽ちかけたドアの前に立ち、背伸びしてドアノブを回す。あっさり動いたドアノブに二人は顔を見合わせた。
それぞれ金色の髪と銀色の髪に縁取られた、端正な顔がちょっと緊張している。ゆっくりドアが動くといきなり開いて黒い影が出て来た。
二人は同時に「わっ」と叫ぶと周り右して走り出したが、金色の髪の子がもうひとりを突き飛ばしてこう言った。
「おまえなんが食われてしまえ」そしてあとも見ずに逃げ去った。
銀色の髪の子は
「え?エド」と言いながら起きようとしたが、そばに来た男に顔を覗き込まれて動けなかった。
「ほーーーいい魔力だな・・・・助かる・・・・」やがて気を失った子供を優しく横たえた男は
「十年?いや九年か・・・・・さて二度寝だな」と呟きながら再び部屋に戻っていった。
ドアが閉まった。それからドアが消えた。
「行ってみようよ。二人なら大丈夫」少し迷って
「そうだね。二人なら」と返って来た答えは予想通りだった。
教会の地下への階段を二つの小さな背中が降りて行く。恐れと期待に満ちた足取りで奥へと歩いて行く。
朽ちかけたドアの前に立ち、背伸びしてドアノブを回す。あっさり動いたドアノブに二人は顔を見合わせた。
それぞれ金色の髪と銀色の髪に縁取られた、端正な顔がちょっと緊張している。ゆっくりドアが動くといきなり開いて黒い影が出て来た。
二人は同時に「わっ」と叫ぶと周り右して走り出したが、金色の髪の子がもうひとりを突き飛ばしてこう言った。
「おまえなんが食われてしまえ」そしてあとも見ずに逃げ去った。
銀色の髪の子は
「え?エド」と言いながら起きようとしたが、そばに来た男に顔を覗き込まれて動けなかった。
「ほーーーいい魔力だな・・・・助かる・・・・」やがて気を失った子供を優しく横たえた男は
「十年?いや九年か・・・・・さて二度寝だな」と呟きながら再び部屋に戻っていった。
ドアが閉まった。それからドアが消えた。
8
お気に入りに追加
126
あなたにおすすめの小説
尊敬している先輩が王子のことを口説いていた話
天使の輪っか
BL
新米騎士として王宮に勤めるリクの教育係、レオ。
レオは若くして団長候補にもなっている有力団員である。
ある日、リクが王宮内を巡回していると、レオが第三王子であるハヤトを口説いているところに遭遇してしまった。
リクはこの事を墓まで持っていくことにしたのだが......?
愛する人
斯波良久@出来損ないΩの猫獣人発売中
BL
「ああ、もう限界だ......なんでこんなことに!!」
応接室の隙間から、頭を抱える夫、ルドルフの姿が見えた。リオンの帰りが遅いことを知っていたから気が緩み、屋敷で愚痴を溢してしまったのだろう。
三年前、ルドルフの家からの申し出により、リオンは彼と政略的な婚姻関係を結んだ。けれどルドルフには愛する男性がいたのだ。
『限界』という言葉に悩んだリオンはやがてひとつの決断をする。
成り行き番の溺愛生活
アオ
BL
タイトルそのままです
成り行きで番になってしまったら溺愛生活が待っていたというありきたりな話です
始めて投稿するので変なところが多々あると思いますがそこは勘弁してください
オメガバースで独自の設定があるかもです
27歳×16歳のカップルです
この小説の世界では法律上大丈夫です オメガバの世界だからね
それでもよければ読んでくださるとうれしいです
第一王子から断罪されたのに第二王子に溺愛されています。何で?
藍音
BL
占星術により、最も国を繁栄させる子を産む孕み腹として、妃候補にされたルーリク・フォン・グロシャーは学院の卒業を祝う舞踏会で第一王子から断罪され、婚約破棄されてしまう。
悲しみにくれるルーリクは婚約破棄を了承し、領地に去ると宣言して会場を後にするが‥‥‥
すみません、シリアスの仮面を被ったコメディです。冒頭からシリアスな話を期待されていたら申し訳ないので、記載いたします。
男性妊娠可能な世界です。
魔法は昔はあったけど今は廃れています。
独自設定盛り盛りです。作品中でわかる様にご説明できていると思うのですが‥‥
大きなあらすじやストーリー展開は全く変更ありませんが、ちょこちょこ文言を直したりして修正をかけています。すみません。
R4.2.19 12:00完結しました。
R4 3.2 12:00 から応援感謝番外編を投稿中です。
お礼SSを投稿するつもりでしたが、短編程度のボリュームのあるものになってしまいました。
多分10話くらい?
2人のお話へのリクエストがなければ、次は別の主人公の番外編を投稿しようと思っています。
君と秘密の部屋
325号室の住人
BL
☆全3話 完結致しました。
「いつから知っていたの?」
今、廊下の突き当りにある第3書庫準備室で僕を壁ドンしてる1歳年上の先輩は、乙女ゲームの攻略対象者の1人だ。
対して僕はただのモブ。
この世界があのゲームの舞台であると知ってしまった僕は、この第3書庫準備室の片隅でこっそりと2次創作のBLを書いていた。
それが、この目の前の人に、主人公のモデルが彼であるとバレてしまったのだ。
筆頭攻略対象者第2王子✕モブヲタ腐男子
王子様と魔法は取り扱いが難しい
南方まいこ
BL
とある舞踏会に出席したレジェ、そこで幼馴染に出会い、挨拶を交わしたのが運の尽き、おかしな魔道具が陳列する室内へと潜入し、うっかり触れた魔具の魔法が発動してしまう。
特殊な魔法がかかったレジェは、みるみるうちに体が縮み、十歳前後の身体になってしまい、元に戻る方法を探し始めるが、ちょっとした誤解から、幼馴染の行動がおかしな方向へ、更には過保護な執事も加わり、色々と面倒なことに――。
※濃縮版
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる