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第二章
14話(R18)
しおりを挟む「飛龍将軍だわ♡」
「今日も麗しい♡」
「なんと凛々しいのかしら…♡」
2人で並んで歩いていれば、侍女たちからの視線は痛いほど感じる。それだけでは無い。
「なぜ武官が王宮にいるのだ…」
「あの男ばかり…目障りだ」
「早く戦場に戻れば良いものを…」
文官たちからの妬み僻みの視線も痛い。全部この男が隣にいるせいだ。
全く女たちは表情ひとつ変えない仏頂面のどこが良いのか…。
はぁ…と深いため息が出る。
まぁ当の私も、初めてこの男を見た時には皆と同じことを思った事があった訳だが。
「で、では、私はここで」
自身の執務室に着き、そう言って軽く頭を下げると、飛龍も立ち止まる。
無言のままじっとこちらを見つめてくるこの人は何か言いたげだが、それを無視してさっさと背を向けて扉に手をかけた。
「うわっ!!」
突然、背中を押されるように飛龍共々部屋の中へと押し入られ、入って来たばかりの扉に押さえ付けられる。
「な、何をっ」
「静かにしろ」
「離してください!離せ~」
「太子殿下とはどこまでやったのだ」
「どこまでって…」
「まぐわったのか?」
「まっ、まぐ////そ、そんなことする訳ないでしょう!」
唐突な質問に春蕾は顔を真っ赤にして否定した。
そもそも春蕾は男が好きなわけではない。2人から思いの丈を伝えられたとしても、どちらを選ぶかではなく、どちらも選べないのだ。
それなのに太子殿下とまぐわったか、など愚問である。
「ならお前を抱いたのだから、この体は全て私のものだと言うことだな」
「こ、こんなことをして私に好かれるとでも?」
「お前の気持ちなど関係ない。私が先に目をつけたのだ」
「こんな事をするなら、太子殿下の妻になります」
飛龍は春蕾の肩を掴んで体を反転させると、扉に押さえ付け、片方の手で器用に春蕾の裾を掻き分けて捲り上げ、下着をずり下ろした。
飛龍に尻を突き出すような体勢になった春蕾は、耳を真っ赤に染めて必死に抵抗する。
「やめ!!何をするのですか!カハッ…んぐ」
「お前が誰のものか、体に教え込んでやる」
後ろから春蕾の口の中に指を突っ込み、舌に絡ませる。温かくてぬるりとした肉厚の舌を人差し指と中指で挟むようにしてやれば、苦しそうに涙を流し、訴えるような視線が飛龍に向けられる。
「もっと舌を絡ませろ。痛いのはお前だぞ?」
「ング…チュパッ…ん…じゅる…んくっ」
唾液がしっかりと絡んだ指を引き抜くと、そのまま春蕾の後ろにつぷりと挿入する。
しっかり濡らしたとはいえ久しぶりのそこは、まだ誰も受け入れていないかのように固く閉じていた。
飛龍はそこをもう一度指で優しく押し広げていく。
「は、ぁぁ…ン……ぁ…痛ぃ…」
「力を抜け」
「はぁ…む、無理…ぃ…ンン…」
扉についた手をぎゅぅぅっと握りしめて浅く呼吸を繰り返す春蕾のうなじに舌を這わし、軽く噛み付く。
「ぁっ…ぅ……んん!!!」
一瞬力が抜けた瞬間に、指を根本まで一気に挿れる。しばらくそこで慣らした後、ゆっくりと指を動かし、本数も徐々に増やしていく。
「ぁ…ん…ふ、ふぁ…ゃ、だめっ//」
「良さそうな声が漏れてるが?」
「はぁぁ…ンン、へ、変…ゃ、ァァッ//」
前に一度抱かれた時のことを体は覚えており、徐々に声が漏れ始め、理性のタカが外れかけているのが分かる。
なんとか持ち堪えようと抵抗する春蕾だったが、飛龍はそれを分かって春蕾の良いところばかりを責め、徐に指を引き抜いた。
すっかり快感を失った春蕾は少し不満そうに後ろの飛龍を振り返る。
「なんだ?嫌なのだろう?」
「ぅ…//」
春蕾がどうして欲しいかなど、言わなくても明らかだったが、それを見てニヤニヤと笑い、見ぬふりをするのがこの男なのだ。
「どうした?」
ペチペチと春蕾の尻を熱くて固いそそり立つ陽物で叩かれる。
「っ…////ん…ゃ…な//」
「なんだ?はっきり言わないと分からぬぞ」
「こ、こんなとこでやめるな!////」
「それならば、遠慮なく」
ふっと笑い、前髪を掻き上げると、春蕾の腰を掴んで一思いに腰を打ちつけた。
一瞬にして中を思い切り押し広げられた春蕾は、衝撃に大きく目を見開き、その拍子に目に溜まっていた涙が一粒溢れ落ちた。
「痛いか?」
「く、るし…」
人間のソレとは思えないほどの質量を腹の奥に受け入れ、生まれたての子鹿のようにプルプルと太ももを震わせながら、なんとか扉に手をついて立つ。
ハクハクと短い呼吸を繰り返しているうちに、段々と中のモノが馴染んで苦しさが消えてくる。
その時だった。
トントントン
“司春蕾殿はいるか”
目の前の扉の向こうから1人の文官の声が聞こえて来た。
春蕾はハッと顔を上げると慌てて口を押さえ、早く抜けと後ろの飛龍に視線を向ける。
しかし、そんな春蕾を見て、飛龍はニヤリと意地悪な笑みを浮かべた。
もう嫌な予感しかしない。冷や汗がスーッと額を流れた時、飛龍はあろうことかゆっくりと律動を始めた。
「んっ…?!//ふ、……ンン…ぁ…//」
トントントン
“司春蕾殿。見てもらいたい書類があるのだが…”
「ンン…ゃ…ぁぁっ!//」
「声を出すとバレるぞ?」
春蕾の耳元で低く囁く吐息混じりのその声に、体が勝手に反応してしまい、さらにキュンと締め付けてしまう。
それを良い事に、飛龍は春蕾の膝裏に手を入れると、右足を持ち上げて更に奥深くに侵入し、春蕾の最奥にトントンと自身を打ちつけてくる。
「ふ、ンン~~ッッ//ぁ、ん…//」
“司春蕾殿?おられぬのか?開けますぞ?”
「っ!!!!」
こんなところを見られたらっ…!!
仕事の時間に執務室で男と交わっていたなどと吹聴されれば、せっかくここまで真面目に頑張って来た文官としての立場が危うくなる。
それどころか司家の評判も悪くなり、挙げ句の果てに自分が男好きだと誤解され、将来妻を娶ることも出来なくなるかもしれない。
それだけは嫌だ!!
しかし、快感で力が抜けてしまっている今、自分より大きい男、現役の崔国の将軍を押し返す力などあるわけもなく、春蕾は必死に声を抑えることしかできない。
もうダメだ…
最後の抵抗として、顔が見られぬように首を垂れて顔を隠す。
ガチャン
“ん?
鍵掛かっておるな……外出中か…”
か、ぎ……?
春蕾は思い出した。
飛龍がこの部屋に押し入った時、後ろ手に素早く鍵をかけていたのだ。
外の文官はさっさと諦めて去っていき、足音が完全に聞こえなくなった時、春蕾は安堵からか静かにポロポロと涙を流した。
「っ?!なぜ泣くのだ?」
「こ、怖かったぁ……」
「っ」
ズンと中の重量が増えたのを感じたのとほぼ同時に、飛龍に肩に担ぎ上げられ、今度は執務室の机に押し倒された。
「な、なにをっ//」
「煽ったお前が悪い」
素早く春蕾の足の間に割って入り、もう一度中を貫くと、さっきまでとは比べ物にならないほど激しく貪るように奥を突き立てられる。
「あ゛ッ//ま、でっ!ひぎっん゛//」
剣を握る潰れたマメだらけの大きな手は、春蕾の太ももに食い込むほど強く掴んで離さない。
腰を打ちつけながら春蕾を見下ろすその顔は、まるで戦場にいる時のように眼光が鋭く、狼が獲物の兎を狩る時のようにギラついて、この男から逃げられないと錯覚してしまう。
時折、乱れた前髪を無造作に掻き上げる仕草も色っぽく、数々の女もこの光景を見て来たのだなと春蕾は後に思い返す事になる。
「ん゛、ぁっ…ふぇ、ろんンン゛//」
「っ…なんだ」
「ら、め゛っ//…も、変に゛なぅ…ぁん゛//」
「なれば良い。はやく私を選べ、司春蕾」
静かな部屋には、2人が激しくぶつかり合う音とグチュグチュと卑猥な水音、そして春蕾から漏れる女のような声だけが響いていた。
どれほどの時間、こうして抱かれていたのだろうか。
春蕾の僅かに残っていた理性も、度重なる絶頂に掻き消され、ただ感じるままに快感に溺れ、声を枯らし、最後に腹の奥に温かい何かを感じて記憶を手放した。
「痛てて…」
春蕾が目覚めたのは自身の寝台だった。
服は着替えさせられており、体も綺麗になっていた。
部屋に飛龍の姿はなく、ほっとすると同時にズキズキと痛む腰に手を当てる。
「…乱暴すぎる……本当に私のことが好きなのか?あの男…」
まだ中に飛龍の感覚が残っており、さっきの行為を思い出すとまた中をキュンと締め付けてしまう自分がいる事に、春蕾は頭を抱える。
「春蕾様、そろそろ夜伽のご準備を。それと、夕餉を共にしたいと太子殿下から仰せつかっております」
夜鈴が部屋の外から声を掛けて来て、ハッとする。今夜は太子殿下に会いに行かねばならぬのか…と。
悪いことはしていないはずなのに、少しの後ろめたさと憂鬱を感じるのは気のせいだろうか。
春蕾は腰を労わりながらなんとか立ち上がり、のそのそと寝室を出るのだった。
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