剣舞踊子伝

のす

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第一章

5話(R18)

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「えぇ?!私に剣舞を舞えと言うのですか?!」

「そうだ。私の婚姻の儀で春蕾の剣舞を見た者たちからぜひ王にご覧にいれたいとこぞって申し出があった」

「しかし兄上っ」

「お前が乗り気ではないことは理解している。だが、その話を聞いた王も、随分とご興味を持たれて、父上に直接この事を申されたのだ。」

「王が…」

「そうだ。これは王の命令だ。」


王の命令となると、断る手立てがない。春蕾はこの申し出を受け入れざるを得なかった。


宴の当日は、崔国中からたくさんの人々が集まっていた。街はお祭り騒ぎで賑やかに活気づき、貴族たちも久しぶりの宴に楽しそうに酒を酌み交わしている。
ただそこにいる春蕾を除いては。



「すごい人ですね」

「こんなに人が来るなど知らなかった…この人数が私の剣舞を見るのか……」



宴会場は見渡す限り人で溢れており、すでに知り合い同士でわいわいと盛り上がっているようだった。

少し遅れてきた春蕾たちは、綺麗に着飾った宮女たちに案内され、席に着こうとしたが、そこにはすでに飛龍が座っていた。そしてその卓には、ちょうどあの男と向かい合う席が空いている。



「わ、私は別の席に…」

「私も…」

「私たちは構わぬぞ!な?飛龍」

ギクッ


卓に背を向けようとしたところで、飛龍の隣に座っていた男が声をかけて来た。年齢は春蕾より少し上、飛龍と同じくらいだろうか。向けられた爽やかな笑顔は、隣に並んだ仏頂面に比べると遥かに好青年に見えた。


「まぁ座りたまえよ。下級文官の君達」

「え、と…は、はい…」


仕方なくその卓に座る春蕾と磊を満足げに見ていた男は、ずいと手を差し出し、にっこり笑った。


「私は上級武官の俞劉帆(ユ リュウホ)だ。よろしく。こっちの仏頂面は雷飛龍。」

「なんでお前たちと同じ席で酒を飲まねばならぬのだ。失せろ」


飛龍が酒を煽りながらギロリとこちらを睨む。流石に将軍の睨みは凄みがあって少し怯んでしまう。
隣にいた磊も1年前に嘘をついている手前、かなり怯えた様子で苦笑いを浮かべている。

しかし、そんな事など全く気にせず劉帆はニコニコと笑う。


「なんだ3人は知り合いであったか~」

「いえ、知り合いというわけでは…私は下級文官の司春蕾と申します」

「下級文官の符磊です。お、お会いできて光栄ですっ」


磊は劉帆の手を握り、強く握手を交わした。その後、春蕾も手を握ると突然ぐっと引き寄せられ、まじまじと顔を見つめられた。


「な、なんです?!//」

「春蕾は可愛らしい顔をしているね。私のものになる気はあるかな?」

「んなっ!//////」

「おい。やめておけ劉帆。こいつは取るに足らぬつまらぬ男だ」

「えー!それなら余計に私色に染めてやりたくなるなぁ」

「色好きめ」

「戦の度に女に手を出しまくっている君には言われたくないね」


王の宴の席には似合わない下品な会話に、春蕾は顔を引き攣らせた。
類は友を呼ぶというが、この好青年もそちら側の人間だったのかと少し落胆する。


「ところで2人は、この色好きな男が探しまわっている剣舞の踊り子のことを知っているかな?」

「あ、えと…拝見しました…かなり前ですが…」


春蕾と顔を見合わせた磊は、少し答えづらそう言った。正体を知っていて隠すのはかなり気を使う。春蕾もその反応を見て冷や汗を流した。


「そうなのか。今回もその踊り子が宴に出ると噂で聞いてやって来たんだ。あの飛龍が探し求める女がどんな女なのか見てやろうと思ってね」

「全く…悪趣味なやつめ」

「そんな大した者ではなかったと思いますが…磊もそう思うだろう?」

「そ、そうですね!」

「んー?怪しいなぁ。春蕾の兄上の婚姻の儀で舞ったんだよね?もしかして春蕾の知り合い?」

「い、いや」

「もうよい。黙って飲め劉帆」

「はいはい。って、もう酒がないじゃないか」

「持って来ますっ!!」



春蕾はいてもたってもいられなくなって席を立ち、ついでに余興のために自室へ向かう。

あの男の周りは好色家ばかりなのか?
やっぱり関わるとろくなことがなさそうだ。

気持ちを切り替えられないまま服を着替え、慣れたように面纱をつけた。
今日、誰にもバレずにやり過ごせば、もう剣舞はしばらく辞めよう。
そう心に決めて春蕾は王様の御前に立ち、礼をして剣を構えた。






騒がしかった宴会場がしんと静まり返る。





春蕾が知らぬ間に、剣舞の踊り子の名が皆に知れ渡っていたのだ。



「おお。あれが噂の剣舞の踊り子か」

「劉帆、お前にはやらぬぞ」

「あの者が私を選ぶかもしれないよ」

「あり得ぬ」



そんな会話が交わされているとは露知らず、春蕾は目を閉じて深呼吸をすると、剣を大きく振るった。

体を大きくしならせ、回転しながら飛び上がり、風を切り裂く。
あまりに美しい身のこなしに、その場にいた全員が瞬きも忘れて春蕾を見ていた。





そしてあっという間に最後の動きが終わると、静まり返った王宮の中、王が声を上げた。


「剣舞の踊り子よ。見事な舞であった。こちらへ」


どっと歓声が上がり、大勢の人の間の道を抜けて春蕾は王の元へと歩み寄った。
途中、座ったままこちらに鋭い視線を向ける飛龍と目が合ったが、すぐに逸らした。
磊や劉帆や他の者たちもみんなが春蕾を見ていた。

王はそんな春蕾を連れ、宴会場を後にする。



「先を越されたな」

「っ…」

「おい飛龍!どこに行くつもりだ?」



春蕾が連れてこられた部屋の扉には細かな彩飾が施されており、司家よりももっとお金のかけられた作りになっていた。
部屋の中にいた侍女が同時に扉が開き、王は中に入るよう促した。

春蕾はごくりと息を呑み、緊張した面持ちで歩みを進めた。ここは部屋の真ん中に寝台があるだけだったが、その豪華絢爛さに思わずその人の前で部屋を見渡してしまう。

大きな寝台には若く眉目秀麗な男がゆったりと腰掛けていた。これが何を意味するのかは、年頃の男ならすぐに理解できた。


「其方には褒美として太子の妃の1人にしてやろう。」


春蕾の背中に声をかけた王はそれだけを言い残し、満足げに部屋の扉を閉める。
2人きりになった部屋で、春蕾は立ち尽くしていた。


先ほどの宴でも武官、文官、侍女、宮女問わず視線を奪っていたその人。
夜鈴が以前言っていた、飛龍に並ぶ美貌の持ち主。


太子は王が去った後しばらくしてからやっと立ち上がると、ゆっくりと春蕾に近づいた。



「其方、心に決めた者はいるか」

「…」


その問いかけにゆっくりと首を横に振ると、太子はそうかと呟き、私もだと答えた。


当然、太子の妃になる事ほど光栄なことはなく、誰もがその地位を羨むだろう。
ましてやまだ正妻を迎えていない次期王の最有力候補ともなれば、その争いは熾烈を極める。


しかし、春蕾は生憎男である。
王にも太子にもこの事がバレたら、2人の顔に泥を塗ることになる。自分の首が危なくなるだけではない。父や兄、一族存亡の危機。


あぁ…なぜ私がこんな目に…


「裏口から出ると良い。私も気のない女人と寝る趣味はない。ただ、これは王の命だ。形式上、其方は私の妃となることを理解してくれ」


思っても見なかった言葉に、春蕾は驚いて目を見開いた。
太子とて一刻も早く世継ぎ産む事を国中から望まれているはずだ。その重圧は一般庶民の出の春蕾には計り知れないだろうに。


確か太子はかなり理想が高いと噂だ。
だからまだ正妻を迎えないのだと。
それに何処の馬の骨かも分からぬ奴を妃に迎えるなんて、きっと心外なのだろう。
あくまで“形式上”の妃と言うわけだ。


春蕾がその言葉にホッと胸を撫で下ろすと、太子は少し困ったような顔で言う。


「あからさまに安心されると私も傷つくのだが…其方に一つだけ頼みがある」

「…?」

「今日はこのまま返す代わりに、誰でも良いので其方の侍女をここに連れてきて欲しい。王を欺くには私が其方と朝まで過ごしたという証拠を作らねばならぬ。無論、その女人に手を出すつもりはない。私の話し相手になってくれればそれで良い。」



春蕾は深く頷くと、太子に深く一礼し、入ってきた方とは別の扉から外に出る。そして、誰にも見つからないよう全速力で自室へと向かった。



「えぇ?!太子殿下の部屋に私がですか!?」

「しっ!……あぁ。すまないが、頼まれてくれるか?」

「は、はい。春蕾様のご命令とあらば」



手短に事情を説明して春蕾は舞の時に着ていた衣装を夜鈴に着せ、太子の部屋に向かわせた。
少し不安そうな顔をした彼女の顔が思い出されて罪悪感を覚えつつ、宴に戻ろうと部屋を出た時、突然男の腕が伸びてきた。


ドンっ


いきなり顔の横に手を付かれて逃げ場を塞がれた。
思わず顔を上げると、鼻がぶつかりそうなくらい近くに顔があり、慌てて逸らす。


「っ!」

「お前、踊り子の正体を知っているな?」


耳にかかる吐息と共に低い声が近くで聞こえた。その問いに勢いよく首を横に振る。その瞬間、飛龍は軽々と春蕾を肩に担ぎ上げ、そのまま目の前の扉を開いて中へ連れ込んで鍵をかけた。

腕の中から抜けようと、手足をばたつかせて抵抗するがそれも虚しく、寝台に投げ飛ばされる。
春蕾が体勢を立て直す前に、重い体で覆い被さられ、飛龍が眉間に皺を寄せた。


「っ」

「お前の部屋からあの踊り子が出ていくのを見た。やはり司家の者か?それとも、お前の許嫁か何かか?侍女か?答えろ」


春蕾はすぐに抵抗を始めたが掴まれた腕は簡単に寝台に縫い付けられ、とうとう目が合った。


「踊り子など知らない!」

「私の目が節穴だとでも言いたいのか?」

「あれは私の侍女だ!踊り子ではない!それに、貴方のような不誠実な男には絶対に渡さない!」

「フッ…ならお前がこのまま私に抱かれるか?」

「な、何言って…女しか興味がないのだろう?私は男だぞ!」

「どちらでも構わぬ」


乱暴に服が脱がされ肌が外気に触れる。部屋の中とは言え、まだツンと肌を刺すような寒さと恐怖に体が震える。


「私が怖いか?」

「そんなわけっ」

「なら大人しくしていろ」

「嫌だ!」

「私の陽物は特上だぞ。私に抱かれて乱れなかった者はいない。お前も感じたことのない快感を味わわせてやろう」


ゴリッと固いものが服越しに尻に押し付けられ、春蕾はブルリと体を震わせた。
どう考えてもその大きさは人間のモノではない。


「やめっ//」

「初心なやつだ」

「う、うるさい!//」

「ここを誰かに触られたことは?」



下着越しに手のひらで春蕾のそれを撫で上げる。それは妓楼にいた頃、姉たちがよく言っていたその気にさせる技によく似ていた。


「あ、あるわけないだろう//ぁ、ゃ…触るな//」

「私が初めてか」


低く色気のある声はどれだけ耳を塞いでも春蕾の耳に入って思考を蝕んでくる。
こんな事は全然嬉しくないのに、体はただ触られたと言う事実だけで反応するくらいには正直で。


「ぁ、離せぇ…ん…//」

「もう蜜を溢れさせているのか?恥ずかしいやつだ」


じんわりと下着を濡らしてしまっているのが自分でも分かり、もう早く解放してくれと頭の半分で言っていた。


「ふ、ぁ…やめっ…//」


両腕を一纏めにして押さえつけられ、抵抗できない春蕾の下着を一気に剥ぎ取ると、それを飛龍の大きな手が直接触れ、握り、弄んだ。
誰かに触れられたことは愚か、風呂以外の場所で自身の陽物を見せたことなどない春蕾には、あまりに強すぎる刺激だった。


「…ん…離せっ//」

「こんなに固くしておいて今更離せだと?離されて辛いのはお前の方だぞ?司春蕾」


グチグチと厭らしい水音と短く吐き出す息の音だけが部屋に響く。
それから程なくして、春蕾は苦しげに眉を顰めた。


「ゃ、はっ…ンンッま、て//」

「もう果てそうか?良いだろう。私の手の中で果てろ」

「ぁぁっ…ん゛~~~~//」


次の瞬間、ビクビクと体を振るわせ、濃くて粘度の高い白濁が勢い良く飛び出し、飛龍の手の中を汚してしまった。
初めて触られたのが男で、しかも飛龍に果てさせられたと言う屈辱に、春蕾は下唇を噛み締めて、目に涙を浮かべて堪えるしかなかった。

飛龍はそんな春蕾を見下ろしながら、見せつけるように汚れた手を口元に運び、白濁を舐め上げてみせた。


「濃いな。最後に自分で慰めたのはいつだ」

「っ」

「答えぬなら良い」

「ヒャ…な、何をっぁ、ふ…そ、そんなっ…ぁぁっ…入れるな」


先程吐き出した白濁液を後ろの蕾に塗りつけて潤滑剤にすると、飛龍の長く太い指がツプリとゆっくり中に侵入する。
初めて異物が入ってくる感覚は、ただただ気持ちが悪くて恐怖した。


「は、ん…っ太ぃ…」

「まだ指一本だ。その調子では私の陽物を咥え込むまでに日が昇ってしまうぞ」

「む、無理…も、やめ…//」


抵抗も虚しく、指がゆっくりと出入りを始め、中の形を確かめるように時折指の腹で中のヒダを撫でられる。
その度に、春蕾の体は律儀に反応してしまい、内腿をプルプルと震わせていた。


「は、んっ…ふ、ふぅっ…く、ぁっ…」

「ちゃんと息をしろ。もう一本入れるぞ」

「ンァっ…は、ぅぅ…ん、」


やっと慣れてきた頃、飛龍は様子を見計らって指を引き抜き、すでにぐったりとしている春蕾を組み敷くと、股を割ってズイと体を引き寄せた。そして、熱く高揚した飛龍自身の先端をぐっと押し当てた。


グプッ

「ぁあ゛っ~~~っっ!!!!」

「っ…力を抜け」

「ぃ、たぃ…っ…ぁぁ…」


メリメリと中の肉壁を押し分けて奥へと侵入するそれは狂気に満ちており、今まで感じたことのない快感、どころか痛みが春蕾を容赦なく襲う。

シーツを強く握り締め、短く呼吸を繰り返すことしかできず、やっと中に押し入る動きが止まった時には、春蕾の腹の奥の壁にそれは当たっていた。
ガクガクと内股を震わせ、目から堪えていた涙が一筋こぼれ落ちる。


「抜いて…」


弱々しく出た言葉に飛龍はニヤリと笑う。


「断る。どうだ?私の陽物で中を満たされた気分は」

「っ…ふ…ぅぅ…」

「泣くほど嫌か」

「っ…嫌…だ…ぅぅ…」


ポロポロと涙をこぼす春蕾に、飛龍の眉が一瞬だけぴくりと動く。


「もぅ…抜ぃ、てっ…飛龍…ぅぅ…」

「っ」

「ぁっ…なぜ大きく…ぁあ゛っ!!」


飛龍は掴んだ春蕾の太ももに指が食い込むほど強く掴むと、構わず中を乱暴に突き上げた。部屋の中に肌がぶつかり合う音が速く大きく響く。

痛みと快感が入り乱れ、もう何が何だか分からない。

春蕾は剣舞の時のように体を大きくしならせ、欲を吐き出した。
力なく横たわる男の中からズルリと引き抜くと、まだ形を覚えたままの蕾からゴプリと白濁が溢れ出した。
整わない息遣いしか聞こえない部屋で、春蕾は声にならない声を発した。


「っ……大、嫌ぃ、だ…っ」


明かりもつけず、脱ぎ捨てられた服が散乱した部屋で、寝乱れた寝台の上に流れる涙もそのままに、それでも春蕾の言葉はハッキリと聞こえた。


そんな事など気にする素振りは見せず、飛龍は1人服を着直して無言のまま部屋を出る。






「随分と遅かったね。どこに行ってたの?」

「お前には関係ない」

「春蕾も酒を取りに行ったまま帰ってこないし、危うく私も帰るところだったよ。で、踊り子とはどうなったの?」

「…」

「わー。怖い顔」


飛龍は何も答えず酒を煽った。


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