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1970年代
ベルサイユのばら
しおりを挟む1979年10月10日 - 1980年9月3日、全40話+総集編1話
原作:池田理代子
総監督:長浜忠夫(第1話 - 第13話)、出崎統(第19話 - 第40話)
脚本:篠崎好、山田正弘、杉江慧子
キャラクターデザイン:荒木伸吾、姫野美智
音楽:馬飼野康二
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18世紀のフランス。ジャルジェ将軍の娘として生まれたオスカル・フランソワは、武門の家を継ぐため男として育てられ、長じて王妃マリー・アントワネット付きの近衛隊長に任ぜられる。
スウェーデンの青年貴族フェルゼンと出会ったマリーは激しい恋に陥るが、オスカルもまたフェルゼンにほのかな想いを寄せていた。
フランス革命へ向けて揺れ動きはじめた時代の中、オスカルとともに育ったアンドレは、自らの想いを隠して彼女を見守るが……。
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最終話 「さようならわが愛しのオスカル」
パリでは王政に対する不満から革命の機運が高まっていた。
近衛兵の隊長であるオスカルはいつも側にいたアンドレへの愛に気づき、2人は蛍が舞う湖のほとりで契りを交わし永遠の愛を誓い合う。
そして、隊員の総意のもとオスカル率いる近衛B隊は王室を離れて民衆とともに戦うことを選ぶ。
だがその初戦、アンドレは敵の流れ弾に当たり命を落としてしまう。
オスカルはバスティーユに向かう民衆に合流し、元B中隊を指揮してバスティーユ監獄への砲撃を開始する。
バスティーユの兵士たちは砲撃の指揮をとるオスカルに一斉に銃口を向ける。
オスカルは一瞬、空を飛ぶハトを見る。
オスカル「…アンドレ………」
その刹那、敵の一斉射撃がオスカルの体を貫きオスカルは崩れ落ちる。
ロザリー「オ…オスカル様……」
アラン「隊長!!オスカル隊長!!しっかりしてください!!」
オスカル「…大声を出すな、アラン…ちゃんと…聞こえている…」
ベルナール「こっちだ!早く来い!!」
ベルナールがバスティーユからは死角にあたる路地にアランたちを誘導した。
オスカル「……下ろしてくれ、アラン………、下ろして………。たのむ…お願いだ……。とても、疲れている…。
だから…5分でいい……。静かに、休みたい……」
オスカルが寝かされるのを泣きながら見ているロザリー。
毛布に横たわりオスカルはひとつ深く息をした。
オスカルの左手を取って脈をみる医者。
医者「誰か…顔の血を拭きとってあげなさい…」
ロザリー「…私が」
路地の真上に白いハトが輪を描いて飛んでいる。
オスカル「…どうした……味方の大砲の音が聞こえないぞ。撃て…攻撃を続けろ……。バスティーユを落とすんだ…
…。撃て…アラン、撃つんだ。……何をしている……」
アラン「元衛兵隊員、全員配置につけ!」
オスカル「…撃て…撃つん…だ………」
アラン「よぅし…!みんな!撃ちまくるんだっ!」
オスカルの周りから走って戦闘に戻ってゆくアランはじめ衛兵たち。
ベルナール「聞こえるか、オスカル?味方の総攻撃の声だ」
オスカルの目の前に美しい星空が広がる
それは初めてオスカルとアンドレが愛を確かめ合ったあの湖のほとりで見た光景によく似ていた。
オスカル「アデュー…」
オスカルは、ゆっくり目を閉じた。
ロザリー「いやぁ~っ!!」
ロザリーの悲しい叫び声が、路地にこだました。
「1789年7月14日。オスカル・フランソワ絶命。そしてその1時間後、バスティーユ牢獄は降服の白旗をだす」
5年後、海辺の村で麦わら帽をかぶり、鍬をふるうアラン。
そこへ一台の馬車がやってきて止まった。
ベルナール「おーい、アラン!アラン班長!!」
降りてきたのはベルナールとロザリー夫婦であった。
ベルナール「探したよ、ずいぶん。なんだってバスティーユが落ちた後、黙って消えたんだ?」
アランは丘の先端に立っている2つの十字架の方に目を向けて答えた。
アラン「ここにはオフクロと妹の墓があってな、前々からいずれはここで農業をするつもりだったからな」
ベルナール「…そっくりだ。オスカルとアンドレの墓も、ああしてアラスの小高い丘に並んで立っている」
アラン「オスカルとアンドレか…。考えようによっちゃあ、幸せな2人だったな。革命がたどったその後の醜さを知らずに死んだんだから…」
1789年10月1日。
相変わらず続く食糧不足に雨の中、手に手に武器をもってベルサイユ宮殿に押し寄せる女たち。
女たち「見ておいで!あの女の首をちょん切ってやる!」
女たち「オーストリア女は私たちがこんなにお腹をすかせてんのに、パンがなかったらお菓子を食べたらいいのにと言ったんだ!!」
女たちは、門の錠などぶち壊し、宮殿の中へなだれ込む。
外では集まった民衆が声を揃え、各々の武器を天に向かって突き上げていた。
その時、バルコニーにアントワネットが姿を現した。
アントワネットは罵声と激しい雨を全身に浴びつつも真っ直ぐ前を見据えたまま。
その堂々たる態度に誰一人、声を発することすらできない。
そして王妃は民衆に向かって深々と頭を下げたのだった。
200年続いたブルボン王朝の最後の王妃、マリー・アントワネットが、ついに民衆に深々と頭を垂れたのである。
スウェーデン、フェルゼンの屋敷でワイングラスを傾けるフェルゼンに召使が言った。
召使「すでに国民議会は総領貴族階級の特権を剥奪。そして現在、パリでは毎日のように革命委員会による裁判が行われ、民衆に評判の悪かった貴族たちが、次々と死刑の判決を受けているそうでございます」
フェルゼン「…それで、あの方はどうしておられる?」
召使「はい…、国王ご一家は、民衆の要求により、すでにベルサイユ宮より、パリのチュイルリー宮殿へと移されたそうでございます。」
フェルゼン「なに?!…あの古びた、150年間も人の入ったことない、チュイルリー宮へっ!?……なんということだ…、おいたわしい…」
フェルゼンは、雨の降る庭へ出た。
フェルゼン「オスカル…今は亡き我が心の友…、私に勇気を!天に飛んだ、君の、あのペガサスのごとき白き翼をこのフェルゼンに!!」
天に向かって、両手を広げるフェルゼン。
再び海を見ながら話をするアラン、ベルナール、ロザリー。
ベルナール「哀れフェルゼン…。その情熱がマリー・アントワネットを決定的に追いつめてしまうとは…。ポリニャック婦人をはじめほとんどの王妃をとり巻いていた貴族たちが外国へ逃げていく中で、フェルゼンだけがパリへ戻ってきた」
とうもろこしをかじりながら黙ってベルナールの話を聞いているアラン。
とある教会、十字架の前にひざまづくアントワネット。
そこへやってきたフェルゼン。
駆け寄り抱きしめ合う2人。
フェルゼン「共に死ぬために戻ってまいりました。あなたの盾となり、あなたを支えるために!」
アントワネット「フェルゼン…」
夜の森を猛スピードで走る馬車。
手綱を握り鞭を振るうのはフェルゼン。
馬車の中にはルイ16世、王子、王女とアントワネット。
「1791年6月20日。一台の馬車が密かにパリを抜け出した。それはフェルゼンが全てを賭けた逃亡計画であった」
再び、海辺のベルナールたち。
ベルナール「そして、逃亡計画は見事失敗した」
アラン「まぁ、しゃーねーやな、王妃の悪名とその高慢なツラは、フランス全土に知れ渡ってるからな」
アランは、食べ終えたとうもろこしを波にさらわせる。
ベルナール「バレンヌの町で正体のばれた国王一家は、そのままパリへと連れ戻された…パリまでは3日かかったが、途中の町々では、人々が馬車を取り囲み、大騒ぎになったそうだ」
「そして、その旅の恐怖は、アントワネットの美しいブロンドを、老婆のような白髪に変えてしまったという」
国王一家逃亡事件により、国民は、わずかながら残っていた王室に対する思いを全て捨て、はっきりと、王室に対する裁きを要求し始めたのである。
1792年9月、国民議会に代わって国民公会が誕生。
同時にフランスは王制を廃止、共和国となることを世界中に宣言した。
ルイ16世の死刑が確定。
明けて1793年1月21日、ルイ16世は、断頭台の露と消えた。
海辺の三人。
ロザリー「王妃様には、それからしばらくして死刑の判決が下りました」
アラン「おい…、もうよそうぜ!王妃がどうなったかなんて、オレには興味がねぇ。おい、ベルナール、おまえ、そんなことを話す為に、わざわざオレんとこへ来たのかよ?」
ベルナール「いやぁ、そうじゃない。私は、オスカルとアンドレのことを、キミに聞きたくて来たんだ。私は今、フランス革命小史という本を書いている。その本で、ぜひ、2人のことにふれたいんだよ。少なくとも、キミは二人を知っている一人だ」
アラン「じゃあ、なおさらだ。死刑になるアントワネットの話なんか、…関係ねーよ」
ベルナール「…いや、それがあるんだ。もう少し、ロザリーの話を聞いてくれ」
ロザリー「私は、コンシェルジュリ牢獄へ移された王妃様の、お身の回りのお世話をしていたのです。始めのうち王妃様は、わたくしが誰だったか気づかなかったようですが…」
独房でロザリーがアントワネットの白い髪を梳いている。
鏡に映ったロザリーの顔を見てハッとするアントワネット。
アントワネット「あっ、あなたはひょっとして、オスカルと一緒に、いつか舞踏会でお会いした…?」
ロザリー「はい、ロザリーでございます。少しでもお慰めをと、この役を願い出ました」
アントワネット「あ~…、懐かしいオスカル!聞かせてくださいな、オスカルのことを…ロザリーさん、お願い!」
ロザリー「それからは、毎日のようにオスカル様のお話をお聞かせしました。そして聞き終わると、王妃様は必ずこうおっしゃるのです」
アントワネット「心がやすまります。オスカルに思いを馳せると…」
「1793年10月16日、0時15分。マリー・アントワネット、処刑」
ロザリーが真っ白なばらの造花を一輪、胸に大事そうに抱いて続けた。
ロザリー「これは、最後の日の朝、王妃様がわたくしにくださったものです。独房の中にあった化粧紙で、オスカル様に思いを馳せて作られた。そして、こう言われたのです。
『ロザリーさん、このばらに色を付けてくださいな。オスカルの好きだった色を…』
そう言われて、あらためてハッとしました。私…、オスカル様がどんな色のばらが好きだったかなんて、聞いたことがなかったんです…」
ロザリーの目から、とめどなく涙があふれた。
するとアランが、そのばらをみつめてこう言った。
アラン「オスカルは知らねーが、アンドレならきっと…白が好きだって、言うぜ…」
ロザリー「じゃあ、このままの方がいいですね?」
アラン「「ああ…、それがいい…」
夕暮れの近づいた海岸で、3人は、オスカルの美しい思い出に浸るのだった。
「それからしばらくして、ロベスピエールとサンジュストも、政権争いに破れ、処刑される。
そしてさらに10年後、アントワネットの死後、祖国に帰り着いたフェルゼンは、民衆を憎む心冷たい権力者となり、民衆の手により虐殺されたという………」
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このアニメや宝塚による舞台により「ベルばら」は社会現象を起こす程の人気を博し、欧州でも「Lady Oscar」のタイトルで放送され大人気になりました。
フランス革命の歴史を学ぶのにうってつけだと教師公認の漫画で、学校で単行本を回し読みしていました。
実際はオスカルが教えてくれたのは革命前夜のフランスですが、7月14日は「バスティーユ牢獄襲撃」より「オスカルの命日」として覚えています。
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声の出演
オスカル:田島令子
アンドレ:志垣太郎
マリー=アントワネット:上田みゆき
フェルゼン:野沢那智,堀勝之祐
ロザリー:吉田理保子
ジェローデル:三景啓司
オルレアン:市川治
アラン:山田俊司
ジャルジェ将軍:内海賢二
ばあや:京田尚子
ルイ16世:安原義人
ロベスピエール:森功至
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