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1970年代
デビルマン
しおりを挟むヒマラヤの山奥で、氷の中に閉じ込められた異形のものたちが動き出そうとしていた。
人類の歴史が始まる遙か以前から眠り続けていた悪魔・デーモン族だ。
彼らは我がもの顔で地球上にのさばる人間たちを絶滅させ、自分たちの世を取り戻すつもりなのだ。
ヒマラヤを探検していた不動博士と息子の明は、彼らと出会って命を奪われてしまう。
デーモン族の英雄の一人・デビルマンは不動明の体を乗っ取り、人間界制圧の尖兵として日本に降り立った。
しかし不動明のいとこである牧村美樹と出会い、心を奪われてしまう。
デビルマンは美樹を守るため、人間を倒す使命を投げ捨ててデーモン族を裏切ることを決心した。
彼はただ一人、次々と襲いかかってくるデーモン族の妖獣を相手に戦い続ける。
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1972年7月8日~1973年3月31日、全39話
原作:永井豪
監督:勝間田具治 ほか
脚本:辻真先 ほか
キャラクターデザイン:小松原一男
音楽:三沢郷
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第39話「妖獣ゴッド神の奇跡」
ヒマラヤ山脈の洞窟にいる魔王ゼノンが妖獣ゴッドを呼び出す。
ゼノン「今までに送り込んだデーモン族はことごとくあの憎きデビルマンによって倒された。ゆけ、ゴッド。デーモン族の意地にかけて必ずやデビルマンを倒し人間界を征服するのだ」
ゴッド「お任せください、ゼノン様。私めに一計がございます。必ず思し召し通りに」
不動明(デビルマン)が牧村美樹の弟タレに呼ばれてリビングに行く。
リビングでは牧村夫妻と美樹がソファに座ってテレビを見ていた。
テレビには羽田空港にバベルの塔が現れ、崩れて管制ビルを壊す場面が映る。
一方、街には巨大なスフィンクスが現れて大暴れ。
海には突然、巨大な滝が現れてタンカーが沈没する。
空からは岩が落ちてきて新幹線に衝突した。
タレとタレの友達の女の子ミヨが、川から飛び出して来たサメに襲われた。
バイクに乗って来た明がそれを助けた。
明「あれは本物のサメだった。デーモンが化けているんじゃねえ。とするとこんな途方もないことができる奴は妖獣ゴッド!」
明が部屋に一人でいるとき、背後にゴッドが現れた。
明「親衛隊長のあんたまで駆り出すとは魔王ゼノンも種が尽きたな」
ゴッド「フフフ、何とでもほざけ。ところでデーモン界では俺がお前の上役だった。つまりお前の弱点をこの俺が一番良く知っているということだ」
ゴッドはテーブルの上にあった美樹の写真を明に突きつける。
ゴッド「お前が俺の邪魔をしたら、お前の正体をこの娘にばらす」
バイクに乗っている明。
明「この人の世で俺は初めて愛というものを知った。そしてその優しさが俺の心を目覚めさせた。その時から俺はデーモン族を裏切り、奴らを敵に回した。その俺が生きて行く世界は、この人間界しかない。俺の正体は絶対人間に知られちゃならねえ。この人間界で生きて行くためにも、美樹を失わないためにも。俺はどんなことがあろうと妖獣ゴッドに手出ししちゃならねえんだ」
日比谷公園に絶滅した恐竜が現れ自衛隊が戦車で出動した。
だが戦車隊は全滅してしまう。
好き勝手に暴れる妖獣ゴッド。
明「くそう!たとえどんなことが起ころうと、ゴッドには手出しはできねえんだ」
腕組みし、燃えている街を窓から眺めている明。
ゴッド「いかずちよ、あれー!」
飛行機に落雷し、飛行機は墜落、町に大火事が起きる。
タレとミヨが巻き込まれる。
ゴッド「大地よ、裂けろー!」
と、道路に大きな穴が開く。
そこへ走ってやってきた明と美樹。
明「だめだ、これ以上進めねえ」
美樹「明くん、何とかして!このままじゃタレちゃんとミヨちゃんが焼け死んじゃうわ!」
明「必ず助けて来てやる。美樹、待ってろ」
その場から走り去る明。
明「あとはどうなろうとも、これ以上黙って見ているわけにはいかねえ。デービール!」
ついに明はデビルマンに変身した。
デビルマンは倒れているタレとミヨを抱き抱えた。
そこにゴッドが現れた。
ゴッド「デビルマン!約束を破るというのか!」
デビルマン「これ以上、貴様の好き勝手にはさせられん!」
ゴッド「何だと?約束を破ったらどうなるか貴様が一番良く知っているはずだぞ」
デビルマン「覚悟はできている!」
明は気絶したタレとミヨを抱き抱えて、美樹と両親の前に現れた。
明「おじさん、おばさん、早く手当を」
明がふたりを手渡すと両親は急いで去ってゆく。
喜んで明に抱きつく美樹。
そこへゴッドの笑い声が聞こえてくる。
美樹「あっ、化け物!」
ゴッド「フフフ。俺は確かに化け物だ。人によっては神と呼ぶ者もいるがな」
雨を降らせ、雷を起こすゴッド。
ゴッド「わかったか、牧村美樹。俺は全知全能の神。心に念ずるだけであらゆる奇蹟を起こすことができるのだ」
美樹「じゃあバベルの塔も、スフィンクスも」
ゴッド「その通りだ。しかし驚くのはまだ早い。不動明!奴もまた俺と同じ化け物だ!デビルマンとは彼のことだ!」
うなだれて美樹から離れて行く明。
明はとうとう美樹の目の前で変身する。
明「デービール!」
ゴッド「美樹の目の前でついに変身したかデビルマン。これが不動明の正体だ、わかったか!」
デビルマン「とうとう正体を見られてしまったな、美樹」
だが美樹はゴッドに言う。
美樹「うそ!あなたの仕業ね!また奇蹟とやらを起こしたんでしょう!」
ゴッド「馬鹿な。今の変身は俺の仕業ではない」
美樹「嘘つき!あなたのせいに決まってる。明くんが化け物であるはずがないわ。無論あなたは神でもない。本当の神様があなたみたいに人間の世界に害を加えるもんですか」
自分の胸に美樹は手を当てる。
美樹「神様なら、あたしたちのここに住んでるわ!神の名を語る化け物。さあ、明くんを元の姿に戻してよ!」
ゴッド「こ、この神を恐れぬ罰当たりめ!竜巻よ、あれー!」
発生した竜巻が美樹を襲うが、デビルマンはそれをデビルアローで食い止める。
ゴッド「またしても!こうなればデビルマン、神と悪魔の一戦を交える他にはないようだな」
デビルマン「望むところだ!」
ゴッドカッターとデビルカッター、ゴッドアローとデビルアロー、ゴッドビームとデビルビームを互いに撃ち合う。
地面に落下するふたり。
両者共ボロボロで、動くことができない。
美樹(明くん、負けないで。負けないで、明くん)
その心の声が届いたのか立ちあがるデビルマン。
デビルマンはゴッドを後ろから羽交い締めにして空へ飛んだ。
デビルマン「デビルビーム!」
遂にゴッドは負けて燃え尽きるのだった。
バイクに二人乗りしている明と美樹。
美樹「良かったわ、元の明くんに戻って。化け物のままだったらどうしようかと思ったわ」
明「もしそうだったら俺を嫌いになったかい?」
美樹「そうでもないわ。案外、格好良かったわ」
明「ありがとうよ」
美樹「何が?」
明「俺を信じてくれたってことさ。目の前でデビルマンになった俺を」
美樹「どんな格好になったって中身は同じ明くんじゃない?」
明「そうだよ。好きだぜ、美樹」
美樹「え?何か言った?」
明「何でもねえよ!」
ナレーション「デビルマンは勝った。だが魔王ゼノンの元には今も不気味な妖獣の群れが蠢いている。孤独な戦いを続けるデビルマンに勝利が訪れるのはいつの日か」
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アニメ版デビルマンはみんなの心にトラウマを植え付けたコミック版デビルマンとは設定だけ同じでストーリーは全く別物です。
コミックでは人間不動明がアモンという悪魔の力を吸収してデビルマンとなりましたが、アニメでは逆にデビルマンという悪魔が不動明の体を奪って人間界にやって来ます。
しかし、初めて出会った人間の女の子、牧村美樹に心を奪われたデビルマンはコロッとデーモン族を裏切ります。
ですからOPの歌詞にあるようにデビルマンが裏切者の名を受けるのは当然なのです。
ちなみに、本放送の時は第38話「妖獣ドリムーン 月は地獄だ」で放映が終了し、再放映の時に初めてこの第39話を放送したそうです。
昔は(今も?)子供向け番組の扱いは雑だったのでこういうことはよくありました。
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デビルマン / 不動明:田中亮一
牧村美樹:坂井すみ江
牧村健作(タレちゃん):山本圭子
魔王ゼノン:柴田秀勝
妖獣ゴッド:野田圭一
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