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組合長
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〇公民館。
T[女岩島コミュニティセンター」
〇同、霊安室。
台の上にシーツをかけられ横たわる武藤雄太の遺体。
武藤「雄太ァ!雄太ァ!!」
屈強な大男、雄太の父親、武藤昭一(53)が遺体にすがりつき号泣。
T「女岩島漁協の組合長、武藤昭一」
制服姿の駐在、三好良介(29)が背後から武藤に話しかける。
三好「組合長……。お悔やみ申し上げます」
武藤、振り向くと三好の胸倉をつかむ。
武藤「あいつはどこや!?」
三好「あ、あいつと申しますと?」
武藤「村長の娘や!わしの大事な一人息子を殺した腐れアマを渡さんかい!わしがこの手でぶち殺したるわい!!」
三好「た、橘 美咲は保護されて、診療所で治療中であります」
武藤「保護やと!?美咲は雄太を殺した犯人やないんか!?」
三好「大変申し上げにくいのですが、橘 美咲はご子息に…そのう…強姦されそうになって、やむなく抵抗したと……」
武藤「強姦!?そんな筈あるかい!雄太はあの売女に騙されて付き合ってたんやで。それは島の者ならみんな知ってることやろ。なんで今さら強姦せなあかんのや!」
三好「橘 美咲が別れ話を切り出したら、ご子息がカーッとなって、いきなり暴力に訴えた。そう証言しとるそうです」
武藤「そんなアホな!!」
三好を突き飛ばす武藤。
武藤「雄太は誰かにはめられたんや!許さんぞ!必ず犯人を捜して、雄太の仇を取ったるからな!!」
〇診療所。病室。
ベッドに眠る病衣姿の美咲。
白衣の杏奈とスーツ姿の女刑事、越智絵里香(26)が話している。
絵里香「県警から参りました越智です。よろしくお願いいたします」
杏奈「よかった!やはり女の刑事さんですのね」
絵里香「はい。やはり性的犯罪の被害者の事情聴取には女性でないと。それに私は強行犯係ですから、当然殺人事件などの捜査にも当たれます」
絵里香「(腫れあがった美咲の顔を見て)酷いですねぇ……」
杏奈「打撲、擦傷が全身に多数。鎖骨にはヒビまで入っています」
絵里香に診断書を手渡す杏奈。
杏奈「今は薬で眠っていますが、さっきまでパニック状態でした」
絵里香「可愛そうに…」
杏奈「正当防衛は認められますよね」
絵里香「それは彼女から聞き取りをしてみないとわかりません。十八歳の少年を殺害したのですからねぇ。事件態様では過剰防衛とみなすべきケースもあります」
美咲「えっ!?話が違うわ!私、刑務所なんか行かへんよ!」
いきなり、ガバッと起き上がる美咲。
絵里香「先生!?薬で眠っていたのではないのですか!?」
杏奈「………美咲のバカ!」
手で目を覆う杏奈。
T[女岩島コミュニティセンター」
〇同、霊安室。
台の上にシーツをかけられ横たわる武藤雄太の遺体。
武藤「雄太ァ!雄太ァ!!」
屈強な大男、雄太の父親、武藤昭一(53)が遺体にすがりつき号泣。
T「女岩島漁協の組合長、武藤昭一」
制服姿の駐在、三好良介(29)が背後から武藤に話しかける。
三好「組合長……。お悔やみ申し上げます」
武藤、振り向くと三好の胸倉をつかむ。
武藤「あいつはどこや!?」
三好「あ、あいつと申しますと?」
武藤「村長の娘や!わしの大事な一人息子を殺した腐れアマを渡さんかい!わしがこの手でぶち殺したるわい!!」
三好「た、橘 美咲は保護されて、診療所で治療中であります」
武藤「保護やと!?美咲は雄太を殺した犯人やないんか!?」
三好「大変申し上げにくいのですが、橘 美咲はご子息に…そのう…強姦されそうになって、やむなく抵抗したと……」
武藤「強姦!?そんな筈あるかい!雄太はあの売女に騙されて付き合ってたんやで。それは島の者ならみんな知ってることやろ。なんで今さら強姦せなあかんのや!」
三好「橘 美咲が別れ話を切り出したら、ご子息がカーッとなって、いきなり暴力に訴えた。そう証言しとるそうです」
武藤「そんなアホな!!」
三好を突き飛ばす武藤。
武藤「雄太は誰かにはめられたんや!許さんぞ!必ず犯人を捜して、雄太の仇を取ったるからな!!」
〇診療所。病室。
ベッドに眠る病衣姿の美咲。
白衣の杏奈とスーツ姿の女刑事、越智絵里香(26)が話している。
絵里香「県警から参りました越智です。よろしくお願いいたします」
杏奈「よかった!やはり女の刑事さんですのね」
絵里香「はい。やはり性的犯罪の被害者の事情聴取には女性でないと。それに私は強行犯係ですから、当然殺人事件などの捜査にも当たれます」
絵里香「(腫れあがった美咲の顔を見て)酷いですねぇ……」
杏奈「打撲、擦傷が全身に多数。鎖骨にはヒビまで入っています」
絵里香に診断書を手渡す杏奈。
杏奈「今は薬で眠っていますが、さっきまでパニック状態でした」
絵里香「可愛そうに…」
杏奈「正当防衛は認められますよね」
絵里香「それは彼女から聞き取りをしてみないとわかりません。十八歳の少年を殺害したのですからねぇ。事件態様では過剰防衛とみなすべきケースもあります」
美咲「えっ!?話が違うわ!私、刑務所なんか行かへんよ!」
いきなり、ガバッと起き上がる美咲。
絵里香「先生!?薬で眠っていたのではないのですか!?」
杏奈「………美咲のバカ!」
手で目を覆う杏奈。
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