母獣列島

限界集落

○女岩島めいわじま。
T「瀬戸内海の離島、岡山と香川の中間に位置する女岩島めいわじま。
　人口は192人（男 88人、女104人）、世帯数は112世帯、年々人口が減少する限界集落である。
　総面積は2.67平方キロメートル、人口密度は1平方キロメートルあたり70.33人だが、可住地面積が非常に狭いため、集落内の人口密度はこれ以上に高い。
　島民の９割が漁業に従事、夏場のみ海水浴場、キャンプなどで観光客を集める」


○女岩島めいわじま唯一の漁港。
　さびれた漁港に１隻の小型貨物船が到着する。


○同、船着場。
　小型の貨物船から港に降り立つ児童相談所の所長、森田（４８）と女性職員、平塚（２８）。

村長「わざわざ本土からご苦労様です」
　森田達を出迎える女岩島めいわじまの村長、橘 敏明(４４)。
　古いワゴン車の後部席に乗り込もうとする森田と平塚。
平塚「も、森田所長！この車、ナンバープレートがありませんよお！」
村長「わははは！女岩島めいわじまではナンバーの無い車も普通に走っとります。この島には信号機もない。警察も島出身の駐在が一人だけ。正直、治外法権ですわ」
　森田と平塚、呆れ顔。


○同、海沿いの道。
　ガタガタと海沿いの未舗装道を走るワゴン車。
平塚「藤原育人ふじわらいくと、１４歳。生まれてすぐに母親は病死し、父親の藤原大志、４１歳と二人暮らし。小学校５年の学年末から不登校が始まり、中学生になってからまったく登校していません。父親のネグレクトの疑いがあると、以前から近所の通報が入っていました」
　資料を読み上げる平塚。
森田「ふむ！まずは育人いくと君の安否確認を行い、虐待の疑いがあった場合は保護しましょう。最悪、警察へ通報する必要があるかもしれませんね」
村長「気を付けください。大志は島の鼻つまみ者です。一度暴れだしたら手が付けられません」
　不安げに顔を見合わせる森田所長と平塚。
平塚（やっぱ、こんな島に来るんじゃなかったわ。早く帰りたい！）