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ロック冒険記 その2
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治美と横山は店の奥で忙しそうに働いている小森章子を見ながら話をした。
「どうして喫茶アメリカンなのに小森さんは着物を着ているのでしょうね?」
「あっちにはチャイナ服のウェイトレスもいるわ」
「本当ですね!さすが、大阪だ!カオスですねぇ」
「それにしても彼女、美人ねぇ………。そうだわ!この前観た映画の女優に似てるのね。誰だっけ、『二十四の瞳』に出てた人?」
「――高峰 秀子ですか?」
「そうそう!その人!」
「確かに綺麗な女性ですねぇ…」
横山は遠くで働いている小森章子の優雅な立ち振る舞いに見惚れていた。
「あらあら、横山さん。変な気を起こしちゃダメですよ。歴史が変わっちゃうわよ」
治美が横山をからかうと彼は真顔で返してきた。
「どうして僕が変な気を起こしたら歴史が変わるのですか?」
「例えばですねぇ、横山さんが小森さんと結婚して子供ができたとしましょう。すると本当なら歴史上存在しない人間が生まれたことになるのよ。逆に小森さんが別の人と結婚して生まれてくるはずだった人が存在しなくなるわ」
治美が得意げに説明した。
「ははーん。雅人くんの説ですね。歴史を変える恐れがあるから、未来人はできるだけ目立たないようにおとなしく暮らせって。手塚先生はそんな窮屈な暮らしで平気ですか」
「そりゃ、わたしだってもっと自由に生きたいわ。でも将来わたしが生まれてこなくなったら困るでしょ。それにわたし、マンガ描いてたらそれだけで結構幸せよ」
横山は溜息をついて首を左右に振った。
「僕が小森さんと結婚してもさほど歴史に影響しない場合もありますよ」
「どんな場合?」
「未来人同士が結婚する場合です。これなら影響は最小限に収まると思いますよ」
「こ、小森さんが未来人なの!?でもメガネはかけていないわよ…」
「可能性が無きにしも非ずですよ。それをこれから確かめましょう」
「お待たせしました」
メイド姿の小森章子が治美たちのテーブルに飲み物を運んできた。
「何かうちに御用どすか?」
小森がいぶかしげな表情で横山に尋ねた。
「あなたが小森章子さん?」
治美が呼び掛けると、章子は初めて治美の顔を見た。
「あっ!?あなたは!?」
治美が被っていた赤いベレー帽を脱いだ。
見事に金色に輝く長い髪の毛が現れた。
「て、て、手塚先生!?」
小森は丸いお盆を胸に抱えて緊張に身を震わせた。
「わざわざうちに会いに来てくれはったんですか?」
「ええ。小森さん、わたしのマンガを描くのを手伝ってもらえる?」
「も、もちろんどすえ!」
「小森さん。僕はチーフアシスタントの横山光輝と言います」
横山がおもむろに紙と鉛筆を取り出した。
「それじゃあ、さっそく虫プロの入社テストだ!」
「テ、テストがあるんどすか!?」
「どうして喫茶アメリカンなのに小森さんは着物を着ているのでしょうね?」
「あっちにはチャイナ服のウェイトレスもいるわ」
「本当ですね!さすが、大阪だ!カオスですねぇ」
「それにしても彼女、美人ねぇ………。そうだわ!この前観た映画の女優に似てるのね。誰だっけ、『二十四の瞳』に出てた人?」
「――高峰 秀子ですか?」
「そうそう!その人!」
「確かに綺麗な女性ですねぇ…」
横山は遠くで働いている小森章子の優雅な立ち振る舞いに見惚れていた。
「あらあら、横山さん。変な気を起こしちゃダメですよ。歴史が変わっちゃうわよ」
治美が横山をからかうと彼は真顔で返してきた。
「どうして僕が変な気を起こしたら歴史が変わるのですか?」
「例えばですねぇ、横山さんが小森さんと結婚して子供ができたとしましょう。すると本当なら歴史上存在しない人間が生まれたことになるのよ。逆に小森さんが別の人と結婚して生まれてくるはずだった人が存在しなくなるわ」
治美が得意げに説明した。
「ははーん。雅人くんの説ですね。歴史を変える恐れがあるから、未来人はできるだけ目立たないようにおとなしく暮らせって。手塚先生はそんな窮屈な暮らしで平気ですか」
「そりゃ、わたしだってもっと自由に生きたいわ。でも将来わたしが生まれてこなくなったら困るでしょ。それにわたし、マンガ描いてたらそれだけで結構幸せよ」
横山は溜息をついて首を左右に振った。
「僕が小森さんと結婚してもさほど歴史に影響しない場合もありますよ」
「どんな場合?」
「未来人同士が結婚する場合です。これなら影響は最小限に収まると思いますよ」
「こ、小森さんが未来人なの!?でもメガネはかけていないわよ…」
「可能性が無きにしも非ずですよ。それをこれから確かめましょう」
「お待たせしました」
メイド姿の小森章子が治美たちのテーブルに飲み物を運んできた。
「何かうちに御用どすか?」
小森がいぶかしげな表情で横山に尋ねた。
「あなたが小森章子さん?」
治美が呼び掛けると、章子は初めて治美の顔を見た。
「あっ!?あなたは!?」
治美が被っていた赤いベレー帽を脱いだ。
見事に金色に輝く長い髪の毛が現れた。
「て、て、手塚先生!?」
小森は丸いお盆を胸に抱えて緊張に身を震わせた。
「わざわざうちに会いに来てくれはったんですか?」
「ええ。小森さん、わたしのマンガを描くのを手伝ってもらえる?」
「も、もちろんどすえ!」
「小森さん。僕はチーフアシスタントの横山光輝と言います」
横山がおもむろに紙と鉛筆を取り出した。
「それじゃあ、さっそく虫プロの入社テストだ!」
「テ、テストがあるんどすか!?」
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