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ジャングル大帝 その5
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玲奈が描いた島村ジョー、サイボーグ009の絵を見て金子は叫んだ。
「玲奈は石森章太郎先生なのか!?これはたまげた!」
金子は目を見開き、玲奈をまじまじと凝視した。
「石森章太郎、違う。石ノ森章太郎!」
「石ノ森章太郎は生まれ故郷が宮城県登米郡石森町だから最初石森ってペンネームにしたのだよ。みんな『いしもり』って読んだけど、本当は『いしのもり』なんだ」
「ふーん……」
玲奈はどうでもいいという表情で金子の話を聞いた。
「『漫画の神様』といえば手塚治虫だが、石森章太郎は『漫画の王様』と称されたんだ。『サイボーグ009』、『ミュータントサブ』、『リュウの道』、『佐武と市捕物控』、『HOTEL』、『009ノ1』、『マンガ日本の歴史』…。石森章太郎が日本の漫画界に与えた影響は計り知れない!。
「でも石森章太郎といえば特撮ヒーローだ!『快傑ハリマオ』、『仮面ライダー』、『イナズマン』、『人造人間キカイダー』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『ロボット刑事』、『イナズマン』、『変身忍者 嵐』、『がんばれ!!ロボコン』、『好き! すき!! 魔女先生』……」
金子は興奮のあまり全身を振るわせながらまくし立てた。
「金子さん、金子さん!それぐらいにして!」
治美が少し苛立った口調で言った。
治美の前で手塚治虫以外の漫画家のことを褒めると、彼女はもの凄く機嫌が悪くなる。
「でも、手塚先生。玲奈はまだ12歳の女の子ですよ。石森章太郎になれますかね?」
横山が灰皿に煙草を押し付けて火を消しながら言った。
「大丈夫よ。平成生まれの子だから発育がいいわ。今の時代なら18歳と言っても通用するわ」
みんな玲奈の全身を上から下までジロジロと見た。
確かに昭和30年の子供に比べたら令和から来た玲奈は大人びて見えたが、果たして誤魔化せるだろうか。
なんにせよ、また戸籍を偽造しなければと横山は考えていた。
「見ないで!」
玲奈が大人たちの視線に気づき、ムッとしてそっぽを向いた。
「どうだい、玲奈?漫画描いてみるかい?」
横山が優しく玲奈に尋ねた。
「――やる!」
言葉は少なかったが玲奈は強く決意を固めて言った。
治美が手を差し出すと、玲奈はその手を強く握りしめた。
「それじゃ、玲奈ちゃん。しばらくわたしのレギュラーアシスタントをしながら、漫画の描き方を覚えてね」
「はい!嬉しいです、手塚先生!」
「わたしもまわりが男の人ばっかりだったから、玲奈ちゃんみたいな可愛い女の子が来てくれて嬉しいわ」
「ところで…」
金子は横山に尋ねた。
「横山さん、伊達直人って偽名を使ったのかい?」
「ええ。未来人にだけ通じる名前でしょ。ダメもとで聞いてみたら玲奈も知っていましたよ」
「へぇ…。玲奈はよくタイガーマスクみたいな古い漫画を知っていたね?」
「――タイガーマスク運動って小学校の教科書に載っていたから」
「そうなんだ!おじさんの時代とは隔世の感があるねぇ」
金子はニコニコと孫娘に接するように玲奈に話しかけた。
「あのう……」
玲奈は恥ずかしそうに小声で金子に向かって言った。
「ん?なんだい?」
「おじさん、藤子・F・不二雄なんでしょ」
「ま、そのつもりだがね」
「サインして欲しいの」
「えっ?」
「ドラえもんの絵も描いて」
「お安い御用だ!」
サインをせがまれたのは生まれて初めてだった。
金子は心底嬉しそうに微笑んだ。
ふと金子が治美の方を見ると、彼女は涙目で恨めし気に彼を睨んでいた。
金子はギクッと顔を引きつらせた。
治美が猫なで声で玲奈に近寄って行った。
「れ、玲奈ちゃん。わたしもアトムの絵を描いてあげようか?」
玲奈はすぐに首を横に振った。
「別に……」
治美は絶望のあまり、がっくりとひざまづき頭を垂れた。
Orz。
「玲奈は石森章太郎先生なのか!?これはたまげた!」
金子は目を見開き、玲奈をまじまじと凝視した。
「石森章太郎、違う。石ノ森章太郎!」
「石ノ森章太郎は生まれ故郷が宮城県登米郡石森町だから最初石森ってペンネームにしたのだよ。みんな『いしもり』って読んだけど、本当は『いしのもり』なんだ」
「ふーん……」
玲奈はどうでもいいという表情で金子の話を聞いた。
「『漫画の神様』といえば手塚治虫だが、石森章太郎は『漫画の王様』と称されたんだ。『サイボーグ009』、『ミュータントサブ』、『リュウの道』、『佐武と市捕物控』、『HOTEL』、『009ノ1』、『マンガ日本の歴史』…。石森章太郎が日本の漫画界に与えた影響は計り知れない!。
「でも石森章太郎といえば特撮ヒーローだ!『快傑ハリマオ』、『仮面ライダー』、『イナズマン』、『人造人間キカイダー』、『秘密戦隊ゴレンジャー』、『ロボット刑事』、『イナズマン』、『変身忍者 嵐』、『がんばれ!!ロボコン』、『好き! すき!! 魔女先生』……」
金子は興奮のあまり全身を振るわせながらまくし立てた。
「金子さん、金子さん!それぐらいにして!」
治美が少し苛立った口調で言った。
治美の前で手塚治虫以外の漫画家のことを褒めると、彼女はもの凄く機嫌が悪くなる。
「でも、手塚先生。玲奈はまだ12歳の女の子ですよ。石森章太郎になれますかね?」
横山が灰皿に煙草を押し付けて火を消しながら言った。
「大丈夫よ。平成生まれの子だから発育がいいわ。今の時代なら18歳と言っても通用するわ」
みんな玲奈の全身を上から下までジロジロと見た。
確かに昭和30年の子供に比べたら令和から来た玲奈は大人びて見えたが、果たして誤魔化せるだろうか。
なんにせよ、また戸籍を偽造しなければと横山は考えていた。
「見ないで!」
玲奈が大人たちの視線に気づき、ムッとしてそっぽを向いた。
「どうだい、玲奈?漫画描いてみるかい?」
横山が優しく玲奈に尋ねた。
「――やる!」
言葉は少なかったが玲奈は強く決意を固めて言った。
治美が手を差し出すと、玲奈はその手を強く握りしめた。
「それじゃ、玲奈ちゃん。しばらくわたしのレギュラーアシスタントをしながら、漫画の描き方を覚えてね」
「はい!嬉しいです、手塚先生!」
「わたしもまわりが男の人ばっかりだったから、玲奈ちゃんみたいな可愛い女の子が来てくれて嬉しいわ」
「ところで…」
金子は横山に尋ねた。
「横山さん、伊達直人って偽名を使ったのかい?」
「ええ。未来人にだけ通じる名前でしょ。ダメもとで聞いてみたら玲奈も知っていましたよ」
「へぇ…。玲奈はよくタイガーマスクみたいな古い漫画を知っていたね?」
「――タイガーマスク運動って小学校の教科書に載っていたから」
「そうなんだ!おじさんの時代とは隔世の感があるねぇ」
金子はニコニコと孫娘に接するように玲奈に話しかけた。
「あのう……」
玲奈は恥ずかしそうに小声で金子に向かって言った。
「ん?なんだい?」
「おじさん、藤子・F・不二雄なんでしょ」
「ま、そのつもりだがね」
「サインして欲しいの」
「えっ?」
「ドラえもんの絵も描いて」
「お安い御用だ!」
サインをせがまれたのは生まれて初めてだった。
金子は心底嬉しそうに微笑んだ。
ふと金子が治美の方を見ると、彼女は涙目で恨めし気に彼を睨んでいた。
金子はギクッと顔を引きつらせた。
治美が猫なで声で玲奈に近寄って行った。
「れ、玲奈ちゃん。わたしもアトムの絵を描いてあげようか?」
玲奈はすぐに首を横に振った。
「別に……」
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Orz。
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