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第03章 初めてのダンジョン攻略
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ラインターレルが私の喉元に長剣を突き付けた。
「ちょ、ちょと待ちなよ!」
カブッツイが大慌てで彼を制止した。
「やめときなよ、ラインターレル!」
「カブッツイ!何故止める!」
「見てごらんよ」
カブッツイが自分の持っていたジャスパーをラインターレルに見せた。
ジャスパーには剣を持ったラインターレルが私を脅している情景が生中継されていた。
そして画面上には視聴者のコメントがものすごい勢いで流れていた。
コメントはラインターレルの横暴に対する批判と私に対する応援メッセージだった。
「こ、これは…!?」
「国中の者がこの映像を見ているみたいだよ。今さら配信を中止したら国に戻ってから何を言われるか分かったもんじゃないよ」
「グヌヌヌ……!」
ラインターレルは忌々しそうに私を睨みつけ、すぐにその表情も配信されることに気づいて平静を装った。
「仕方あるまい。考えようによっては我らの活躍を皆に見せつける良い機会だ。配信を続けるが良い」
「ありがとうございます!近衛騎士団長様!」
私はうやうやしい態度でお辞儀をした。
「それではこれよりダンジョンに突入するぞ!行け!獣人ども!」
「あら?近衛騎士団長様ともあろう方がこんな可愛いケモノ娘たちを盾にして進むのですか?」
私がそう言うとラインターレルは口をつぐんで考え込んだ。
「………俺が先陣を務める。カブッツイとローリングが後に続け。しんがりはスラストだ」
「アイテム収納の魔法!」
私は持っていた荷物を半分だけ取り出してダンジョンの入り口前に置いた。
「荷物を半分出しておくわ。アンナ達はここで荷物番をしていて」
「ステラはんは!?」
「私は荷物運びだし、ライブ中継するからダンジョンに入ってゆくわ」
「わかりました!気を付けてくださいね。うちら、ここで帰りを持ってますから!」
ダンジョンに突入した私たちはそれぞれ「照明の魔法」を唱えて自分の頭上に光源球を飛ばした。
光源球に明るく照らされた洞窟を私たちは無言で突き進んだ。
途中何十何百という数のゴブリンが現れ、私たちに襲い掛かって来た。
しかし、近衛騎士団長や宮廷魔導士の敵ではなかった。
ゴブリン達はあっけなく倒されてゆき、私たちはダンジョンの最深部に向かって危なげなく探索を続けた。
私も幾度か自ら志願して先頭を歩いてみた。
思った通り狭いダンジョン内でゴブリン達も一列になって襲ってきた。
「発射の魔法」
私が先を尖らせた竹やりを発射すると一気にゴブリンの群れを貫いた。
ゴブリンはたちまち塵となって消し飛んだ。
「これなら少しのMP消費で敵を倒せるわ」
「お主ほどの大量にMPを保有しとる者がどうしてそんなけち臭いことをしとるんじゃ?」
スラストが不思議そうに私に尋ねたが、私は曖昧な笑顔を浮かべて返事をしなかった。
私は荷物を運ぶためにアイテム収納の魔法を常に使用している。
これが結構MPの消費が多いのだ。
道理でアイテム収納の魔法が廃れてしまったわけだ。
よほど保有MPに余裕のある魔法使いでないと使えないのだ。
「なんだ、ゴブリンの巣と言っても楽勝じゃない!」
「確かにあまりにも手ごたえがなさすぎる。どうして先発隊は全滅したのだろう?」
私たちは不安から次第に危機感をつのらせてきた。
「ちょ、ちょと待ちなよ!」
カブッツイが大慌てで彼を制止した。
「やめときなよ、ラインターレル!」
「カブッツイ!何故止める!」
「見てごらんよ」
カブッツイが自分の持っていたジャスパーをラインターレルに見せた。
ジャスパーには剣を持ったラインターレルが私を脅している情景が生中継されていた。
そして画面上には視聴者のコメントがものすごい勢いで流れていた。
コメントはラインターレルの横暴に対する批判と私に対する応援メッセージだった。
「こ、これは…!?」
「国中の者がこの映像を見ているみたいだよ。今さら配信を中止したら国に戻ってから何を言われるか分かったもんじゃないよ」
「グヌヌヌ……!」
ラインターレルは忌々しそうに私を睨みつけ、すぐにその表情も配信されることに気づいて平静を装った。
「仕方あるまい。考えようによっては我らの活躍を皆に見せつける良い機会だ。配信を続けるが良い」
「ありがとうございます!近衛騎士団長様!」
私はうやうやしい態度でお辞儀をした。
「それではこれよりダンジョンに突入するぞ!行け!獣人ども!」
「あら?近衛騎士団長様ともあろう方がこんな可愛いケモノ娘たちを盾にして進むのですか?」
私がそう言うとラインターレルは口をつぐんで考え込んだ。
「………俺が先陣を務める。カブッツイとローリングが後に続け。しんがりはスラストだ」
「アイテム収納の魔法!」
私は持っていた荷物を半分だけ取り出してダンジョンの入り口前に置いた。
「荷物を半分出しておくわ。アンナ達はここで荷物番をしていて」
「ステラはんは!?」
「私は荷物運びだし、ライブ中継するからダンジョンに入ってゆくわ」
「わかりました!気を付けてくださいね。うちら、ここで帰りを持ってますから!」
ダンジョンに突入した私たちはそれぞれ「照明の魔法」を唱えて自分の頭上に光源球を飛ばした。
光源球に明るく照らされた洞窟を私たちは無言で突き進んだ。
途中何十何百という数のゴブリンが現れ、私たちに襲い掛かって来た。
しかし、近衛騎士団長や宮廷魔導士の敵ではなかった。
ゴブリン達はあっけなく倒されてゆき、私たちはダンジョンの最深部に向かって危なげなく探索を続けた。
私も幾度か自ら志願して先頭を歩いてみた。
思った通り狭いダンジョン内でゴブリン達も一列になって襲ってきた。
「発射の魔法」
私が先を尖らせた竹やりを発射すると一気にゴブリンの群れを貫いた。
ゴブリンはたちまち塵となって消し飛んだ。
「これなら少しのMP消費で敵を倒せるわ」
「お主ほどの大量にMPを保有しとる者がどうしてそんなけち臭いことをしとるんじゃ?」
スラストが不思議そうに私に尋ねたが、私は曖昧な笑顔を浮かべて返事をしなかった。
私は荷物を運ぶためにアイテム収納の魔法を常に使用している。
これが結構MPの消費が多いのだ。
道理でアイテム収納の魔法が廃れてしまったわけだ。
よほど保有MPに余裕のある魔法使いでないと使えないのだ。
「なんだ、ゴブリンの巣と言っても楽勝じゃない!」
「確かにあまりにも手ごたえがなさすぎる。どうして先発隊は全滅したのだろう?」
私たちは不安から次第に危機感をつのらせてきた。
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