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第02章 イセカイ笑顔百景
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しおりを挟む 名前を書いた紙を貰って家に帰った熊さん。
おカミさんと話をするけれど、どれもめでたい名前ですから、とても決め切れるものじゃありません。
そのうちに考えるのも嫌になり、
「え―いメンドくせ―、全部付けちまえ」
てんで、候補に上がった名前をみんな付けちまう。
ありがたい名前のご利益なのか、この子は病気一つしないでスクスクと育ちます。
やがて学校に通うようになると、朝に近所の友達が迎えに来る。
「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ、くうねるところにすむところ、や―ぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシュ―リンガン、グ―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の、ちょうきゅうめいのちょすけちゃん、学校行きましょ!」
するとおカミさんが出てきて、
「あらお早うよっちゃん、迎えに来てくれたのかい?
それがウチの、寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助は、まだ寝てんのよ。
今起こすからちょっと待ってて頂戴ね。
ほら、いつまで寝てるの。
学校が始まっちゃうじゃないのさ。
この子はまったくもう!
寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助!
起きなさい!」
「おばちゃん、学校始まっちゃうから先に行くね」
なんて事も日常茶飯事。
そのうちに男の子らしくワンパクに育ちましたからたまにはケンカもします。
勢い余って相手の男の子の頭をポコッと殴っちゃって、その子がコブをこさえて家に言いつけに来る。
「うえ~ん! じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ、くうねるところにすむところ、や―ぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシュ―リンガン、グ―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の、ちょうきゅうめいのちょすけちゃんが、アタシの頭ぶって、こんな大きいコブをこさえたよ―!」
「え、なんだって金ちゃん!
ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が、金ちゃんの頭にコブを作ったって!?
そうかいゴメンよ。勘弁してねぇ」
と謝ると、おカミさんが熊さんに向かって、
「ちょっとお前さん聞いたかい?
ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が、金ちゃんの頭にコブを作ったって!」
「何! ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が金坊の頭にコブをこさえただと!?
どれ金ちゃん、おじさんに頭見せてくれ!
…………って何だい金ちゃん、コブなんかどこにも無ぇじゃねえか」
「あんまり名前が長いから、コブが引っ込んじゃった」
「………『寿限無』というお噺でございました」
私は深々と頭を下げた。
頭を下げたまま私は固唾を呑んでイルマ様の反応を待った。
イルマ様は無言だった。
またウケなかったのかしら!
『プッ!ウワハハハハッ!』
脳裏にイルマ様の笑い声が響いた。
『パイポパイポパイポのシュ―リンガン!ポンポコピ―のポンポコナ―!ハハハハッ!意味は分からんが面白い!」
やっぱり見た目は若いがイルマ様は年寄りだ。
こういった単純な話がウケた。
「よかった!喜んでいただけましたか!」
『ああ!合格だよ、お前さん!明日も頼むからね!」
「えっ!?えっ!?毎日やらせるおつもりで…?」
『文句あるのかい!?儂はお前さんの産みの親なんだよ!』
おカミさんと話をするけれど、どれもめでたい名前ですから、とても決め切れるものじゃありません。
そのうちに考えるのも嫌になり、
「え―いメンドくせ―、全部付けちまえ」
てんで、候補に上がった名前をみんな付けちまう。
ありがたい名前のご利益なのか、この子は病気一つしないでスクスクと育ちます。
やがて学校に通うようになると、朝に近所の友達が迎えに来る。
「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ、くうねるところにすむところ、や―ぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシュ―リンガン、グ―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の、ちょうきゅうめいのちょすけちゃん、学校行きましょ!」
するとおカミさんが出てきて、
「あらお早うよっちゃん、迎えに来てくれたのかい?
それがウチの、寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助は、まだ寝てんのよ。
今起こすからちょっと待ってて頂戴ね。
ほら、いつまで寝てるの。
学校が始まっちゃうじゃないのさ。
この子はまったくもう!
寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助!
起きなさい!」
「おばちゃん、学校始まっちゃうから先に行くね」
なんて事も日常茶飯事。
そのうちに男の子らしくワンパクに育ちましたからたまにはケンカもします。
勢い余って相手の男の子の頭をポコッと殴っちゃって、その子がコブをこさえて家に言いつけに来る。
「うえ~ん! じゅげむじゅげむ、ごこうのすりきれ、かいじゃりすいぎょのすいぎょうまつ、うんらいまつ、ふうらいまつ、くうねるところにすむところ、や―ぶらこうじのぶらこうじ、パイポパイポ、パイポのシュ―リンガン、グ―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の、ちょうきゅうめいのちょすけちゃんが、アタシの頭ぶって、こんな大きいコブをこさえたよ―!」
「え、なんだって金ちゃん!
ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が、金ちゃんの頭にコブを作ったって!?
そうかいゴメンよ。勘弁してねぇ」
と謝ると、おカミさんが熊さんに向かって、
「ちょっとお前さん聞いたかい?
ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が、金ちゃんの頭にコブを作ったって!」
「何! ウチの寿限無寿限無五劫のすり切れ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに住むところやぶらこうじのやぶこうじパイポパイポパイポのシュ―リンガング―リンダイのポンポコピ―のポンポコナ―の長久命の長助が金坊の頭にコブをこさえただと!?
どれ金ちゃん、おじさんに頭見せてくれ!
…………って何だい金ちゃん、コブなんかどこにも無ぇじゃねえか」
「あんまり名前が長いから、コブが引っ込んじゃった」
「………『寿限無』というお噺でございました」
私は深々と頭を下げた。
頭を下げたまま私は固唾を呑んでイルマ様の反応を待った。
イルマ様は無言だった。
またウケなかったのかしら!
『プッ!ウワハハハハッ!』
脳裏にイルマ様の笑い声が響いた。
『パイポパイポパイポのシュ―リンガン!ポンポコピ―のポンポコナ―!ハハハハッ!意味は分からんが面白い!」
やっぱり見た目は若いがイルマ様は年寄りだ。
こういった単純な話がウケた。
「よかった!喜んでいただけましたか!」
『ああ!合格だよ、お前さん!明日も頼むからね!」
「えっ!?えっ!?毎日やらせるおつもりで…?」
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