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永遠に一緒となる元娘と元義父のお話【メリバルート〜救済エンド〜】

2.蘇った“懐かしい”感情

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 ゼノに激しく何度も抱かれた後、疲れ果てグッタリの私は、いつものように彼の腕の中に閉じ込められていた。
 二人共裸のままで、まだ繋がった状態だ。きっと少し休憩した後で、また行為を再開するのだろう。

 ゼノと再会し、一緒に暮らし始めた頃と比べて、彼は随分と優しくなった。
 私が逃げないと分かると鎖を外し、家の中での移動は許可された。外にはまだ出して貰えないけれど。
 彼の意に沿わないことをするとすぐに実行された“お仕置き”も頻度が減ったし、一日中の“お仕置き”も無くなった。
 今も「苦しい」と言えば、腕の力を緩めてくれる。以前は訴えてもそのままだったのに。

 ゼノは、私を優しく抱きしめながら、髪を撫で、額や頬に唇を落としている。
 まるで“あの頃”に戻ったような感覚に囚われるが、瞳の色は濁って鈍い光を灯す紅のままだ。


 ――人を平気で“殺せる”、残酷な光を帯びたまま――


「……ゼノ」
「ん? どした、ユティ?」


 私を沢山抱いて満足したのだろうか。優しい口調で問い返してきた。


「あのお花、本当に嬉しかったよ。お花屋さんで買ったの……?」


 テーブルに無造作に置いてある、二本のアイリスに目を向けながらゼノに訊く。
 この行為が終わったら、急いで花瓶に入れなきゃ……。


 私は、地面に活き活きと咲いているお花を眺めるのが好きだ。摘まれてしまったお花は、実はあまり好きじゃない。
 花瓶に入れ、いくら大事にお水をやっても、少しずつ枯れていくお花を見るのが悲しいし、完全に枯れて捨ててしまう行為も切なくて、今まで家にはお花を飾っていなかった。

 花言葉を調べるのも好きだった。同じ花なのに、色によって全く違う意味になるものもあって面白かった。
 ゼノが渡してくれたお花は、青色と白色の“アイリス”。


 青のアイリスの花言葉は、『信念』と『強い希望』。

 白のアイリスの花言葉は、『あなたを大切にします』、『純粋』、『思いやり』。


 今の私に、それらの言葉は胸に深く刻むべきもので、絶対に忘れてはいけないものだ。
 偶然でもそれを選んでくれ、再認識させてくれたゼノに、感謝の気持ちで一杯になる。

 ゼノは私の言葉にフッと笑うと、重ねるだけのキスをしてきた。


「女のギルド仲間に貰った。オレの可愛い奥さんにどうぞ、ってさ」
「女性の……」


 その瞬間、胸にチクリと痛みが走ったのを私は確かに感じた。
 そして、黒く醜い感情も湧き上がる。


(ゼノが女性から貰ったものなんて、“いらない”――)


 ……あぁ……。

 私は、この感情が何であるかを知っていた。


 ――“嫉妬”、だ。


 ゼノがその女性と身体を寄せ合い楽しく話しているのを想像すると、泣きたくなるような、苦しいような、切ないような、グチャグチャな気持ちになる。


 それは、“好きな”人にしか感じない――


(――あぁ、私はゼノが『好き』なんだ。また、『好き』になれたんだ。もう、ゼノに“ウソ”は言わなくていいんだ。これからは、ホントの私の気持ちを伝えられるんだ――)


 “嫉妬”の気持ちより、“喜び”の感情の方が強くなっていくのを感じる。


「ゼノ」
「ん……?」
「ゼノ、好きだよ。大好きだよ。ずっと一緒にいようね。だから、怖がらないでね。寂しがらないでね。私がずっと傍にいるから。大好きなゼノの傍にいつまでもいるから――」


 私は笑顔でゼノに言い、その広い背中に手を回しギュッと抱きしめる。
 ゼノは驚いた顔をした後――、何故か苦しそうに顔を歪めた。

「ゼノ……?」

 辛そうな彼の表情に、私は不思議に思い顔を上げた途端、荒々しく唇を奪われ、無理矢理舌を捩じ込まれた。

「ん……っ!」
「――ユティ。もう一回抱かせろ」

 口内を堪能された後、ゼノが唇を離し、私の耳元でそう低く囁く。
 返事を待たず、ゼノは繋がったまま、私の身体を再び弄り始めた。


 私はゼノの表情の意味が分からず考えようとしたが、やがて快楽の海に呑まれ、その思考は遠くに流れていってしまった――




 
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