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永久に囚われた元娘と、永遠に逃さない元義父のお話〜if ending〜【メリバルート】
13.永遠に、あなたの傍に *
しおりを挟む「ただいま、ユティ」
ゼノの声がし、私はリビングの入口に目を向けた。その拍子に、手首に巻かれた鎖がチャリ……と音を立てる。
「……おかえり、ゼノ」
「おぅ。いい子にしてたか?」
「うん。……ね、ゼノ。やっぱり私、玄関でゼノを出迎えたい。だから、この鎖を外し――」
「ダメだ。そう言ってまたお前はこの家を抜け出すんだろ? お前を他の男どもの汚ぇ視線なんかに曝すもんか。“食堂の天使”だなんて、フザけた呼び名付けやがって……。アイツらだけじゃなく、客ども全員消しておけば良かったか……。――ユーティス、お前はオレだけのモンだ。ずっと一生、死んでもオレだけを見ていればいい」
ゼノは私が言い終える前に否定の言葉を被せ、眉間を寄せ少し怒った表情でこちらに大股で歩いてきた。
そして、私をソファに押し倒すと噛みつくようなキスをする。
ゼノは、いつの間にか口に含んでいた避妊薬を口移しで私に飲ませてきた。
私の恰好は、肩の露出した薄いワンピース一枚だ。下着も付けていない。ゼノの命令だ。
ゼノは舌を絡みつかせながらワンピースを乱暴に脱がした。そして私の胸を荒々しく弄ると、自分の腰のベルトを外しズボンを少し下げ、既に猛っているソレを取り出す。
そのまま濡れている確認もせず、私の膣の中に勢い良く奥まで捻り込ませた。
「~~~っ!!」
私は大きく目を見開かせ、衝撃で身体が反り返る。
「――あぁ、可愛い……。すっげぇ可愛いなぁ……。ホント最高だな、オレの奥さんは……」
ゼノは唇を離すと、愉悦な表情で半笑いを浮かべながら、私の両胸を乱暴に揉みしだき腰を打ってくる。
そんな彼を、私は大きく揺さぶられながら、涙の滲んだ瞳で虚ろに眺めた。
ゼノと一緒に住み始めてから、すぐに私の住んでいた家は解約させられ、食堂の仕事を辞めさせられてしまった。
そして、外には一歩も出るなときつく言われてしまう。
「でも、早くルイゼさんに伝えないと迷惑が――」
「オレが食堂に行って伝えてくる。お前はオレの帰りをいい子で待ってろ。いいな、絶対に外に出るんじゃねぇぞ。――あぁ、ついでにデッシュってヤツを消してくるか。オレの奥さんにクソみてぇなこと抜かしやがって――」
最後ボソリと何かを呟いたゼノは、私が問い返す間もなく出て行ってしまった。
――デッシュさんが行方不明になったことを知ったのは、ゼノが食堂に伝えに行った日の数日後の朝のことだった。
ルイゼさんとデッシュさんに突然辞めたことを直接謝罪したくて、朝早くにゼノが仕事に行った後、コッソリと家から抜け出して食堂に行ったのだ。
ルイゼさんにそれを聞かされ愕然としている時に、私が家にいないことに早々に気付き捜しに来たゼノに家に連れ戻されてしまった。
その日仕事を急遽休んだゼノは、朝から翌朝まで、口に出して言いたくない“お仕置き”を私にずーっとやり続けた。その時は目まぐるしく激しく続く快楽に、本当に気が狂いそうになった。
私に“お仕置き”をしている間、ゼノは涙を零し続ける私の恥辱の姿を見つめながら、「可愛い」「最高だ」を言い続け、ずっと恍惚に笑っていて……。
それ以降、ゼノが仕事で出掛けている間は、外に出られないように手首と足首に鎖が繋がれ、服も透けるような薄いワンピース一枚だけで、自由が大幅に制限されてしまった。
そして、ことある毎にゼノに抱かれている。朝昼晩関係なく、彼が抱きたいと思った時に。
お蔭で、身体中の無数の赤い痕がいつまで経っても消えてくれない。
こんな風に、彼が仕事から帰って来た直後に抱かれるのもしょっちゅうだ。
お風呂は必ず一緒に入り、やはりそこでも抱かれる。洗い場で、湯船の中で。ゼノが気が済むまで何度も激しく。
彼がしつこくてのぼせることなんてザラだ。
ご飯中に突然襲われたこともあった。私が食べている姿に欲情したと言って。口移しで食べさせられながら幾度も貫かれた。
夜は殆ど朝まで抱かれる。休ませてくれず、私が泣いても止めてくれない。寧ろ、
「お前の涙さぁ、昔っからすっげー唆られるんだよ。――あぁ、綺麗だなぁ……。堪んねぇなぁ」
と、狂気じみた笑みを漏らし、私の涙を舐め、更に酷くされてしまう。
ゼノが仕事で疲れて途中で眠ることがあるけれど、大抵は繋がったままだ。彼は意識がなくとも、私を絶対に離してくれない。決して逃さないとばかりに、私の身体に腕を強く絡みつかせて眠る。
一度、そこから抜け出そうと試みたけれどすぐに気付かれ、思い出したくない“お仕置き”を受けてしまった。
普通の快楽じゃ満足出来ない身体になっていく……。
それ以降、彼が眠ったらそのまま大人しくしている。腕の力が強くていつも苦しいのだけれど、まるで、親に捨てられないか怯えて必死にしがみつく子供のようで……。
そんなゼノの姿を見ると切なくなってしまい、苦しくても耐えている。
――ゼノは狂ってしまった。
仕事をしている時や表面上は普通だが、私を家の中に閉じ込め外には一切出さず、こんな風に人の権利がないような生活をさせるなんて普通じゃない……。
何故、こうなってしまったのか――
――あぁ……あの時、確実に選択を誤ってしまったんだ。
ジャスティさんに何を言われてもゼノを信じ、一緒にいる選択をすれば良かったんだ。
私がゼノの言葉を一番に信じることが出来たのなら……。
そうすれば、こんなに悲しくて切ない未来がくることはなかったのに――
二人、幸せな未来が待っていたかもしれないのに――
……今更酷く後悔をしても、もう後の祭りだ……。
「……なぁ、ユティ。お前が出迎えなくても、オレはお前が傍にいてくれるだけで充分幸せなんだよ。お前はオレだけを見てくれるしさ。あぁ……オレは今、すっげぇ幸せだ」
お互いが果て、ゼノが私を胸の中に閉じ込め抱きしめながら、心から――本気の言葉で、彼は私にそう囁く。
「――なぁ? オレの愛しの奥さん。お前もそうだろ? オレがいるだけで幸せだろ?」
ゼノが、美麗な顔に笑みを浮かばせ訊いてくる。
――濁って淀んだ光のない紅い瞳で。
私はそれに、微笑みながら頷く。
「……うん。私も大好きな旦那様がいるだけで、すごく幸せだよ。他に何もいらない――」
「ははっ、だろ? お前は、いつまでもオレと一緒だ。勿論、死んでも一緒だぜ?」
「うん。ずっと一緒だよ……。――愛してるよ、ゼノ」
「あぁ、オレもだ。――愛してる、ユーティス」
私の返答に、ゼノは本当に嬉しそうに笑って、優しいキスをしてくるから――
私は彼が望む限り、“ウソ”をずっと吐き続ける。
私と彼は、地獄に堕ちるだろう。
私は“ウソ”をつき続けた罪、彼は人を殺めた罪で。
――それでも構わない。
だって、地獄でも一緒になれるのだから。
私が一緒にいるだけで彼が幸せになれるのなら、それでいい。
だって、私の願いは。
彼の『幸せ』が、私の“一番”の願いなのだから。
――あぁ、だけど。
私の“ウソ”が、再び“本物”になったのなら。
また、ゼノを“愛する”ことが出来たのなら。
彼は、“元”の彼に戻ってくれるのだろうか。
以前のように、瞳に温かな光を宿してくれるのだろうか。
彼だけでなく、“私達”が幸せになれる未来が、まだ少しでも……欠片でも残されているのなら――
「……ゼノ。あなたを信じ切れなくて、本当にごめんなさい。今度こそ、私は何があってもあなたを信じるから。何があろうと、必ずあなたを信じ抜く。あなたから絶対に離れない。だから、もう怖がらなくていいよ? もう寂しがらなくていいよ……? 私がいつまでもあなたの傍にいるから。ずっとずーっと、あなたの隣にいるから――ね?」
ゼノの淀んだ紅い瞳をしっかりと見つめ、彼の両頬に手を添え、私はハッキリと口にする。
――“ウソ”ではなく、“心”からの言葉を。
突然の私の言葉に、ゼノは目を見開きキョトンとしたけれど、すぐに笑って言った。
「ははっ。いきなり何だよ……。ガキじゃあるまいし、オレが怖がったり寂しがるわけねぇだろうが……」
「……ゼノ、大丈夫だから。私はここにちゃんといるから。だから、大丈夫だよ――」
「ユティ……? さっきから何だよ……?」
私はその問いには答えず、ゼノの身体を強く抱きしめる。
……ゼノは気付いていないのだろうか。
その紅い瞳が揺れて潤み、一筋の涙が頬を伝っていることに――
初めて見た彼の涙は、曇りなく透明で、とても綺麗だったから――
――私はこれからもあなたに“ウソ”を吐き続けるだろう。
けれど、“本気のウソ”を。
あなたが前のあなたに戻ってくれる、その時にはもう。
きっともう、私は“ウソ”なんてついてない筈だ。
前のあなたに戻ったら、心優しいあなたはきっと決断を下すだろう。
私も一緒にいくと言ったら、あなたは怒るかな? それとも喜んでくれるかな? やっぱり悲しんじゃうかな……?
でも、永遠にあなたの傍にいると決めたのだから。
怖がり怯えるあなたを、一人になんて絶対させないよ。ずっとずっと一緒だから。
だから、早く前の優しいあなたに戻ってね。
私の大好きで愛しい、あの頃のあなたに――
――その日が来てくれることを、心から願って――
私は今日も、あなたを強く抱きしめ、あなたに“本気のウソ”をつく――
Мerry bad end.
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