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彼の為に決断する元娘と、彼女を決して逃さない元義父のお話【ハッピーエンドルート】
11.主導権を握って *
しおりを挟む「ど、どうして……? あの時の私、ただ泣きじゃくっていただけで……」
「……その涙がさ、……キレイだった」
「え?」
「捨てられた悲しみで、感情を素直に出して、思いっ切り泣いててさ……。オレは諦めて……絶対出来ないことだったから、その涙がすっげーキレイで、……羨ましくて……。その上、お前……年齢の割に大人びてて、可愛かったし……。まぁ……その、言っちまえば“一目惚れ”ってヤツだ。決して子供が好みだったわけじゃねぇぞ。お前だからだ。……だから、お前を手離したくなくて、『父さんになる』って言って、周囲の反対を無視してお前を預かってさ……」
ゼノが、顔を少し赤くさせ照れながらポツポツと言葉を紡いでいる。私はそんな彼が無性に愛おしくなり、その首に伸ばした腕を回しギュッと抱きしめた。
「私を見つけてくれて、本当にありがとう……ゼノ。ずっと、いつまでも愛してるよ」
「……っ! あぁ、オレもだ――」
そして、どちらともなくキスを交わす。
「――そうだ。もう一つだけ……。もしもの話だけど、私がジャスティさんのお話を鵜呑みにしてゼノから離れてたら、ゼノは国に戻って元の生活をしてた?」
「あぁ? そんなわけねぇだろ」
その時、ゼノの瞳に淀んで濁った光が浮かんだのを私は見逃さなかった。
「お前を地獄の果てまでも追いかけて、必ず捕まえて、オレから二度と逃げられないように拘束して“お仕置き”してたな。その“お仕置き”は、数日間にも及ぶ濃密で濃厚な内容なんだが……聞きたいか?」
仄暗い光をたたえた紅い瞳で、口の端を持ち上げながら言ったゼノに、私は声が出せず、全力で首を横に振った。
「ふぅん? ……残念、聞きたかったらいつでも聞かせてやるよ。――オレから逃げたらどうなるかを」
い、いつから考えてたのその濃密で濃厚な“お仕置き”は!?
……そんな地雷を踏む質問なんて絶対に聞けなくて、私は曖昧に笑って誤魔化した。
再び私の首筋に顔を埋めてきたゼノに、慌てて声を出す。
「……っ、きょ、今日は私が上になるっ」
「お? ――ははっ、いいけどさ? 出来るのか?」
「で、出来るよっ」
昨日の朝はゼノの下で散々泣かされたから、今度は私が上になって主導権を握るんだ……!
起き上がり、笑うゼノを両肩を押して寝かせると、彼のお腹に跨りその広い胸に両手を置いて彼を見下ろす。
――こ、これは……。
ゼノの上に私が乗って……。
ゼノを見下ろして……。
いつもは逆だから……。
ゆ、優越感がすごい……!
感動していたその時、唐突に私の胸がムニッと揉まれて先端を摘まれ、思わず短い悲鳴を上げてしまった。
「なーにニヤニヤしてんだ? 当然ながらオレもお前を触るから、油断してんじゃねぇぞ?」
「そ、そんなの聞いてない……!」
「そりゃ今言ったから聞いてないわな」
「……っ」
そんなのダメ! そのまま流されたら昨日の朝の二の舞いになっちゃう! ゼノに何かされる前に私が動かなきゃ……!
頬に垂れ下がってくる髪の毛を耳の裏に掛けると、私は頭をゆっくりと下げる。
鮮やかで綺麗な紅色の瞳が間近に迫り、私は目をギュッと瞑ると彼の唇に自分の唇を重ねた。
「…………」
唇を付けたまま、動けない私。
ゼノからフッと笑った気配がし、私の胸を揉み始めた。時折先端をキュッと摘み、その度に私はビクリと身体を震わす。
もう片方の手は、私のお尻をいやらしく触って……。
(……じ、自分から舌を入れるなんて恥ずかしくて出来ない……っ! でも何か、何かしないと……っ! これ以上ゼノには何もさせない……っ)
グルグルと考えた私は、ゼノの唇をペロリと舐めた。恥ずかしいから、目を閉じたままで。
彼の身体がピクリと微かに震えたのが分かった。
すぐに唇を離すと、今度はゼノの首筋に口を付ける。
(うーん……。私も痕を付けてみたいな……。確か強く吸えばいいんだよね?)
少し力を込めて吸ってみる。……が、全く付かない。
首を傾げ、今度はもっと強く吸ってみるが、やはり付かない。
「……??」
疑問符を浮かべていると、ブハッと吹き出す音が聞こえ、すぐ近くにあるゼノの横顔を見ると、彼は反対方向に顔を背け、手で口を押さえてフルフルと震えていた。
「……オレの奥さん、超可愛過ぎてツライわ……。ヤバ、悶え死ぬ……」
ボソリと呟いたと思ったら景色が反転し、いつの間にか私はゼノに押し倒されていた。
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