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彼の為に決断する元娘と、彼女を決して逃さない元義父のお話【ハッピーエンドルート】

10.衝撃の告白

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 私は今、ゼノの部屋のベッドに押し倒されながら、服を脱がされている状況だ。
 帰って来て早々、彼の部屋に一直線に連れ込まれ、こうなった。

 あの……今、朝なんだけど……。部屋の中、すっごく明るいんだけど……。

 私の服を全て脱がせた後は、自分の服を脱いでいるゼノに、ムダだと分かりつつも言ってみた。


「……ね、ゼノ? 今、思いっ切り朝だよ……? あと、昨日からあまり寝てないんでしょ? 一度眠った方が――」
「眠気は全くねぇ。ただ愛しいお前を抱きたい気持ちで堪んねぇ。だから抱かせろユティ。答えは聞いてねぇけど」
「じゃあ何で聞いた……んっ」


 その突っ込みは、ゼノのキスによって掻き消されてしまった。
 貪るような長いキスの後、唇を離したゼノは、私の首筋に唇を這わせていく。時折赤い痕を付けながら。
 擽ったさに身悶えながらも、私は彼に訊きたい質問を投げた。

「ね、ゼノ。王女様はジャスティさんのことが好きなの?」
「ん? あぁ、最初は憧れだったけど、それが徐々に好きに変わっていったんだってさ。『王命』は王が決めたんだが、それでアイツが嫉妬して抗議してくれるかもっつって反対しなかったんだと。全く、かなり傍迷惑な話だぜ」
「そ、そうだったんだね……。王女様が理由を話して『王命』を撤回することは出来ないの?」
「それは無理だな。命を下した王の尊厳にも関わる話だし。王女が『王命』を無視して他のヤツと結婚したら話は別だけどさ。ま、ジャスティが頑張れば可能性はあるけど、あの超激鈍野郎には期待しねぇよ」
「そ、そっか。ジャスティさんには頑張って貰いたいね……。――あ、ゼノは王女様のお部屋で王女様とどんなお話をしたの? “二人きり”だったなら、王女様の深い胸の内まで訊けた?」


 その問いに、ピタリとゼノの動きが止まった。
 そのまま固まってしまった彼に、私は怪訝に眉間を寄せ――ハッと気が付いた。


 ――あっ、もしかして“嫌味”って受け取っちゃった? 本当に純粋に話の内容が気になっただけなんだけど……。
 恋話は苦手そうなゼノと、“夢見る乙女”の王女様の間で交わされる会話の内容……。気にならない方が無理っ!

 目を輝かせながらジャスティさんの話をする王女様と、それを不機嫌そうに顔を顰めて聞いているゼノの姿が想像出来る……!

 ――あっ! ゼノにそんなつもりじゃないことを言わなきゃ!

 嫌味じゃないと慌てて弁明しようと口を開いたら、先にゼノが言葉を出してきた。


「いくらヤツを嫉妬させたいからっつって王女に頼み込まれたとはいえ、未婚の男女が二人きりで深夜まで部屋にいた……なんて、今思えば思いっ切り軽率な行動だったよな……。それを知った時のお前の気持ちも考えずに……。本当に済まなかった、ユーティス。その所為で昨晩、お前をあんなに泣かせちまって……。何をするにも泣いてたもんな……。泣きの種類も豊富だったしさ……。飛び出して抱きしめようと何度身体が動いて、グッと堪えたことか……。――もう二度とあんな愚かな行動は取らないと、オレの命に賭けて約束する。どうか許して欲しい、ユーティス。お願いだ……」


 ゼノは顔を上げると、真剣な表情で頭を下げてきた。
 こんな真面目で真摯に謝罪するゼノは初めてだったので、私はワタワタしながら首を左右に振る。
 やっぱり泣いてるところ見られてた! と心の中でテーブルに突っ伏してバンバン叩きながら。


「きっ、気にしてないから大丈夫だよ。顔を上げて、ね?」
「いや、それは出来ない。オレとお前が逆の立場だったら、激怒りで相手の野郎を確実にブチ殺してザックザクに細かく斬り刻んで土に埋めて墓標代わりに剣を思いっ切り突き立ててた。……それだけ最低のことをしたんだオレは。思いっ切りオレを罵って責めてくれても構わないんだぞ」


 とんでもなく不穏な言葉が淀みなくスラスラと飛び出した!?


「……じゃっ、じゃあ、今度私とデートしよう? ゼノがお休みの時に! 考えてみたら、ゼノとデートらしいデートしたことないし……。それで許すってことでいいかな?」
「……お前は……本当に……。――ははっ。あぁ、勿論いいぜ。お安い御用だ。したいことあればどんどん言えよ? お前が好きなもの何でも買ってやるし、どこへでも連れてってやるからな」
「うん……!」


 ……そうだ。この流れで訊いてみようかな。このことは今しか訊けない気がするし……。


「ね、ゼノは……その、いつから私のことを好きになったの……?」
「……それ、訊きたいのか……?」

 その問いに、ゼノが何故か少し怯んだように見えた。


「……? うん」
「……ひくなよ?」
「……?? うん、勿論」
「……お前に初めて出会った時から」
「…………えっ?」


 初めて出会った、って……。
 私が捨てられて、森の中で泣いていたあの時……?



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