12 / 16
◆初夜やり直し編◆
2.始まる、“やり直し” *
しおりを挟む……はい、お分かり頂けたでしょうか。彼に“初夜のやり直し”を止める気は更々無いようです。
けれど、よ!? 男性はムダ毛なんて全く気にしないと思うけど、女性はすごく気にするものなのよ……!
「◯月□日✕時△分に君を抱くからよろしくッ!」
って、事前予告して貰えたらどんなに助かるか……っ!
「――アディル」
「え……?」
不意に掠れた低い声で名を呼ばれ、ヴァルフレッド様の端正なお顔が降りてきたと思ったら、唇を重ねられていた。
唐突のことで反応出来なかった私の頬に彼の手が添えられ、逃げ場を失ってしまう。
そしてすぐに深く唇が塞がれ、ヴァルフレッド様の熱く湿った舌が私の口内に押し入ってきた。
しまった! 突然過ぎて侵入を許してしまった……!
慌てて自分の舌を奥に引っ込めたけど、そんな些細な抵抗も虚しく伸びてきた舌に絡み取られ、唾液を吸われる。
「ふぁ、んん……っ」
私の喘ぎと舌が絡み合う湿った音が、静かな部屋に響く。
ヴァルフレッド様はフ、と笑うように吐息を漏らすと、濃厚なキスを続けたまま、私の胸に手を伸ばしてきた。
私の格好は、夕食前に湯浴みをしたので、部屋着用の清楚なワンピースの上にカーディガンを羽織っている。
ヴァルフレッド様は躊躇無く胸元からスルリと服の中に手を差し込み、直接胸を掴んできた。私の小さな胸が、彼の大きな手にすっぽりと包まれる。
「あ……っ」
「……君の胸は、スライムのように弾力がありつつも柔らかくて触り心地が最高だな」
ヴァルフレッド様は唇を少し離すと、ウットリとした顔つきで私の耳元でそう囁き、フニフニと胸を揉まれる。
……褒められてるんだろうけど、例えがよくありませんヴァルフレッド様っ!
魔物みたいな胸と言われて「あら嬉しいわ(ハートマーク)」ってなる女性がいますかっ!?
……あ……。
ヴァルフレッド様、もしかして女性とお付き合いしたことがないのかしら……?
不意に胸の先端をキュッと摘まれ、私の身体がビクリと震え口から悲鳴が飛び出した。
「フ……いい声――いい反応だ。君は感度が良いんだな。胸でそうなら、ここを触るとどうなるのか……」
目を細めて笑ったヴァルフレッド様は、胸の先端を弄ったままもう片方の手を下に伸ばすと、ワンピースのスカートの中にそれを潜り込ませた。
私の脚の間にはヴァルフレッド様がいる為、脚が閉じられない……!
「あ……っ! だ、ダメです……っ!」
私が慌てて阻止するより早く、下着の中に指を差し込み、直接秘部を触られる。そして、割れ目に沿って指を擦り上げてきた。
私の身体が無意識に大きく波打つ。
「あぁっ!?」
「ふふ、やっぱりいい反応だ。……少し濡れてるな。俺のキスと指で感じたのか? そうなんだろう、アディル? 俺のが気持ち良かったんだろ?」
「……っ」
ヴァルフレッド様が嬉しそうな声色で私に言葉責めをしてくる。
ヒィッ、止めてぇ……! 初めての私にそんな高度な“責め”をぶつけないで……っ!
恐らく顔を真っ赤にしているであろう私を、ヴァルフレッド様は愉しそうに眺める。そして胸と秘部にある指を妖しく動かしながら、私の首筋にチクチクとする口付けを繰り返した。時折舌で舐められながら。
彼の荒い息が耳元で聞こえてくる。明らかにすごく興奮しているようだ……。
――ちょ、待って待って!
い、色々と性急過ぎるー!! こういうのってもっと段階を踏むものじゃないの!? まずは服の上からじゃない!?
購入した例の書物に、
『いきなり直接問答無用で触れ。さすらば女子喜ばん』
とか書いてあったの!? ならその書物を即行燃えるゴミの日にポイして他の書物を買い直した方がいいですよ!?
いつもの冷徹なヴァルフレッド様はどこにいったのーーっっ!?
780
お気に入りに追加
1,413
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。

骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。

王弟殿下の番様は溺れるほどの愛をそそがれ幸せに…
ましろ
恋愛
見つけた!愛しい私の番。ようやく手に入れることができた私の宝玉。これからは私のすべてで愛し、護り、共に生きよう。
王弟であるコンラート公爵が番を見つけた。
それは片田舎の貴族とは名ばかりの貧乏男爵の娘だった。物語のような幸運を得た少女に人々は賞賛に沸き立っていた。
貧しかった少女は番に愛されそして……え?

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話
下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。
御都合主義のハッピーエンド。
小説家になろう様でも投稿しています。

溺愛されるのは幸せなこと
ましろ
恋愛
リュディガー伯爵夫妻は仲睦まじいと有名だ。
もともとは政略結婚のはずが、夫であるケヴィンがイレーネに一目惚れしたのだ。
結婚してから5年がたった今も、その溺愛は続いている。
子供にも恵まれ順風満帆だと思われていたのに──
突然の夫人からの離婚の申し出。一体彼女に何が起きたのか?
✽設定はゆるゆるです。箸休め程度にお楽しみ頂けると幸いです。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。
airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。
どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。
2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。
ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。
あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて…
あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる