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27.そこは誰のモノ *

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「……なぁ、ルカ。あの王子にキスされた?」

 ホークレイが私の上に伸し掛かりながら訊いてくる。

「え……? さ、されてない……っ」
「ん」

 ホークレイの美麗な顔がゆっくりと私に近付き、唇が重なる。すぐにヌルリと舌が入ってきて、濃密な口付けが開始された。
 舌が絡みつき、唾液を吸われ、逆に唾液を呑まされて。
 角度を何度も変え、しつこいくらいの口付けに、私の息が上がり涙目になったところで、ようやく唇が離れた。

「ルカ? 首にキスされた?」
「さ……されてない……!」
「ん」

 また質問をしたホークレイは、私の首筋に唇を這わせていく。時々舌で舐めながら。


 ……その質問に何か意味はあるのっ!?


 ホークレイの謎の質問達に、私は擽ったさに耐えながら心の中で叫んでいた。


「……胸は触られただけ? それとも揉まれた?」


 次のその問いに、私の言葉がうっと詰まる。

「……少し……だけ、揉まれた……」

 嘘は言いたくないので、正直に答えると、ホークレイの紫の瞳が冷たく光った。


「チッ……あのクソ垂れ目無節操野郎がッ! お前の胸を見た両目をズタズタに斬り裂いて燃やしてやりたかった……ッ!!」
「……っ」
「……まずは“消毒”をする。その後魔法の掛け直しだ」


 ホークレイはとんでもなく恐ろしいことを吐き捨てながら、私の両肩に掛けてある紐を外した。
 そして破けているシュミーズを下げ上半身を露わにさせると、両胸を掴んで形が変わるくらいに揉みしだき始めた。

「や……っ」

 時折胸の先端をキュッと摘み上げ、私の口から嬌声を出させる。
 暫く揉んで満足したのか、今度は苛められ続けプックリと赤く膨れた乳首を口に含んで転がし始めた。もう片方はまた揉まれまくられる。

 満足したんじゃなかったのっ!?

 その異常なしつこさと甘くビリビリと続く刺激に、私はもう何も考えられなくなっていった。

「……ほ、ホークレ……ッ」
「……なぁ、ルカ。ココ、だよな?」
「…………?」
「ココ、の。――な?」

 そう言うと、乳房のあちこちに赤い痕を付けていく。
 絶え間なく続く一瞬の痛みに、私は思わず頷いていた。

「う、うん……っ。そこ、れ、レイの……っ」
「ふはっ、舌っ足らずなお前もすげーかわいー」

 ホークレイはニヤリと笑うと、左の胸に唇を押し付け、何かを小さく呟いた。
 刹那、胸全体が火が点いたように熱くなる。

「あつ……っ」


 ……あれ? この熱さ、ずっと前にも覚えが……?
 ――そうだ、六年前の別れた日にこれと同じことされた……。

 まさか、これが……!?


「……れ、レイ……。これ、が……?」
「そ、防衛魔法。一回のみ発動の魔法だから、また掛け直した。俺がソレの所有者だと認識させないと掛けられないから、毎回俺のだと確認していたのはそういう理由ワケ
「……ど……して……」
「どうして? それこそどうして訊くんだ? お前の胸を触っていいのはに決まってるだろ?」
「――――」


 さも当たり前のようにあっけらかんと言うホークレイに、私は言葉を失う。


 …………!
 ――そうだ……思い出した!
 似た感覚を、もう一つ……六年前に――


「……ホークレイ。そ、その……もしかして、私の下半身……にも……?」
「あぁ、掛けてある。そこは胸よりも強力で、触れた瞬間ソイツの身体全体が燃え上がり、真っ黒焦げだ。死にはしないように調整してあるけどな。ま、大事なモンを触ろうとするなら、当たり前の結果だよな?」
「…………」


 私の身体が、芯からゾクリと震えた。
 

 ホークレイはフッと美しい笑みを浮かべると、私の下着をスルリと脚から抜いた。

「……っ!?」
「ココさ、一度も発動しなくて良かったよ。お前は俺を裏切らないって信じてたけどな。さっきみてーにお前が襲われた場合は、この魔法が助けてくれるぜ。ま、俺が傍にいる限り、そんなことぜってーにさせねぇけど」

 ホークレイは恍惚な表情で私の下腹部を見つめ、優しく撫でる。

「ホントは今すぐお前を抱きたいんだけどさ……。大分治ってきたとはいえ、抵抗出来ない麻痺状態のお前を抱いちまったら、あのクズ垂れ目野郎と同じクズになっちまうからな……。味見だけで我慢するよ。お前はただ俺のことだけを考えて感じてろ」

 そう言うと、ホークレイは私の両脚を広げて秘所に顔を埋め、ソコを舐め始めた。

「……え……やっ? あぁ……っ!?」

 舌と指を使われ、私の感じる所を全て刺激され、嬌声が止まらない。
 力無く首を振り、下でモゾモゾ動いているホークレイの頭を両手でグイグイ押しても意味は全く無くて。
 そんな私を見て、彼はフッと表情を崩すだけで、全然動きを止めてくれない。
 

 な、長い……! “味見”ならすぐに終わるんじゃないのっ!?


 私の悦い所を知り尽くしたようなホークレイの舌と指の動きに、強い快感が身体全体を駆け抜け、私は悲鳴を上げてイッてしまった。
 身体がビクビクと、陸に上がった魚のように何度も跳ねる。

「…………」

 やがてベッドにグッタリと沈み込んだ私は、満足そうに笑いながら上半身を起こすホークレイを、涙の滲む瞳でぼんやりと眺めていた。

「……そんな顔で見んなよ、ルカ。すっげー我慢してんのに、抱き潰したくなるじゃねぇか」

 ホークレイは眉尻を下げるとフッと息をつき、私に重ねるだけのキスをする。そして下着を履かせシュミーズの乱れを整えると、私の腕を自分の方へ引っ張り、身体をギュッと強く抱きしめてきた。


「――ルカ。“為すべきこと”の準備が整った。後はそれを“為す”だけだ。もうすぐ……全てが“終わる”」


 唐突に告げられたホークレイの言葉に、私はゆっくりと目を見開いた。

 私の表情に少しだけ笑った彼は、もう一度唇にキスをすると、そっと身体を離して立ち上がる。


「……部屋までお送り致します、王女殿下」


 鎧を装着し終えたホークレイは、私の両肩に自分の制服を掛けると、恭しく一礼をする。
 そして私を静かに抱き上げると、入口に向かって歩き出した。


 その紫の瞳は、私を部屋まで送り届けて出ていくまで、こちらを見ることは一度も無かった――



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