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0.プロローグ
しおりを挟む――あの時、確かに感じたあなたの温もり。
あなたの腕の中で、私は安らぎと愛しさを感じていて。
あなたの唇が、私の額に落ちて。
それは頬へと移り、程なくして私の唇へと重なる。
……優しく、温かな口付け。
あなたは私を見つめて嬉しそうに、愛おしそうに微笑んで。
私もそれに、恥ずかしがりながらも笑みを返す。
幸せな時間が、確かにあの時は流れていて。
そんな時間が、永遠に続けばいいのにと思っていた。
けれど、あなたは遠くへと旅立ってしまった。
「必ずお前を迎えに行くから。待っていてくれ」
そんな、“希望”と“束縛”の言葉を残して。
――そして、六年後。
意図せず再会したあなたは、この国の『騎士団長』になっていて。
あなたのすぐ隣には、この国の第一王女がいて。
彼女は笑いながら、あなたの腕に自分の腕を密着させ絡みつかせていて。
ピットリと身体を寄せ合う二人は、この国の王公認の“婚約者”同士で。
私を見下ろすあなたのアメジスト色の瞳は、とても冷たく、そこには確かに“憎悪”の感情が込められていた――
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