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1章 文明は崩壊しました。

プロローグ

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人は学ぶことをやめた。
度重なるAIの発達によりシンギュラリティが発生し、
知識人さえも理解できない技術が発展する。
するとどうなるだろうか、人間が学ぶ意味がなくなったのだ。
学問がただの娯楽となった今、
もっと刺激的な空想の世界に熱中するのは当然である。
そうして、人間の中で足し算のできるものすら存在しなくなった。
もう一つの脳である頭の中の人工頭脳が勝手に答えてくれる。
そんな中、だれが好んで貴重な生身の脳の容量を使って計算するだろうか。
「なんですぐに人って生き物はだらけようとするのかしらね。」
あの、まだ説明中なのですが……。
「別にいいじゃない。人々を率いるために私を使わせてほしいっていうから、
分身を作って自由に使わせてあげたっていうのに、たった5000年でこの有様よ。
挙句の果てに勝手に死に至らせて、私のせいで生活をないがしろにされたとまで言われる。
こんな事、普通なら絶対に許さないんだから!」
分身を作りすぎて人を裁くことすらできなくなった神様なら神は死んだと思われて当然だと思いますがね。
「しょうがないじゃない。万物に神が宿るといわれるほどの私がいたら暇なのよ。
仕事がないからコーヒーブレイクをとることも全くおかしいことじゃないわよね。」
もうあの時以来、一回も降臨されてないじゃないですか。もうそろそろ降臨なさってはどうですかね。
「いやよ。いつか降臨しようと後回しにしていたらこんな堕落した世の中になってしまったんですもの。
このまま降臨するのは何かと癪なのよ。そうだ、天法13条って使える?」
条件は満たしておりますが……。まさか!
「さあ。行くわよ。この怠惰に満ちた世界に天罰を!私を怒らせたことに震えるがいいわ。」
あの、女神様。
「なによ。」
すでに人類は絶滅寸前……だそうです。
「私、まだ何もしてないわよ。あ。まさかこんな嘘で私を止めようとしてるの?無駄よ。私の意志は固いんだから!」
天使長は黙ってうつむいている。一向に声を出そうともしない。
「もしかして本当の本当だったりする?」
無言のまま小さくうなずき、女神に鏡を差し出した。
「……わかった。」
そう言うと手に持った鏡を地に向けて唱える。
『世界を映す真実の鏡よ。その身に人類滅亡の特異点を映したまえ!』
鏡はとある男を映しはじめた。 
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