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火炎に映る涙。
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しおりを挟む消火を諦め逃げていく人達の目を掻い潜って
立ち込める煙のなか室内に入ったは良いけれど
鏡張りの壁に設置されたドレッサー付近では火が赤々と燃え
すでにメイク道具には火が回っていて手遅れ。
「凄い煙い…
早くしないとッ」
何が原因なのかはわからない。
今はそれよりも
美南さんの大切な洋服を一刻も早く持ち出さないといけない。
ハンガーラックに掛かっているのは
およそ20着。
「全部は無理か」
持てる範囲を抱えて
部屋の外に出ようとした。
しかし――――
パンっ
「え…」
突然、破裂音がしたかと思うと
激しい火花が飛び散った。
モデルが化粧をする際に
顔を明るく映すために設置された照明器具のランプに引火。
連鎖するように次々と破裂する。
驚いた私は
目の前で燃える光景に動けなくなり
その場に座り込んでしまった。
さっきまでなんともなかったはずなのに
急激に襲ってきた”恐怖”
後先考えずに飛び込んで
私は何をしているの?
手遅れになったらどうするつもりなの?
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