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事の発端は。
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しおりを挟む社長にとって
いくら自分とこの社員と言えど
これじゃただの人格否定。
確かに社長の言う通りかもしれないけど
こんな公の場で言う必要もないし
そこまで言われる筋合いもない。
それに…
(10年も働いていながら
そんな風に思われていたんだ…)
精神的なショックが大きく
この歳にもなって泣きそうになってしまう自分がいる。
まわりの社員も
社長の言葉に若干引いたのか
顔が引きつり空気が重たくなっているのを感じる。
こんな雰囲気の中
助け船を出してくれたのは、彼だった。
「社長さん。
今のは宜しくないですね」
「なッ」
「彼女を否定しましたが
どうしてそこまで言えるんです?」
「それはッ」
「貴方は大手企業の社長であり
社員を守り大事にする立場のはず。
その御方が社員を傷つけてどうするんですか。
恥ずかしい事ですよ」
年下の男にそこまで言われて立場がなくなったウチの社長は、悔しさと怒りのあまり顔を真っ赤にしている。
「それに、彼女は社長さんが思っているより
ずっと魅力があります」
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