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秘密を知る男
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しおりを挟む図書館なら死角にもなり
人を呼ぶ事も出来なければ
走って逃げる事も難しい。
「大丈夫。
今日は手を出さないし話をするだけだから」
「話…?」
「あぁ。
お前にはいろいろと聞きたい事があるんだ」
手を出さないという割に
ジリジリと更に距離を縮めてくる男。
後ずさりをするも
本棚に囲まれた間では身動きが取れない。
まさに問い詰めて
精神的に追い詰めるには持って来いの場所か。
「あなたは誰?何者?」
「言うつもりはない」
「だったらこっちも
名前も知らない人に教える事なんて何もないわ。
聞きたい事があるのなら
まず先に自己紹介をするのが筋ってものでしょ」
「うるさい。
威勢のいい女はあまり好きじゃないんだけど。」
強気な言葉にカチンと来たのか
男は突然、腕を伸ばし
カトレアの顔に手を出そうとしたのだが―――
パシンっ―――
触れられる寸前で
その手を叩いて阻止。
「テメェ、調子に乗るなよ」
その行動にキレた男は
彼女の両肩をガシッと掴むと
背を本棚に強く押しつけた。
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