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6章:迫られた選択

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翌日――


「先日は失礼したねぇ。
 申し訳ないと反省しているよ。
 それに婚約したというのに
 祝辞もまだ伝えていなかったね」


またも降ってわいたように現れた金我を前にし
拒絶の意思が表情に現れるほど嫌悪する社長。


「祝辞は結構です。
 それよりも今度はどのようなご用件でしょうか。
 出来れば御姿を拝見しない方が
 双方のためかと思いますが。」


もはや気遣いではなく
迷惑そうなのが言葉にも滲み出ている。


「私もそうは思いましたがね。
 朗報がありまして。
 ぜひとも柴永社長様ご本人の御耳に入れようかと…」


そう言って
またあの気味の悪い不敵な笑みを浮かべた。


「朗報…?」

「はい。
 それは…貴方様の”解任”についてです」


”解任”
その言葉にイトカと鮫島は
お互い目を合わせて驚いている。

しかし社長は違った。


「それはまた急な話ですね。
 何が朗報なのかわかりませんが
 きちんと説明して頂けませんか」


驚き焦る様子もなく
目を細め鋭く真剣な表情は
むしろ落ち着きを払っている。


「社長が1番ご存じのはず。
 この度の婚約発表
 誰も得をしていないという事を。」


その一言に
社長の眉がピクッと動いた。
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