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番外編2
申し入れ 2
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リュセットの視線を受け入れるように見つめていたアンリ王子は、そっと言葉を囁いた。
「そうですね。けれど私の本心としてはやはり、マーガレットとルイ王子を応援したいのですよ」
「あっ、そう、ですわよね」
思わず顔が赤らむ。アンリ王子は純粋にルイ王子との恋を応援していたのだ。だからこそそんな提案を再びしなかったのだと気付き、自分の浅はかで少し自惚れとも取れる言葉を言ったことを恥じていた。
そんな様子を見ていたアンリ王子は、スッと膝をリュセットの隣についた。
「もっと言ってしまうのならば……私はリュセット、あなたのことをとても気に入っているのです」
アンリ王子はリュセットの顔を見上げながら、さらにこう言った。
「私は欲深い人間なのですよ、リュセット。兄上がマーガレットと結婚すれば、私はあなたを兄上のために結婚を進める必要もない」
「それは……」
リュセットはアンリ王子の言う言葉の意味を汲み取ろうとした。先ほどみたいに恥をかかないためにも、きちんと理解しようと勤めていた。すると、そんなリュセットの手を再び取り、アンリ王子はこう言った。
「先ほどは兄上の手前あのように言いましたが、もしもリュセット……あなたが私のことを受け入れてくださるのならば、私はあなたに結婚を申し込みたいと思っています」
リュセットは驚きを隠せず、瞳を大きく見開いた。その純粋な瞳はアンリ王子の言葉を言葉通りに受け取ってしまってもいいのだろうか……と、そんな疑問の色も乗せていた。
アンリ王子はもう知っている。リュセット自身の自己評価がどれほど低いのかを。だからこそアンリ王子は微笑みながらさらに言葉を重ね合わせていく。
「リュセット、兄上がダメならという意味ではなく、私はあなただからこそ言っているのです。もしリュセットさえよければ、私とこの先の人生を共に歩んでくださいませんか?」
アンリ王子は真剣だった。その瞳を見ればそれはリュセットにもよく伝わっていた。ルイ王子と同じ青い瞳。けれどアンリ王子の方が少し薄く、ライトグレーが少し混ざったようなライトブルー。その瞳を真っ直ぐ見つめながら、リュセットはずっと気になっていた疑問を口にした。
「どうして……私のことを、そこまでおっしゃって下さるのでしょうか?」
出会ったのはたったの数回。少し話を交わした相手だというのに、心から信頼を寄せているように見えるその物腰に、リュセットは戸惑いを感じていた。
「以前にもお伝えした通り、私は人を見る目があると思います。リュセット、あなたは他のご令嬢とは違い、謙虚で、聡明で、そして心が誰よりも美しい。だからこそ、私はリュセットがいいと思ったのです」
男性にそんな風に言われたことのないリュセットは、頬が赤らんでいくのを止める術はなかった。その上アンリは王子様。美青年のアンリ王子にそこまで熱心に求愛されて、照れるなという方が無理な話だった。
アンリ王子はリュセットの手を掴んだまま、照れたように目をそらすリュセットを真っ直ぐ見据えたまま、さらに言葉を紡ぐ。
「これでも信じてもらえないというのであれば、言い方を変えましょう」
リュセットがちらりと盗み見するようにアンリ王子を見やった瞬間だった。アンリ王子は今まで見せた中で一番、リュセットの心をときめかせるような、とろめく笑みを向けながら、言葉はさらに甘く囁いた。
「あなたを初めて見たあの舞踏会の日。私はリュセットを一目見た瞬間……あなたに恋に落ちたのです」
アンリ王子はそう言い切り、瞳に笑みを携えてリュセットの表情を見つめた。白い肌がどんどん朱に染まる様子を見つめながら、アンリ王子はさらにこう言葉を繋いだ。
「私と、結婚してくださいますか?」
「そうですね。けれど私の本心としてはやはり、マーガレットとルイ王子を応援したいのですよ」
「あっ、そう、ですわよね」
思わず顔が赤らむ。アンリ王子は純粋にルイ王子との恋を応援していたのだ。だからこそそんな提案を再びしなかったのだと気付き、自分の浅はかで少し自惚れとも取れる言葉を言ったことを恥じていた。
そんな様子を見ていたアンリ王子は、スッと膝をリュセットの隣についた。
「もっと言ってしまうのならば……私はリュセット、あなたのことをとても気に入っているのです」
アンリ王子はリュセットの顔を見上げながら、さらにこう言った。
「私は欲深い人間なのですよ、リュセット。兄上がマーガレットと結婚すれば、私はあなたを兄上のために結婚を進める必要もない」
「それは……」
リュセットはアンリ王子の言う言葉の意味を汲み取ろうとした。先ほどみたいに恥をかかないためにも、きちんと理解しようと勤めていた。すると、そんなリュセットの手を再び取り、アンリ王子はこう言った。
「先ほどは兄上の手前あのように言いましたが、もしもリュセット……あなたが私のことを受け入れてくださるのならば、私はあなたに結婚を申し込みたいと思っています」
リュセットは驚きを隠せず、瞳を大きく見開いた。その純粋な瞳はアンリ王子の言葉を言葉通りに受け取ってしまってもいいのだろうか……と、そんな疑問の色も乗せていた。
アンリ王子はもう知っている。リュセット自身の自己評価がどれほど低いのかを。だからこそアンリ王子は微笑みながらさらに言葉を重ね合わせていく。
「リュセット、兄上がダメならという意味ではなく、私はあなただからこそ言っているのです。もしリュセットさえよければ、私とこの先の人生を共に歩んでくださいませんか?」
アンリ王子は真剣だった。その瞳を見ればそれはリュセットにもよく伝わっていた。ルイ王子と同じ青い瞳。けれどアンリ王子の方が少し薄く、ライトグレーが少し混ざったようなライトブルー。その瞳を真っ直ぐ見つめながら、リュセットはずっと気になっていた疑問を口にした。
「どうして……私のことを、そこまでおっしゃって下さるのでしょうか?」
出会ったのはたったの数回。少し話を交わした相手だというのに、心から信頼を寄せているように見えるその物腰に、リュセットは戸惑いを感じていた。
「以前にもお伝えした通り、私は人を見る目があると思います。リュセット、あなたは他のご令嬢とは違い、謙虚で、聡明で、そして心が誰よりも美しい。だからこそ、私はリュセットがいいと思ったのです」
男性にそんな風に言われたことのないリュセットは、頬が赤らんでいくのを止める術はなかった。その上アンリは王子様。美青年のアンリ王子にそこまで熱心に求愛されて、照れるなという方が無理な話だった。
アンリ王子はリュセットの手を掴んだまま、照れたように目をそらすリュセットを真っ直ぐ見据えたまま、さらに言葉を紡ぐ。
「これでも信じてもらえないというのであれば、言い方を変えましょう」
リュセットがちらりと盗み見するようにアンリ王子を見やった瞬間だった。アンリ王子は今まで見せた中で一番、リュセットの心をときめかせるような、とろめく笑みを向けながら、言葉はさらに甘く囁いた。
「あなたを初めて見たあの舞踏会の日。私はリュセットを一目見た瞬間……あなたに恋に落ちたのです」
アンリ王子はそう言い切り、瞳に笑みを携えてリュセットの表情を見つめた。白い肌がどんどん朱に染まる様子を見つめながら、アンリ王子はさらにこう言葉を繋いだ。
「私と、結婚してくださいますか?」
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