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本編
靴の片割れ 1
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「おはようございます、マーガレットお姉様」
いつものように朝の朝食をとりにダイニングへと向かえば、リュセットは朝食の支度を整え、温かな紅茶をティーカップへと注ぎ入れた。
「おはようリュセット。そしてお母様とマルガリータお姉様」
「おはようマーガレット」
返事を戻したのはイザベラだ。マルガリータは朝から食事に勤しんで忙しそうだ。マーガレットはイザベラの向かいに座り、リュセットが淹れた紅茶を一口飲んだ。
「二人とも、気合を入れてまた舞踏会に呼ばれる時のために、みっちり品格を磨いていくよ」
突然放たれたイザベラの言葉に、マルガリータは食べていた朝食を思わず喉に詰まらせた。
「ゴホッ、ゴホッ。お母様、私達は連日の舞踏会に向けてストイックな訓練をしてきたばかりではありませんか。少し休息が必要ですわ」
「何を言ってるんだ。その結果はあの舞踏会で得れたのかい?」
ジロリと冷めざめとした視線をマルガリータとマーガレットに視線を送った。マーガレットはこの会話に加わる気は更々ない様子で、黙々と朝食を食している。そんな様子の妹にマルガリータは鋭い視線を向けた。
「そもそも私はウィリアム公爵といい感じでしたわ。それなのにマーガレットが邪魔をしたせいで……!」
「ウィリアム公爵はマルガリータお姉様にはご興味がない様子でしたわ」
マーガレット会話に加わるつもりがなかったにも関わらず、あまりにも楽天的な物言いをするため思わず口を挟んでしまった。しまったと思った時にはもう遅い、マルガリータの顔が火を吹くようにどんどん赤らんで、鬼の形相と化してしまった。
「良く言うわねマーガレット。結局ウィリアム公爵は私の元に戻ってこなかったじゃないの! 先に踊りたそうにしていたから私は先を譲ってあげたというのに。挙句そのまま会場の外へ連れ出すなんて……!」
「連れ出す、ですって……?」
マーガレットの眉がピクリと揺れる。食事をしていた手を止め、フォークとナイフをテーブルに置いた。
「あの方は色んなご令嬢に手を出されているような下世話な方ですわ。ですから私は避けていたのです。先に踊るようお譲りしたのは私の方でしたのに、お姉様の魅力不足のために私は踊る羽目になったのです」
「魅力不足……!? あんた、言わせておけばぬけぬけと……!」
がたんと椅子を倒し、マルガリータは立ち上がった。今にもマーガレットに噛み付いてやろうとしているマルガリータを、イザベラがぴしゃりと制した。
「ケンカはおやめ!」
マルガリータの手は震えながらテーブルの上を叩いた。怒りに満ちた表情は隣に座る母親へと向けられている。
「お母様!」
「マルガリータ、食事中だよ。きちんと座りなさい」
「ですが……!」
マーガレットは再びフォークとナイフを手に取り、食事を再開させる。そんなマーガレットに向かってイザベラはこう言った。
「マーガレットの言うことは一理ある。けれど、マーガレットもマーガレットだよ、ウィリアム公爵が女性にだらしがないことは皆が知ってることさ」
「……! 知っていて私達にあのような不届き者を押し付けたのですか?」
信じられないといった様子でマーガレットはイザベラを見た。その瞳はまるで化け物でも見るように。
「口を慎みなさいマーガレット。ウィリアム公爵はただまだ中身が若いと言うだけ。もしもあんた達が本物のレディであればウィリアム公爵もきっと浮気なんてしやしないよ。男をコントロールして家を守るのも、女性の仕事の一つだよ」
(いいように言っているけど、結局は肩書き=お金なのでしょ?)
マーガレットはフォークとナイフを再びテーブルに置き、席を立った。この話はするだけ無駄だと言うように。
「まだ食事が残っているよ」
「もう十分いただきましたわ。私は部屋へ戻ります」
マーガレットは憤りを感じながら、落ち着かない気持ちのままで部屋に戻り、そのままベッドへとダイブした。
いつものように朝の朝食をとりにダイニングへと向かえば、リュセットは朝食の支度を整え、温かな紅茶をティーカップへと注ぎ入れた。
「おはようリュセット。そしてお母様とマルガリータお姉様」
「おはようマーガレット」
返事を戻したのはイザベラだ。マルガリータは朝から食事に勤しんで忙しそうだ。マーガレットはイザベラの向かいに座り、リュセットが淹れた紅茶を一口飲んだ。
「二人とも、気合を入れてまた舞踏会に呼ばれる時のために、みっちり品格を磨いていくよ」
突然放たれたイザベラの言葉に、マルガリータは食べていた朝食を思わず喉に詰まらせた。
「ゴホッ、ゴホッ。お母様、私達は連日の舞踏会に向けてストイックな訓練をしてきたばかりではありませんか。少し休息が必要ですわ」
「何を言ってるんだ。その結果はあの舞踏会で得れたのかい?」
ジロリと冷めざめとした視線をマルガリータとマーガレットに視線を送った。マーガレットはこの会話に加わる気は更々ない様子で、黙々と朝食を食している。そんな様子の妹にマルガリータは鋭い視線を向けた。
「そもそも私はウィリアム公爵といい感じでしたわ。それなのにマーガレットが邪魔をしたせいで……!」
「ウィリアム公爵はマルガリータお姉様にはご興味がない様子でしたわ」
マーガレット会話に加わるつもりがなかったにも関わらず、あまりにも楽天的な物言いをするため思わず口を挟んでしまった。しまったと思った時にはもう遅い、マルガリータの顔が火を吹くようにどんどん赤らんで、鬼の形相と化してしまった。
「良く言うわねマーガレット。結局ウィリアム公爵は私の元に戻ってこなかったじゃないの! 先に踊りたそうにしていたから私は先を譲ってあげたというのに。挙句そのまま会場の外へ連れ出すなんて……!」
「連れ出す、ですって……?」
マーガレットの眉がピクリと揺れる。食事をしていた手を止め、フォークとナイフをテーブルに置いた。
「あの方は色んなご令嬢に手を出されているような下世話な方ですわ。ですから私は避けていたのです。先に踊るようお譲りしたのは私の方でしたのに、お姉様の魅力不足のために私は踊る羽目になったのです」
「魅力不足……!? あんた、言わせておけばぬけぬけと……!」
がたんと椅子を倒し、マルガリータは立ち上がった。今にもマーガレットに噛み付いてやろうとしているマルガリータを、イザベラがぴしゃりと制した。
「ケンカはおやめ!」
マルガリータの手は震えながらテーブルの上を叩いた。怒りに満ちた表情は隣に座る母親へと向けられている。
「お母様!」
「マルガリータ、食事中だよ。きちんと座りなさい」
「ですが……!」
マーガレットは再びフォークとナイフを手に取り、食事を再開させる。そんなマーガレットに向かってイザベラはこう言った。
「マーガレットの言うことは一理ある。けれど、マーガレットもマーガレットだよ、ウィリアム公爵が女性にだらしがないことは皆が知ってることさ」
「……! 知っていて私達にあのような不届き者を押し付けたのですか?」
信じられないといった様子でマーガレットはイザベラを見た。その瞳はまるで化け物でも見るように。
「口を慎みなさいマーガレット。ウィリアム公爵はただまだ中身が若いと言うだけ。もしもあんた達が本物のレディであればウィリアム公爵もきっと浮気なんてしやしないよ。男をコントロールして家を守るのも、女性の仕事の一つだよ」
(いいように言っているけど、結局は肩書き=お金なのでしょ?)
マーガレットはフォークとナイフを再びテーブルに置き、席を立った。この話はするだけ無駄だと言うように。
「まだ食事が残っているよ」
「もう十分いただきましたわ。私は部屋へ戻ります」
マーガレットは憤りを感じながら、落ち着かない気持ちのままで部屋に戻り、そのままベッドへとダイブした。
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