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第一王子とご対面
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2人に連れられて私達はみんなが集まる広場より離れた位置にある建物の中へ誘導される。
そして立派な扉の前で止まる。
「ユーリ、君と僕で入るよ。エドはマリーとサリーを頼む。」
そう言ってドアをノックする。
中より返事があり入室する。
そこには金髪の美青年がいらっしゃいました。
「殿下お待たせして申し訳ありません。ユーリを連れて参りました。」
そう言って騎士のポーズを取るアル。
私も慌てて挨拶のポーズに入る。
「お初にお目にかかります。ユーリと申します。お会い出来て光栄に存じます、殿下。」
頭を下げて挨拶をすると、
「堅苦しい挨拶は不要だ。私はフィリップ・フォン・クリスティーだ。フィリップで良い。」
「流石に呼び捨ては…フィリップ殿下と呼ばせていただきます。私の事はユーリとお呼び下さいませ。」
「ではユーリ、先日は無理を言ってすまなかった。アレは随分効果があるな。」
あっアロマの事ね!
「光栄でございます。フィリップ殿下のお気に召した様で何よりです。」
もう敬語がうまく使えない!
「実はここ最近体調不良な日々が続いていたのだが、ユーリがくれたオイルを塗ったり匂いを嗅ぐだけで気分が良くなるのだ。」
「フィリップ殿下は多忙と伺っております。
お渡しした物は、リラックス効果の高い物も使っておりますので是非お使い下さい。オイルは塗るだけでも良いですが、リンパに沿って流すと更に効果を期待出来ます。お試し下さい。」
「リンパ?私にはよくわからないからユーリに是非やってもらいたい物だな。」
そう言った途端、
「殿下!」
アルが焦った様に声をあげる。
「アルフレッド、冗談だよ!君の大事な姫を取り上げたりしないよ。」
フィリップ殿下は楽しそうだ。
アルと言えば赤面してます。
「アルフレッドがこんなに取り乱すとは、ユーリはすごいな!」
「いえ、恐縮です。」
なんだか恥ずかしいです。
「ユーリ、貴女は素晴らしい技術を持っている様だが普段はその技をどうしているんだい?」
「普段はアルフレッド様の自宅でアロマの製品作りをして、街のお店に卸しております。」
「なるほど、では私もそこから定期的に購入するとしよう。そうすればユーリの宣伝にもなるだろう?」
フィリップ殿下はウインクしてみせる。
王子様はなかなかお茶目な方みたい。
そして思っていたよりもフレンドリーでちょっとホッとしたわ。
「ありがとうございます!あの…殿下にお渡ししたものはちょっと特別でお店に出していないものもあります。そちらの方はよろしければまたアルフレッド様を通してお届けしましょうか?」
フランキンセンスの物は流石に流通させるほど精油が入って来ないから、今のところは特別対応品扱いね。
「それはありがたい。忙しいだろうから頃合いを見て頼む。お店の方も使わせてもらうよ。」
本当に気に入ってくれたのね。
「ありがとうございます。要望などありましたらまた仰って下さいね。」
「あぁ。正直このアロマに出会ってから久しぶりに穏やかな時間を過ごせているんだ。アルが君の事を話してくれた時は半信半疑だったが…使ってみてよくわかったよ!」
「殿下!半信半疑だったのですか?」
アルがすかさず突っ込んでる。
「アルフレッド、冗談だよ。」
そう言って笑顔だ。
「殿下、この後はどうされますか?私とエドワードはこの後第2試合に入ります。」
「そうか、では2人の勇姿を久しぶりに見ていくとするかな。」
王子様は嬉しそうに仰いました。
私とアルは部屋を出てエドワード様達と合流する。
「エド、殿下は見て行かれるそうなので王族専用の観覧席へご案内してくれ。」
アルがエドワード様へ伝える。
私達はアルと元の観覧席へ戻る。
どうやら他のブロックの第1試合も終わった様だ。
観覧席へ戻ると反対側にちょっと立派な椅子が置かれた場所がある。
そこがどうやら王族専用の観覧席らしい。
エドワード様が王子様を案内しているのが見えた。
「フィリップ殿下がいらっしゃったわよ!」
後ろからぶりっ子調子の声が聞こえる。
ふとフィリップ殿下の方を見ると、偶然にもフィリップ殿下もこちらに視線を向けられ、ニッコリ笑って手をあげた。
思わず条件反対で手を振りかえしてしまう私。
「前の女、殿下に手を振ってるわよ。厚かましいわね。」
後ろから先ほどのトーンとは全く違う声が聞こえる。
あちゃー会釈程度のが良かったかな…そうよね。殿下との繋がりがあるってあまり知られるべきじゃないわよね。
反省反省。
隣を見るとマリーが怒った顔をしている。
私の代わりに怒ってくれているのね。
マリーに大丈夫と笑顔を向ける。
ちょっと困った顔をするマリー。
私のせいでごめんなさいね。
フィリップ殿下は立場もさるところ、見た目も美男子な為、世の女性方の注目の的らしい。彼の周りはみんな赤い顔をして見ている様子。
私的にはアルのが素敵に見えるけど…
そんなことを考えてたらなんだか顔が熱くなって来たわ。
「ユーリ様いかがなされましたか?」
サリーに心配されてしまいました。
「只今より第2試合を開催いたします。フィリップ殿下がいらっしゃっておりますのでご紹介いたします!」
アナウンスが入る。
更にフィリップ殿下に注目が集まる。
「今日は普段の訓練の成果を存分に出し合い正々堂々と戦ってくれ。健闘を祈っている。」
殿下の言葉の後に、みんなの拍手が起こり試合の流れとなる。
そして立派な扉の前で止まる。
「ユーリ、君と僕で入るよ。エドはマリーとサリーを頼む。」
そう言ってドアをノックする。
中より返事があり入室する。
そこには金髪の美青年がいらっしゃいました。
「殿下お待たせして申し訳ありません。ユーリを連れて参りました。」
そう言って騎士のポーズを取るアル。
私も慌てて挨拶のポーズに入る。
「お初にお目にかかります。ユーリと申します。お会い出来て光栄に存じます、殿下。」
頭を下げて挨拶をすると、
「堅苦しい挨拶は不要だ。私はフィリップ・フォン・クリスティーだ。フィリップで良い。」
「流石に呼び捨ては…フィリップ殿下と呼ばせていただきます。私の事はユーリとお呼び下さいませ。」
「ではユーリ、先日は無理を言ってすまなかった。アレは随分効果があるな。」
あっアロマの事ね!
「光栄でございます。フィリップ殿下のお気に召した様で何よりです。」
もう敬語がうまく使えない!
「実はここ最近体調不良な日々が続いていたのだが、ユーリがくれたオイルを塗ったり匂いを嗅ぐだけで気分が良くなるのだ。」
「フィリップ殿下は多忙と伺っております。
お渡しした物は、リラックス効果の高い物も使っておりますので是非お使い下さい。オイルは塗るだけでも良いですが、リンパに沿って流すと更に効果を期待出来ます。お試し下さい。」
「リンパ?私にはよくわからないからユーリに是非やってもらいたい物だな。」
そう言った途端、
「殿下!」
アルが焦った様に声をあげる。
「アルフレッド、冗談だよ!君の大事な姫を取り上げたりしないよ。」
フィリップ殿下は楽しそうだ。
アルと言えば赤面してます。
「アルフレッドがこんなに取り乱すとは、ユーリはすごいな!」
「いえ、恐縮です。」
なんだか恥ずかしいです。
「ユーリ、貴女は素晴らしい技術を持っている様だが普段はその技をどうしているんだい?」
「普段はアルフレッド様の自宅でアロマの製品作りをして、街のお店に卸しております。」
「なるほど、では私もそこから定期的に購入するとしよう。そうすればユーリの宣伝にもなるだろう?」
フィリップ殿下はウインクしてみせる。
王子様はなかなかお茶目な方みたい。
そして思っていたよりもフレンドリーでちょっとホッとしたわ。
「ありがとうございます!あの…殿下にお渡ししたものはちょっと特別でお店に出していないものもあります。そちらの方はよろしければまたアルフレッド様を通してお届けしましょうか?」
フランキンセンスの物は流石に流通させるほど精油が入って来ないから、今のところは特別対応品扱いね。
「それはありがたい。忙しいだろうから頃合いを見て頼む。お店の方も使わせてもらうよ。」
本当に気に入ってくれたのね。
「ありがとうございます。要望などありましたらまた仰って下さいね。」
「あぁ。正直このアロマに出会ってから久しぶりに穏やかな時間を過ごせているんだ。アルが君の事を話してくれた時は半信半疑だったが…使ってみてよくわかったよ!」
「殿下!半信半疑だったのですか?」
アルがすかさず突っ込んでる。
「アルフレッド、冗談だよ。」
そう言って笑顔だ。
「殿下、この後はどうされますか?私とエドワードはこの後第2試合に入ります。」
「そうか、では2人の勇姿を久しぶりに見ていくとするかな。」
王子様は嬉しそうに仰いました。
私とアルは部屋を出てエドワード様達と合流する。
「エド、殿下は見て行かれるそうなので王族専用の観覧席へご案内してくれ。」
アルがエドワード様へ伝える。
私達はアルと元の観覧席へ戻る。
どうやら他のブロックの第1試合も終わった様だ。
観覧席へ戻ると反対側にちょっと立派な椅子が置かれた場所がある。
そこがどうやら王族専用の観覧席らしい。
エドワード様が王子様を案内しているのが見えた。
「フィリップ殿下がいらっしゃったわよ!」
後ろからぶりっ子調子の声が聞こえる。
ふとフィリップ殿下の方を見ると、偶然にもフィリップ殿下もこちらに視線を向けられ、ニッコリ笑って手をあげた。
思わず条件反対で手を振りかえしてしまう私。
「前の女、殿下に手を振ってるわよ。厚かましいわね。」
後ろから先ほどのトーンとは全く違う声が聞こえる。
あちゃー会釈程度のが良かったかな…そうよね。殿下との繋がりがあるってあまり知られるべきじゃないわよね。
反省反省。
隣を見るとマリーが怒った顔をしている。
私の代わりに怒ってくれているのね。
マリーに大丈夫と笑顔を向ける。
ちょっと困った顔をするマリー。
私のせいでごめんなさいね。
フィリップ殿下は立場もさるところ、見た目も美男子な為、世の女性方の注目の的らしい。彼の周りはみんな赤い顔をして見ている様子。
私的にはアルのが素敵に見えるけど…
そんなことを考えてたらなんだか顔が熱くなって来たわ。
「ユーリ様いかがなされましたか?」
サリーに心配されてしまいました。
「只今より第2試合を開催いたします。フィリップ殿下がいらっしゃっておりますのでご紹介いたします!」
アナウンスが入る。
更にフィリップ殿下に注目が集まる。
「今日は普段の訓練の成果を存分に出し合い正々堂々と戦ってくれ。健闘を祈っている。」
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