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サリーとマリー

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責任って…私どうしたらいいのかしら?
そもそもここはどこ?って話だし。
アルは多分わたしが可哀想で気を使ってくれてるのよね。
とりあえず1日も早く自活なり元に戻る方法なりを見つけなきゃ!

そう心に決めたところでセバスが私を呼ぶ。

「すみません!今行きます。」

そう言ってセバスの後を追う。

「こちらがユーリ様のお部屋でございます。今から侍女がお着替えをお手伝いしますのでお待ちください。」

そう案内された部屋はとてもメルヘンチックな可愛らしいお部屋でした。
そして侍女?
いよいよアルは本当にお金持ちの家の人なのね…

部屋を歩き回っているとドアが開き2人の侍女らしき女の人が入ってきた。

「サリーとマリーでございます。ユーリ様のお世話係ですのでよろしくお願いいたします。」

歳はあまり変わらない気がする…なんだか申し訳ない…

「こちらこそよろしくお願いします。」

深々と頭を下げる私。

サリーとマリーは驚いているようだった。
「ユーリ様、お着替えの前に湯浴みをしましょう。こちらへどうぞ」

そう言って案内される。

森にしばらくいたからお風呂はありがたい。
しかし侍女の2人に洗われるというのはちょっと…いやかなり恥ずかしい!

「自分で洗えます!」
そう言ってみても
「私達の仕事ですから!」
そう言われてしまえばそれでおしまい。
パジャマを脱がされ…ピカピカに磨かれました!

しかもアロママッサージ付き!
ラベンダーのいい匂いがする。

ん?この世界には精油があるんだ?
ふと思う。私は実はアロマオイルにはちょっと詳しいの。
看護師と言う職業柄か精油の効能が患者さんにいいんじゃないかと勉強したんだよね~。
アロマのいい匂いをかいでから、いろんな事が思い出される。
仕事の事、母の事、お見合いの事…
そんなに時間は経っていないはずなのに、随分と遠い話に感じられる。
あぁ、私気が付けば全然知らない世界にいるんだなぁ…

しんみりとそんな事を考えていたら
「ユーリ様、お着替えをお手伝いさせていただきます。」
と声を掛けられた。確かサリーの方。
サリーは青髪をポニーテールに縛った美人さん。
ちなみにマリーはピンクの髪をツインテールに縛った可愛らしい子。
様なんて付けられるのはなんだか慣れないけど…付けないでは呼べないと拒否られてしまった。

そうこうしているうちに着替えが進んでいく。

白地ベースで淡い黄色のレースやリボンが飾られている。
シルエットはほっそりとしていて丈は長め。
上はベアトップになっているからショールを羽織って完成~。
マリーが何故か顔を赤くしている。
「ユーリ様お似合いです!早くアルフレッド様にお見せしなくては!」
隣でもサリーが頷いている。
なんだか照れてしまうわ。

彼女達のおかげで、なんだか沈みかけていた気分が浮上してきたみたい。
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