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第1章、旅立ち編1――その日青年は最強と謳われた魔王候補生を救った
黄昏の大聖堂
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勇者洗礼の儀を終えたばかりのサークリア大聖堂広間。
エリンスは、未だ旅立てずにいた。
緊張と同時に力まで抜けてしまい、壇上近くの席に座り続けてボーっと、大きなステンドグラスを眺め続けていた。
「最後に選ばれる子は、やめちゃうやつも多いんだよね」
呆然としたままのエリンスを心配したのか、それとも後片づけの邪魔だったのか。
エリンスが我に返ったところで、先ほどまで儀式の進行役を務めていたシスターの一人が近づいてきた。
濃紺を基調とした修道服を頭から足まで被るように着用し、首からは銀の十字架のネックレスを掛けた少し切れ長な目をした女性だ。ベールの下より溢れ出す長い金髪が印象的だった。
「儀式に参加しただけでも十分なんだよ。そもそも来ないやつもいるから」
それは励ましの言葉だったのか。
毎年最下位に選ばれる勇者候補生の噂は、エリンスも聞いたことがあった。
誰もいなくなった広間、その緊張に耐えられず逃げ出すとか。そもそも儀式に参加できず逃げ出すか。
シスターは「はぁ」と息を吐きながらも、笑顔を浮かべてエリンスの横まできた。
「マースさんの目って、それだけで怖いじゃん? とてもじゃないけど、わたしはあの場であんな風に言われたら、逃げちゃうね!」
砕けた喋り方をするシスターに、エリンスはどう返事をすればいいのか迷う。
そんな悩んだ顔まで見透かされるような鋭い目、だけど、シスターは愛想よく笑ってからエリンスの横に腰かけた。
「まあ、だから。ああいう感じで迫られると、やめちゃうやつも多いんだよ」
シスターはそう言いながら膝を組んで何やら遠くを見つめるように壇上を眺める。エリンスも無意識のうちにその視線を追った。
「そもそも最下位になった時点で諦めちゃうやつも多い。だからああやってちゃんと返事をして、候補生になれるだけできみは見込みがあるよ。長年、たくさんの候補生の顔を見てるとそう思うよ、ほんと」
長年と言いはするが、シスターが年を取っているようには見えなかった。どちらかと言えばまだ若く、十七歳であるエリンスより少し年上といった雰囲気だ。
「……そういうものなんですかね」
視線の先にあった大きなステンドグラスを見つめて、シスターへ言葉を返した。
心配してくれているのだろうか――エリンスは少し返事に困ってしまう。
「そういうもんだよ」
シスターもまた、涼しげな顔をしたままステンドグラスを見つめている。
何を考えているのかエリンスにはさっぱり読めず、話が途切れ一時の静寂が二人の間を埋めた。
七色のステンドグラスが角度の変わった夕陽を反射する。
気持ちに整理のつかないエリンスだったが、そうしていると段々と平常心を取り戻すことができた。
「きみの目には痺れるものがあったねぇ! だからわたしはきみのことを応援するよ」
静寂を破ったのはシスターの嬉しそうな声だった。
エリンスは再び返事に困ったものの、「ありがとうございます」と礼を一言返す。
「それに最近は勇者候補生になった、ってだけで満足する人間も多いんだよ。世界に未だ危機があるなんて話はごく当たり前に、みんなわかっていることだけど、世の中は段々と変わるものでさ。二百年前の勇者様の考えなんて、わたしにはわからないけど、今じゃ勇者候補生様ってやつも、ただのステータスになってる節がある」
たしかに世の中がそういう風潮になってきているのも事実だ。シスターの言葉にはエリンスも心当たりがあった。
試験の際、別の勇者候補生同士が話していたことを思い出す。
『領主の親に言われて仕方なくここにきた』と項垂《うなだ》れた者。
『候補生の資格があれば騎士として迎えてくれる当ても多い』と勇んでいた者。
そういう考えを持ってこの場に立った人らが、少なからずいるのも事実だった。
「そういうやつらは目が違うからね」
ハッキリと口にしたわけではなかったが、シスターがそういうやつらを毛嫌いしていることはエリンスにも伝わった。
「勇者候補生が生まれるようになってこの二百年。勇者候補生になった人間は数万人を超えるけど、全ての軌跡を辿って帰ってきた候補生は片手の指で数えられるほどしかいないんだよ」
「有名な話、ですね」
勇者候補生の旅がそれだけ単純ではないということ。
その道の半ばで命を失う者もいれば、怪我や病気でリタイアせざるを得ない者もいる。
候補生の旅を道半ばで止めて、安住の地を見つけ、家族を作る者もいる。手腕を買われ王国の騎士団に入団する者もいる。
それこそ現在の勇者協会最高責任者マースレンがそうであったように、勇者協会に属する者も多い。
シスターは目線を落とし、ふいにエリンスのほうへと顔を向けた。
「きみはここに帰ってくるよ、これはただの、わたしの勘だけどね」
「そうなればいいなって俺も思います」
向けられたやんちゃな笑顔に顔が熱くなり、誤魔化すよう強がりの言葉が口から出た。
「だったら、立ち止まっている暇はないぞ!」
急に立ち上がったシスターに腕を引っ張られ、エリンスも強引に立たされる。そのまま引きずられるように広間から連れ出された。
長い廊下を通り抜け、されるがまま大聖堂入口まで連れて来られたエリンスは、背中を押され追い出されるような形で、一歩を踏み出した。
「きみの冒険は今、はじまった! さぁ!」
腕を広げながらそう言った、名前も知らないシスターの笑顔がとても眩しい。
その強引な行動も元気づけるためにしてくれたものだろう。
エリンスは背筋を張って振り返り、シスターへと向きなおる。
「街はきっとお祭り騒ぎで楽しいよ! 街の協会に行けば仲間が見つかるかもしれない!」
笑顔を振りまくシスターになんとこたえようかと迷って、エリンスの口から出たのはずっと考えていた旅の計画だった。
「ここで仲間を探す気はないんです。どうせこの時間、俺は最後の一人ですから」
「へぇー、何か考えがあるんだね?」
にこ、と笑ったシスターに、顔を上げたエリンスも自然と口角が吊り上がった。
落ちて行く夕陽に、二人の影が伸びてゆく。
小高い山の上にあるサークリア大聖堂の入口から見えた夕陽はもう遙か遠方、山々の向こうへと近づいている。
麓《ふもと》に広がった大きな街がオレンジ色に染まっていた。
「最短で、次の町を目指そうかと思ってます」
エリンスは先に旅立った優秀な勇者候補生たちを追う立場だ。
「いいんじゃないかな。きみの旅は、きみの旅さ」
――勇気づけてくれたこの人のためにも、自身がした決意のためにも、目指す場所へ急ごう。
エリンスは決意を胸にシスターへ尋ね返した。
「あのシスター、名前を聞いてもいいですか?」
「わたし? わたしは、シスターマリー! まあシスターってガラじゃないんだけどね」
両手を上げて肩を竦めるようにするシスターはそう言って笑った。
その笑顔に、シスターの名前を聞いて――エリンスは気持ちに区切りをつけられた気がした。
後押ししてくれた笑顔にこたえるように、手を振ったエリンスは元気よく返事をした。
「ありがとうございました。マリーさん! いってきます!」
手を振り返してくれたシスターの姿を確認して、エリンスはサークリア大聖堂に背を向けた。
◇◇◇
シスターマリーは遠くを眺めるようにして、その背中を見送った。
そうして、夕焼けに染まった空を仰いで呟く。
「いってきます、か。そんなことを言って旅立つ候補生が、まだいたんだねぇ」
エリンスにその声は届かない。
「きみの旅が、良き旅路になることをわたしも祈るよ」
当然ながら、シスターマリーも知る由はなかったが――。
エリンスの旅立ちは波乱万丈、彼が語った計画のようには進まなかった。
エリンスは、未だ旅立てずにいた。
緊張と同時に力まで抜けてしまい、壇上近くの席に座り続けてボーっと、大きなステンドグラスを眺め続けていた。
「最後に選ばれる子は、やめちゃうやつも多いんだよね」
呆然としたままのエリンスを心配したのか、それとも後片づけの邪魔だったのか。
エリンスが我に返ったところで、先ほどまで儀式の進行役を務めていたシスターの一人が近づいてきた。
濃紺を基調とした修道服を頭から足まで被るように着用し、首からは銀の十字架のネックレスを掛けた少し切れ長な目をした女性だ。ベールの下より溢れ出す長い金髪が印象的だった。
「儀式に参加しただけでも十分なんだよ。そもそも来ないやつもいるから」
それは励ましの言葉だったのか。
毎年最下位に選ばれる勇者候補生の噂は、エリンスも聞いたことがあった。
誰もいなくなった広間、その緊張に耐えられず逃げ出すとか。そもそも儀式に参加できず逃げ出すか。
シスターは「はぁ」と息を吐きながらも、笑顔を浮かべてエリンスの横まできた。
「マースさんの目って、それだけで怖いじゃん? とてもじゃないけど、わたしはあの場であんな風に言われたら、逃げちゃうね!」
砕けた喋り方をするシスターに、エリンスはどう返事をすればいいのか迷う。
そんな悩んだ顔まで見透かされるような鋭い目、だけど、シスターは愛想よく笑ってからエリンスの横に腰かけた。
「まあ、だから。ああいう感じで迫られると、やめちゃうやつも多いんだよ」
シスターはそう言いながら膝を組んで何やら遠くを見つめるように壇上を眺める。エリンスも無意識のうちにその視線を追った。
「そもそも最下位になった時点で諦めちゃうやつも多い。だからああやってちゃんと返事をして、候補生になれるだけできみは見込みがあるよ。長年、たくさんの候補生の顔を見てるとそう思うよ、ほんと」
長年と言いはするが、シスターが年を取っているようには見えなかった。どちらかと言えばまだ若く、十七歳であるエリンスより少し年上といった雰囲気だ。
「……そういうものなんですかね」
視線の先にあった大きなステンドグラスを見つめて、シスターへ言葉を返した。
心配してくれているのだろうか――エリンスは少し返事に困ってしまう。
「そういうもんだよ」
シスターもまた、涼しげな顔をしたままステンドグラスを見つめている。
何を考えているのかエリンスにはさっぱり読めず、話が途切れ一時の静寂が二人の間を埋めた。
七色のステンドグラスが角度の変わった夕陽を反射する。
気持ちに整理のつかないエリンスだったが、そうしていると段々と平常心を取り戻すことができた。
「きみの目には痺れるものがあったねぇ! だからわたしはきみのことを応援するよ」
静寂を破ったのはシスターの嬉しそうな声だった。
エリンスは再び返事に困ったものの、「ありがとうございます」と礼を一言返す。
「それに最近は勇者候補生になった、ってだけで満足する人間も多いんだよ。世界に未だ危機があるなんて話はごく当たり前に、みんなわかっていることだけど、世の中は段々と変わるものでさ。二百年前の勇者様の考えなんて、わたしにはわからないけど、今じゃ勇者候補生様ってやつも、ただのステータスになってる節がある」
たしかに世の中がそういう風潮になってきているのも事実だ。シスターの言葉にはエリンスも心当たりがあった。
試験の際、別の勇者候補生同士が話していたことを思い出す。
『領主の親に言われて仕方なくここにきた』と項垂《うなだ》れた者。
『候補生の資格があれば騎士として迎えてくれる当ても多い』と勇んでいた者。
そういう考えを持ってこの場に立った人らが、少なからずいるのも事実だった。
「そういうやつらは目が違うからね」
ハッキリと口にしたわけではなかったが、シスターがそういうやつらを毛嫌いしていることはエリンスにも伝わった。
「勇者候補生が生まれるようになってこの二百年。勇者候補生になった人間は数万人を超えるけど、全ての軌跡を辿って帰ってきた候補生は片手の指で数えられるほどしかいないんだよ」
「有名な話、ですね」
勇者候補生の旅がそれだけ単純ではないということ。
その道の半ばで命を失う者もいれば、怪我や病気でリタイアせざるを得ない者もいる。
候補生の旅を道半ばで止めて、安住の地を見つけ、家族を作る者もいる。手腕を買われ王国の騎士団に入団する者もいる。
それこそ現在の勇者協会最高責任者マースレンがそうであったように、勇者協会に属する者も多い。
シスターは目線を落とし、ふいにエリンスのほうへと顔を向けた。
「きみはここに帰ってくるよ、これはただの、わたしの勘だけどね」
「そうなればいいなって俺も思います」
向けられたやんちゃな笑顔に顔が熱くなり、誤魔化すよう強がりの言葉が口から出た。
「だったら、立ち止まっている暇はないぞ!」
急に立ち上がったシスターに腕を引っ張られ、エリンスも強引に立たされる。そのまま引きずられるように広間から連れ出された。
長い廊下を通り抜け、されるがまま大聖堂入口まで連れて来られたエリンスは、背中を押され追い出されるような形で、一歩を踏み出した。
「きみの冒険は今、はじまった! さぁ!」
腕を広げながらそう言った、名前も知らないシスターの笑顔がとても眩しい。
その強引な行動も元気づけるためにしてくれたものだろう。
エリンスは背筋を張って振り返り、シスターへと向きなおる。
「街はきっとお祭り騒ぎで楽しいよ! 街の協会に行けば仲間が見つかるかもしれない!」
笑顔を振りまくシスターになんとこたえようかと迷って、エリンスの口から出たのはずっと考えていた旅の計画だった。
「ここで仲間を探す気はないんです。どうせこの時間、俺は最後の一人ですから」
「へぇー、何か考えがあるんだね?」
にこ、と笑ったシスターに、顔を上げたエリンスも自然と口角が吊り上がった。
落ちて行く夕陽に、二人の影が伸びてゆく。
小高い山の上にあるサークリア大聖堂の入口から見えた夕陽はもう遙か遠方、山々の向こうへと近づいている。
麓《ふもと》に広がった大きな街がオレンジ色に染まっていた。
「最短で、次の町を目指そうかと思ってます」
エリンスは先に旅立った優秀な勇者候補生たちを追う立場だ。
「いいんじゃないかな。きみの旅は、きみの旅さ」
――勇気づけてくれたこの人のためにも、自身がした決意のためにも、目指す場所へ急ごう。
エリンスは決意を胸にシスターへ尋ね返した。
「あのシスター、名前を聞いてもいいですか?」
「わたし? わたしは、シスターマリー! まあシスターってガラじゃないんだけどね」
両手を上げて肩を竦めるようにするシスターはそう言って笑った。
その笑顔に、シスターの名前を聞いて――エリンスは気持ちに区切りをつけられた気がした。
後押ししてくれた笑顔にこたえるように、手を振ったエリンスは元気よく返事をした。
「ありがとうございました。マリーさん! いってきます!」
手を振り返してくれたシスターの姿を確認して、エリンスはサークリア大聖堂に背を向けた。
◇◇◇
シスターマリーは遠くを眺めるようにして、その背中を見送った。
そうして、夕焼けに染まった空を仰いで呟く。
「いってきます、か。そんなことを言って旅立つ候補生が、まだいたんだねぇ」
エリンスにその声は届かない。
「きみの旅が、良き旅路になることをわたしも祈るよ」
当然ながら、シスターマリーも知る由はなかったが――。
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