人形弟子の学習帳

シキサイ サキ

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1章 誕生日から旅立ちまで

2話 魔法師と青い人形

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よく晴れた、春の日の朝
魔法師団長室の、広くて物がやたらと散乱さんらんした、少し薄暗い部屋の中で

「おはようございます」

かわいらしい少年の声でしゃべる人形が、のそのそと隣の部屋から起きて来ました。

「あ、あぁおはよう よく眠れたか? 」

「昨晩から今朝の起床時間まで、問題なく休息をとりました
 体も現時点で確認できる問題点はありません」

「……そっか、それは何よりだ 良かった良かった
 朝ごはん用意出来たから食べるか? 昨日みたいに丸げにはならなかったよ」

「はい、いただきます」

形のいびつな目玉焼き、皿からはみ出した悲惨ひさんなサラダ
様々な具材が大小ちぐはぐに煮込まれた、味の濃い塩辛いスープ
唯一ゆいいつまともなパンだけは、今朝方ライルが食堂のおばちゃんからもらったいただき物です。

もぐもぐもぐもぐ

「……ど、どう、かな?
 味とか、あと気分とか、何か要望ようぼうがあったりとか、ないか?」

「飲食可能です、問題ありません 気分……? は……よくわかりません」

「そっか、わかった、答えてくれてありがとう
 いっぱい食べてくれ、その後で今日も身体検査をすませてから、軽く学習をこなしていこう」

「はい、わかりました」


もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ


無言の食卓、軽い咀嚼音そしゃくおんと、ひそかに聞こえる食器のこすれる音だけがひびく室内

物を部屋のすみに追いやることにより
何とか清潔せいけつな、もとい生活可能なぐらいの空間を維持いじしたダイニングで

魔法士ライルは思い悩みます。

やたらと濃く入れた、苦いだけの珈琲コーヒーを口に含みながら
先日、無事目を覚ましてくれた自分の作品

人形アレンとの接し方について。

(どうしたものか、いや、原因はたぶん俺にあるんだろうけど)

ライルは悩みます。

二年と数か月後には、王女様のもとへと送り出さなければならないこの人形。

見た目だけは人間と大差ない
しかし、この感情があるのか無いのか全くわからない、子供のような何かに対して
どのような関係性で接するべきなのか、と。

違和感の無くならない、そこだけ綺麗きれいに物を寄せられた、広いダイニングテーブルで
一人と一体の、息が詰まるような重苦しい食事が、黙々もくもくと続けられました。


〔ライルの手引きより〕

何かに行き詰まるのは、頭の中が情報を処理しきれなくなったからだ。
そういった時は現状、課題、解決案、など
何でもいいので、思いつく事を紙に書きだす方法が有用だと
昔話した、騎士のおっさんが言っていたので、今でも続けている。

はじめに

魔法式自動人形 アレン・フォートレス の
作成に至るまでの、簡単な流れから

まず、俺が苦手とする【生活魔法】を最短二年で習得し、残り一年で贈り物三つの制作を行う案だが
早々にあきらめた。

魔法のきわみを目指して、研鑽けんさんしていく道を選んだ者の一人として
あまり関心出来るような行動ではないが

こんな失敗の許されない状況下の中で
自分の努力を信じて、間に合うかどうか定かでないけをするのは好かない。

そんなものは美徳びとくでも何でもない、ただの無謀むぼう博打ばくちに等しい。
博打は良くない、大人はみんな博打と酒と恋愛で失敗する、良くない。

やるなら成功性の高い、余裕を持った計画が望ましい。

そこで思いついたのは
俺ではなく、別の誰かに【生活魔法】を学んでもらい
その知識や技術を後から抜き取り、贈り物に付与するという方法だった。

こうすれば、それぞれに作業を分担して
3年という製作期間でも、余裕を持った活動計画を立てる事ができるという考えに至り

学びを目的とした学習人形の制作、および並行して美術に関する勉強と【生活魔法】についての調べを開始した。

簡易的な人形の制作自体は早々に完了した。
なので主に行っていたのは、美術関連の勉強と人形から技術を抜き取った後の事についての試行錯誤しこうさくごとなった。

人形に代わりをつとめさせるにしても
学ばせた後、いったいどんな形にして、それを王女様への贈り物とすかが課題となる。

三つのうち二つの贈り物は、芸術関連の学習に務める中で完成した為、そこはうれしかった。

今までえんもゆかりもなかった事柄ことがらだったが、こうして学んでみると面白い。

新しい見方が増えるというのは、大人と呼べる年齢になってなお、好奇心が刺激しげきされいい娯楽ごらくになる。
贈り物の制作も思いのほか順調に、かつなかなかの出来栄えで完成させることができた。

残るはあと一つ、【生活魔法】を主とした、最後の贈り物だが
最後の一つとなると、より頭を悩ませてしまう。

一つ目は鏡、二つ目は化粧箱、じゃあ三つ目は? タンス? ドレス? 髪飾り?

いや、そんな物は俺が送るまでもなく、王室御用達おうしつごようたしの使用人たちが総出そうでで取りそろえるに決まっている。

めとなる最後の三つ目の形状、デザイン、魔法の落とし込み方、それら全てに迷いながら

試作品となる人形の素体そたいが、たしか70体を超えて
広い部屋が人形のパーツと関連書物かんれんしょもつあふれかえった頃
気づけば、国王から要望ようぼうを受けて、早くも三か月がたってしまっていた。


考える事を続けながら、出来上がりはしたが使用用途しようようとのない試作品の人形達を
街の市場でこっそりと売り払い、追加の資金を得るべく
変装して、夜の城下町に降り立った、とある日の夜。


そこそこまとまった金額で、人形達を買い取ってもらえた帰り道
ふと、国内で高い人気を誇る、大手の玩具店がんぐてんから出てくる親子ずれが目に入った。


おそらく母と娘であろう二人組の親子だ。
服装は一般的な者よりもやや装飾そうしょくが目立つので、おそらく裕福層ゆうふくそうの人間であろう。

無邪気むじゃきな笑顔を浮かべる少女の腕には 一体のぬいぐるみ が抱きしめられていた。

幸せそうな親子の様子から、今更ながら人形やぬいぐるみという物はそもそも
自分のような魔法士の道具や儀式ぎしきの材料では無く
子供達の玩具がんぐであり、贈り物として一般的な物なのだな、という事に今更気が付く。

どうにもそんな事が気になってしまった為
気は引けたが、やたらと奇抜きばつ装飾そうしょくのされた、その玩具店に足を踏み入れてみる事にした。

こうして、王女様への三つ目の贈り物は
【生活魔法】を習得させた、人形そのものを、付き人型の自動人形として贈る案に至ったわけだ。

店の主いわく、人形の贈り物というのは、大人になってからでもまったく無いでも無いらしい。

特に、作りが細かな物、装飾にった物や造形が繊細せんさいである物などは
玩具としてではなく、美術品としてのカテゴライズに当たるらしく
オークションやアンティークショップなどでは
老若男女ろうにゃくなんにょ問わず、マニア達の間で、高値で取引され続けているのだとか。

魔法を学ばせた人形を送るのならば、わざわざ人形から知識や技術を抜き出して
他の道具に移し替えるという、手間な作業もはぶく事が出来る。

それに加えて、他にもいくつかの魔法を学ばせられれば
その場の判断で、人形自らが考えて王女様をサポート出来る。

これならばきっと、国王の提示した 万能の魔法 という条件にも十分該当がいとうするに違いない。

そうして、俺は今までに培った人形の作成技術と
友人からゆずってもらった機械部品きかいぶひん、かき集めた魔力耐性まりょくたいせいの高い素材を使用し
つい二日前、ようやく魔法式自動人形 アレン・フォートレス を完成させた。

精神や魂をゼロから生み出すのは困難であった為に
代用として、いくつかの魂の欠片をつなぎ合わせた、人工的なつぎはぎの魂を制作した。
無事可動してくれるのか、だいぶ不安ではあったものの

アレンはこうして、今日も無事に目を覚まして、俺の作った不格好な朝食を完食してくれている。

そこは本当に良かった。良かった、のだが……

いくつか、問題点
というより今後の課題や確かめなければならない事柄かだいが出てきてしまった。

以下、その課題や疑問と原因だと思われる事を書き出しておく。


1. 知識や学習能力、魔法師としての素質しっそ

アレンが可動し始めて一日目
つまりキッチンで寝こけていた俺を、アレンが起こした日。

そう、アレンが俺を 起こしに来た のではなく
厳密げんみつに表現するならば 起こした という方が近かった。

いつの間には、俺の横にちょこんと座り込み
置いておいた手紙を延々えんえんと繰り返し朗読していた。

その声に驚き、眠りこけていたダイニングの床から飛び起きたのだ。

しばらく理解が追い付かず、15分ほどたってからだろうか
美しい子供の顔をしたアレンが、朗読をしている様子をボーっと眺めていた時
アレンが唐突とうとつに朗読をやめた。

手紙を手に取ったままこちらに少し顔を向けてから

「僕の名前は魔法式自動人形アレン・フォートレス
 王女様の贈り物のためにセイカツマホウを学びます

 今日が誕生日で
 魔法士ライルより幸福を願われ、愛を込められました」
  
そんなことを言い以降、俺の返答を待ち待機した。

けして、そんなつもりで書いたわけではなかったのだが
はからずしも、俺からアレンにあてた手紙は、彼の最初の学力テストになったようだ。
結果は、まあそこそこだ。

むしろ、そこら辺の子供より頭がよく、学習速度も速い事が、後の検査で判明する。

しかし、手紙の内容で理解できたのは、5~7割程とみていいだろう。

文字や文章の内容把握ないようはあくに、単語の理解も大体はあってはいる、が
やや感情や比喩的ひゆてきな表現への理解がとぼしく
いまだにどこまで理解してくれているのか、実際のところは定かではない。

しかし、アレンはまだ生まれて間もない人形なのだから
そこは追い追いやっていく他ないだろう。

また、学力・能力検査にともない、魔法を学ぶ上で必要となる
アレンの体にそなえ付けた、各種かくしゅパーツが正常に作動しているかのチェックも行ったが
こちらは現状、何も問題なく可動していた。一安心だ。


2. 感情・思想について

アレンとのテストや検査、生活を通して、課題となったのが彼の感情の有無だった。

意思疎通自体いしそつうじたいは可能だと判断した後に、何がしたいか、何が食べたいか、などの
アレンに対して、いくつかの質問をしてみた所、一番多かった答えが以下の通り

「わかりません」

「答えに違いはありますか?」

「どうする方が望ましいですか?」

現状における、個人の思考と呼べる様な
好みや意見などといった自己意識じこいしきたぐいが、全く確認出来ないでいる。

そして、この問題でもっとも判断に困っているのが
俺自身、アレンに個人的な好みや思想が無かったとして
それが良いことなのか、悪いことなのか、判断がつかないでいるという事だ。
  
いまだ答えが出ない中、子育て経験のある食堂のおばちゃんに相談してみた所


「ありゃ~ そりゃ産まれたばっかの子供みたいん子なんだろ?
 いきなりなんも知らんのに選べるわけないが~?

 アタシャ、魔法のこた~ 詳しく知らんけど
 子供ってのは大抵、大人の姿みたり~ 同い年ん子と遊んだりして
 生活ん中でちょっとづつ学んでいくんだで

 そやね~ あんたそういうの下手そうやし、絵本でも読んだり
 おままごとでも一緒に遊んでやりゃええんやないか?

 ほりゃ! パンいっぱい持ってって、食べさせてあげんちゃい! 」


との返答を頂けた。
さすがは経験豊富けいけんほうふな食堂のおばちゃん、言う事が違う。

手始めに、児童用の良さげな童話集どうわしゅうや流行の絵本をそろえよう。
おままごと、は、案外いい案かもしれない。いくつか道具を作り、台本も制作してみよう。


3. 関係性とこれからの方針について

上で述べた通り、現在アレンから自発的意見じはつてきいけん
自意識じいしきのようなものはほとんど確認できていない。

だが、いくつかの質問をされた事がある。内容は以下の通り。
  
「王女様の贈り物、という使用目的がある僕に 個人の好き嫌いは必要ですか?
 もしくはあっても問題ないのですか?」

「食事は燃焼ねんしょう系のエネルギー摂取法ですが

 太陽光や月光などの光源を利用した、エネルギー摂取せっしゅ方法があるならば
 そちらではだめなのですか?

 そうすればライル様も苦手な料理をしなくてすみ
 その分、余った食物をライル様が多く摂取できます」

「僕の使用目的は【生活魔法】による王女様の補助、手助け
 それを行うための技術の習得や学習

 つまり、僕はなにより王女様の命令を優先すべきですか?」

「僕は魔法式自動人形アレン、王女様への贈り物
 では魔法士団長ライル様とは、どういった関係性であればよいのですか?」

「手紙に、僕に幸福を願う、とありました
 あれは、どういった意味なのですか?
 僕の幸福、に該当する指令や命令を教えてください」

「手紙の最後に、 愛を込めて とありました
 あれは誰の、何の愛を、何の意図で
 人形アレンに込めたということなのですか?」


 そして、その質問への返答を
 俺は全て保留ほりゅうにさせてもらっている。

 言語化げんごかするのに困難な内容であるというのも理由の一つだが
  
 なんだか、簡単に答えてはいけないような、そんな気がした為である。
 では、どうして俺は質問に対して、そんな考えを持ったのか?

 アレンの言う疑問はもっともだと思う
 ではなぜ俺はそれに、強い違和感を覚えているのだろう?
  
 確かに、王女様へのただの贈り物ならば、アレンに自意識や好き嫌いなどは不要な気もする。
 しかし、なぜか今のままでは足りないような気がしてならない。
  
 やはり、もう少し考えよう。
 アレンがせっかく、こうして無事に目を覚ましてくれて、はじめて持ってくれた疑問だ。
 
 俺もしっかりと向き合って答えたい。

 たとえそれが、国王の命令で作らされた人形相手でも。


  (このページはここで終わっている)

  
魔法士ライルが課題を整理し
明日から使用するであろう、おままごとセットといくつかの台本制作を開始する頃には
すでに月が高く空へと昇り、深い夜へと時間は移り変わっていました。

明かりの灯る、ライルの書斎から汚い廊下を通り、ダイニングと玄関を抜けた先。
広いリビングを利用して作られた、即席そくせきの子供部屋
そこが人形アレンに与えられた、生活の空間でした。

「僕は魔法式自動人形 アレン・フォートレス
 王女様への贈り物、勉強を頑張る、王女様の生活をサポート……ではあの方は?」

産まれたばかりのアレンは悩みます。
アレン自身はまだ産まれたばかりのはずなのに、夢か幻の様にあやふやな声が
なぜか、アレンの小さな頭の片隅かたすみささやくのです。

(アレンは、人形で、使用目的があって作られた、でも、あの方は、手紙に
 幸福を願う、と
 愛を込めて、と書いてあった、それはどういうことでしょう?)

自身の作られた目的の冷たさと
ライルの言動や行動との差に、人形アレンは戸惑いました。

彼のいう、個人の思想という物は、使用目的にあまり無い方が良いように思う。
彼のいう、アレンの幸福を願う、という一文に秘められた、作り手としての本意が分からない。
彼のいう、愛を込めてが、何に向けられるものなのか、それはなぜなのか分からない。

魔法士ライルと人形アレンは、どういった関係性なのだろう?

わからないを繰り返し
つぎはぎされた魂を宿した、魔法式自動人形のアレン・フォートレスは
ライルから与えられた、やわらかな布団に包まれて眠りに落ちていきました。

こんなに肌触りの良い布団も、不出来なご飯も、人形の体にはいらないはずなのに。

こうして今夜も、一人と一体の夜は過ぎて行くのでした。



(おまけ)

〔ライルのメモ書きより抜粋〕
魂の欠片についての記録

複数個所の探索の末、いくつかの魂の欠片を見つけた
相性の良いものを継ぎ合わせてはいくが
今後、自動人形に発生する自我や精神状態に、どう影響えいきょうがあるのか未知数であるため
ここに記録として残しておく。

・少年と思われる枯渇こかつした魂
森の奥、孤児院跡地こじいんあとちのそばにあった礼拝堂れいはいどうにて発見
存在自体はかなり薄く弱いものだったが、いまだ何かを求めてそこにとどまっていたので回収
暴力性はなし、ひどい魂の汚染は確認されなかったが、自我も感じなかった。
ここまで自我が無いのに五体満足ごたいまんぞくに形のそろった魂は珍しい。

・ぬいぐるみのそばにいた|浮遊魂《ルビふゆうこん
お世話になった玩具屋の倉庫にて発見した小さな浮遊魂
性別、年齢などがわからないほど気薄、もしかしたら魂ではなく、残り香の様な物だったのかもしれない。
ぬいぐるみの傍でただよっていたので連れ帰った、魂のかさましくらいにはなるかもしれない。
暴力性及び深刻な汚染はなかったが、ふらふらと気に入った場所に留まったり、遊んだりする様子がある。

・右手と左手の姉妹の魂
国立図書館にて発見、姉が右手で妹が左手らしい(本人たちが教えてくれた)
図書館内のあちこちをうろうろとし、姉妹で気に入った本をめくって読んでいた。
姉の方は読み書きと計算ができる状態で、妹の方は読み書きがやや未熟みじゅくだが絵が得意なようだ。
人形の知能向上につながるかもしれないと、彼女たちに協力を頼んでみたところ
朝から晩まで読み聞かせやお絵描きに付き合わされた。
結果的に回収できたので良しとしよう。
共に暴力性、汚染はほぼないが、やや好奇心旺盛こうきしんおうせいな面が見受けられる。

医療棟いりょうとうにいた子供の魂
王宮内に設けられた、医療棟に薬を届けに行ったさいに発見。
性別は分からないが、背丈や言動からまだ成人していない子供であることが見受けれらた。
聞けば昔ここで治療ちりょうを受けた患者かんじゃだとか、あの様子からうかがうに、おそらく病室を出ることは叶わなかったのだろう。
魂の継ぎ合わせのことを説明し、あらためて協力を頼んでみると
王宮内に設けられた、薔薇園ばらえんまで連れて行ってくれるなら、との事だったので
そのままその子を、医療棟から連れ出して薔薇園を歩いてみた。
窓からずっと見ていて、いつか行ってみたかったらしい。
この季節のため、薔薇はまだ一輪も咲いておらず、黒いいばらだけがうっそうと生えそろっていた。
仕方がないので幻影魔法げんえいまほうを使用し、一面に青い薔薇を咲かせてみた。
青は俺の好きな色だが、そこは我慢がまんしてもらおう。
結果的に、子供の魂は半分ほど成仏じょうぶつしてしまったが
かろうじて、もう半分は残してくれたのでこちらを回収した。

どれも小さく幼い魂の破片はへんだが、つなぎ合わせれば何とかなるだろう。
小さくもろい命でも、自我が芽生えてくれさえすれば、きっとなんとかなるはずだ。

(このメモはここで終わっている)
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