異世界母さん〜母は最強(つよし)!肝っ玉母さんの異世界で世直し無双する〜

トンコツマンビックボディ

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第26話 あたしはロメロの兄よ 後編

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ファミリアは子供達で賑わって、その風景を見てフユキは微笑んでいる

「ロメロが死んだら、この子たち全員が離れ離れになると思ったけど、カスミさんのおかげでそうならなかった。本当にありがとう」
「礼なんていらないよ。私だって同じ考えさね。ここで育った子たちはみんな兄弟(姉妹)みたいなもんだからみんな一緒に居るのが一番だよ」
「カスミが言うと説得力があるわね」
「私も子供の頃は色々とあったんだよ・・・そう、色々とね・・・」

普段、勝気なカスミがしんみりとしている姿を子供達が見ていて気まずく感じたのか話を変えようと慌てふためくワタルを察してフユキが魔導具の『レイゾウコ』を発見して話を持ち出す

「ところで去年、来た時には無かった魔導具の『レイゾウコ』があるのね。コレ、最新型じゃない?結構高かったでしょ?」

フユキが魔導具の事を聞いてきたのでワタルもすぐさま、魔導具の話に切り替えた

「その事なんですが、レイゾウコを買いに行った魔導具店で面白い事があったんですよ!」

➖数日前 魔導具店➖ 

「ここが魔導具店なのかい?なんだか日本の家電量販店みたいだね」
「『イディオン』って・・・何処のスペースラナウェイだよ」
「ワタル兄ちゃん、何言ってるかわからないよ。それよりも早く中に入ろうよ」

魔導具に興味があるロジーがどうしてもと言うので同行を許可してワタルと共に魔導具店を訪ねた

「なあ、ワタル。実を言うと私は機械音痴でね。こう言う類のものを買う時の値切り交渉の仕方が苦手なんだよ。アンタなら得意そうだから頼むよ!」
「そんな事言われてもボクだって交渉なんて得意じゃないですって!」

「いらっしゃいませ。何をお求めでしょうか?」

カスミ達の前に店長と思われる男がやって来た

「『レイゾウコ』を見にきたんですが・・・(店長の名前が『バフ・クラーン』ってオイ!」
「魔導具の事よくわからないだ。オススメなのはどいつだい?」
「レイゾウコを御所望ですか?それでしたらコチラにございます(しめた!コイツら魔導具に疎い!旧型のモノを新型と偽って売ってやる)」

魔導具に疎いとわかった店長はニヤリとほくそ笑み売れ残りのレイゾウコがある場所へカスミ達を先導する

「コチラが当店一番の最新型のレイゾウコでございます」

紹介されたレイゾウコは幅広く(約幅820×奥行754×高さ1,862mm)色はグランドアンバーグレーで自然な色合いと揺らぎのある質感のある冷蔵庫であった

「このレイゾウコはレイトウとチルドも完備されており操作もしやすく、そして何より『魔導石まどうせきの消費が少ないと来た!」
「へぇ、凄いじゃないか。それでこいつはいくらするんだい?」
「はい。今回は出血大サービス!40万クロノスのところを35万8500クロノスでお売りします!」
「40万が35万8500・・・あのもう少し安くなりませんか?」

値段交渉をして来たワタルに店長が笑顔(心の中で舌打ちする)になりながら答える

「お兄さん、流石は駆け引き上手!」
(ちっ!このガキが!生意気に値切り交渉?だがしかし!値切り交渉対策は対策済み!)
「そしたら、これでどうだ!35万きっかりだ!」
「35万きっかり・・・」カスミ&ワタル

一応は値切り交渉に成功したがそれでも購入を渋っている2人に店長が近づき笑顔で圧力を掛ける

「お客様!このレイゾウコは最新型ですよ!そのレイゾウコが35万きっかりの値段なんて破格だと思いませんか?もうこんなチャンス2度と来ないです!・・・よし!魔導石2個(1個5000)付けます!これでどうだ!」

店長の大盤振る舞い?に気に入ったのかカスミが購入を決めようとした時、姿が見えなかっロジーがカスミを手招きして隣のレイゾウコに指を指す

(かーちゃん!かーちゃん!コレ見てよ!)
「ロジー?そこに何かあるのかい?・・・!!!」
「凄いですよ!値切りに成功しましたよ!これ買いましょう!」
「(よし!上手くいった!)ありがとうございます!それでは・・・」

《b》《big》「ちょっと待ちな!」《/big》《/b》

購入を決めようとしたその時、カスミが待ったをかけた

「あのー。何かご不満がございましたか?」
「不満?大アリだよ!アンタ、このレイゾウコは最新型って言ったよね?でも、このレイゾウコの後ろにある物も同じもの物なのに30万の値札が貼られてるよ!これは一体、どういうことだい!」
「(しまった!後ろのやつの値札を取り忘れた!)そ、それはですね!あなた方に紹介したレイゾウコの色がとても人気でして昨日、入荷したばかりでして・・・」
「ただ、色が違うだけでこうも値段の差があるのも怪しいね。それにね」
「ひぃ!」

カスミがレイゾウコに手を置いて店長を睨みつけると、店長は睨みに圧倒されて大量の冷や汗をかき始めオロオロする

「このレイゾウコをよく見てみると傷跡が沢山発見したし目立つ汚れもある!あと扉も少し開きづらい!そして何より!」

バン!

カスミがレイゾウコの扉を開いて指を指すとそこには製造年式が記載されており、製造年式には3年前と記されていた

「ここに記されている年式は3年前って書かれているよ!アンタは古い型を最新型と偽って私に買わせようとしたね!」
「それって詐欺じゃないですか!この野郎!バフクラーンめぇぇ!」

店長の行為に怒り心頭になるワタルを即座に諌め、カスミは店長の胸ぐらを掴み再び睨む

「アンタは私らが魔導具に疎い事をいい事に売れ残り商品を偽った挙句に値段を誤魔化して儲けを得ようとするなんていい度胸じゃないか!自分のやってることがわかってるのかい?客を騙して儲けるなんて、立派な犯罪だろ!」
「ひぇぇぇぇ!も、申し訳ございませんでした!30万クロノスでお売りします!」

カスミの仁王と言わんばかりの迫力ある睨みに圧倒されて、店長は慌てて正規の値段で販売しようとするが、カスミはそれを許さず店長にヘッドロックを決めながら最新型のレイゾウコを要求した

「アンタねぇ!なに売れ残り商品を買わせようとしてるんだい!アンタは私らに『最新型』のレイゾウコを紹介したよね?だったら、ちゃんと最新型を見せなよ!」
「あのー。店長さん、この人に逆らわない方がいいですよ。カスミさんは曲がったことが大っ嫌いだから、店長さんみたいな人には情けようじゃないですよ」
「は、はい!かしこまりました!最新型はコチラになります!」 

店長は慌てて最新型のあるところに案内した

「コチラが先週、入荷されたばかりの最新型のレイゾウコ『フリーザ』でございます!」
「レイゾウコだけに『フリーザ』って・・・しかも、カラーデザインがまんまフリーザ様(最終段階)じゃないか・・・店長さん1つ聞きたいんですけど、このレイゾウコに金色に変わるボタンとかありませんか?」
「よくご存知ですね。この正面にあるボタンを押すと金色に輝きます」
「やっぱり・・・」
「そんなことよりも、このレイゾウコはいくらするんだい?当然、値切らせてくれるんだろうね?」

店長は胸ポケットから電卓を取り出して手早くボタンを押して電卓をカスミ達に見せる

「コチラのレイゾウコは45万となっていますが、ご迷惑をかけたお詫びとして40万でお売りします」
「40万?高いね。コレまだ安くなるよね?アンタのことだからまた騙そうとしてるだろ?」

値段に不満があるカスミは店長にアームロックを極める

「ぐぎぁぁぁ!騙してません!騙してません!」
「だとしても高い!もっと安くしな!出来るだろ?さあ、出来ろ!」
「わ、わかりました!35万クロノスでお売りしますぅ!だから許してください!」

カスミの繰り出したアームロックが強烈なのか店長が涙目になりながら値段を下げるが、当のカスミは納得していなかった

「・・・まだ、値下げ出来るよね?私は騙されないよ」
「本当にもう無理ですよ!これ以上値下げしたらウチは赤字です!」

ゴゴゴゴゴゴゴ

《b》《xbig》「出来るよね?」《/xbig》《/b》エコー音

「・・・・はい・・・」

店長は泣きながら値下げをするのであった

「あはははは!何よソレ?!あのバフが泣きながら値下げを?」

魔導具店の出来事を聞いたフユキが腹を抱えて笑い出した

「フユキさん、あの店の店長知ってるんですか?」
「彼とは学生時代の後輩よ。やたら生意気でセコイ商売ばかりしている守銭奴でみんなの嫌われものよ」
「ところで肝心のレイゾウコっていくらで買ったのよ?カスミのことだから、かなり値切ったんでしょ?」
「かーちゃんの値切りは凄かったぜ!最新型のレイゾウコを半額以下まで値下げしたんだ!」
「半額以下って・・・カスミはあんたは両津勘吉か!」

そして、雑談がしばらく続くとフユキがカスミに商売の話を持ちかけてきた 

「それで話を戻すのだけど、カスミさんのスキルで商売なんだけど、何よりも商売をする場所を借りないといけないのよ」
「確かにそうなんだけど、肝心の『デパート』が思いのほかデカくてね。召喚してもこのミスティじゃ無理そうだよ」
「だったら、レガイア王国で商売したらいいんじゃないかしら?」

レガイア王国で商売を持ちかけたフユキの意味は・・・

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