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第20話 領主の責務 完結編

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「一体何があったんだ?説明するんだクリフ!」
「そ、そうだよ!カスミさん達にメイド服を着せて、何をさせようとしていたんだ!?」

駆けつけた父親のスコットは、怒りをあらわにしていたが弟のスレイはオドオドとしていた

「聞いてくれよパパ!この女がオレを殴ったんだ!」
「殴っただって?それは本当なんですか?カスミさん?」
「ああっ!殴ったよ!まったく!アンタは自分の息子にどういう教育をしてるんだい!人の弱みにつけ込んでメイド服を着せて変な接客をさせたんだよ!」
(あんなこと言ってるけどカスミさん率先してメイド服に来てたよね。しかも、楽しそうに接客もしてたし)
「なんだって?クリフお前は、また市民を脅して不当な行為を!いい加減にしないか!いくら私でもかばい切れないぞ!私はもう領主ではないんだぞ!」

スコットの話を適当に聞きながらソファーにふんぞりかえりニヤニヤと笑い出す

「大丈夫でしょう。いくら領主を退いてもまだ権力はあるだろ?それに現領主様のスレイがこんなにも頼りないんだぜ。パパだってわかってるはずだろ?オレより優秀でパパにも期待されて領主になったのに当人のスレイは気弱な性格が災いして責務を真っ当できていない!そうだろ?スレイ?」

スレイを見下した目で見るクリフがテーブルに置いてあるカフェラテの入ったティーカップを一気に飲み干すと未だにオドオドしているスレイを見て大きくため息をつく。そして、スレイはと言うとクリフに呆れられていても俯いて無言であった

「まったく!兄より優れた弟ってのは、お前じゃないよな?どう考えても『ライナー』だよな?」
「『ライナー』?誰なの?」
「『ライナー』は末っ子で医者をやっておりまして」
「それよりもさぁ!カスミを騎士団に突き出してくれよ!パパなら簡単だろ?」」

カスミを睨みつけるクリフだがカスミ本人は呆れていた

「呆れたね。優秀な弟を妬んでやさぐれて」
「カ、カスミ!あんたハッキリ言い過ぎよ!相手を貴族なのよ!」
「関係ないよ!特にクリフはどうしようもないね!貴族と言うだけでやりたい放題やって何か問題が起これば親に尻拭いさせてるんだろ?スコット!アンタが乳母日傘にやってたからだろ!」
「そ、それは・・・そうなんですが・・・いざとなると、つい甘えが出てしまい・・・」

スコットの煮え切らない態度にクリフが煽りを立てるかの様に嘲笑いながらスコットに近付き肩を叩く
「いいじゃん!いいじゃん!甘やかしてくれていいんだよ♪権力は貴族の特権♪パーティーやって、弱い立場の人間を良いように使うのが何よりも楽しいんじゃないか!」
「それは『ヘル・プラント』って言う媚薬を使って使ってかい?」
「へ、ヘルなんだっけ?そんな媚薬があるんだ?言っとくけどオレが使ってるのは普通の薬だぜ」

『ヘル・プラント』と聞いてクリフの顔が少し曇りでしたが、クリフをとっさにシラを切るが、カスミはすぐに嘘と見抜いてていた

「・・・それで今日渡したその媚薬も普通の媚薬なんだろ?なら、今ここで飲んでみて証明しな。普通だって言うんなら問題ないだろ?」
「そ、それってオレの事を疑ってるのか!?いいぜ!飲んでやるよ!これが普通の媚薬なら、お前らどうなるかわかってるだろな!」
「受けて立つよ!主にワタルが相手するよ!」
「ちょ!何ボクを人身御供にしてるの?」
「い、言ったな!なら飲んでやるよ!(とは言ったものの『ヘル・プラント』はオレ自身で使ったことがないんだよな。コレ、麻薬みたいもんだし・・・でも少しだけなら大丈夫だよな・・・)」

クリフは『ヘル・プラント(偽物)』を飲もうとしたが媚薬の効果を知っているだけに飲むことを躊躇い冷や汗をかきはじめる

「何してるんだい?問題ないのなら飲めるだろ?」
(くっそー!あいつら絶対に飲めないことわかってるぞ!舐めやがって!どうせバレるんだ!こうなったら!)
「けっ!やめだ!やめだ!そうだよ!オレは『ヘル・プラント』の密輸と密売に関わってるよ!このことを知られた以上、お前たち全員消えてもらぞ!」

クリフが手に持っている媚薬(偽物)を床に投げ捨てると懐から黒い紙を取り出した

「黒い紙?クリフさんは何を?」
「クリフお前!何をやるつもりだ!」
「うるせぇ!使えない親父が!スレイ!貴様も同じだ!この無能領主が!」
「に、兄さん」
「カスミ!お前の噂は聞いてるぞ!かなり強いんだってなぁ!?でも、流石のお前もコイツには勝てないぜ!」

すると、クリフは手に持っている紙を天井に向けて掲げる
その紙には、魔法陣らしきものか描かれており、その紙から黒い光と共に、一体の魔物が召喚された。その魔物は、身の丈4メートルある黒い体に身に纏った羽の生やしている魔物であった

「な、なによアレ!?まさかとは思うけど魔物だったりする?」
「コイツはデーモン!下級悪魔だが、お前たちを始末するのに充分だ!」
「デーモン?おかしくないかい?デーモンって言ったら、白いペイントをしてる奴だろ?」
「カスミさん・・・。絶対言うと思ってましたよ。カスミさんが言ってるのはデーモン小暮です。
て言うか今はボケてる場合じゃないですよ!」
「ワレヲ呼ンダノハ、キサマダナ?ヨウケンハナンダ?」
「呼んだのは、このオレだ!命令だ!あそこにいる奴らを殺せ!」  
 
召喚されたデーモンに早速カスミ達を殺せと命令する

「自分で動かないで全て他人任せかい?他人に甘えて自分にも甘えて情け無い男だ!男だったら玉砕覚悟でも自分のこぶしでかかってきなよ!」 
「てめぇ!もう許さねえ!オレをキレさせたな!デーモン!この女だけは思いっきり苦しめて殺せ!」
「マカセロ!ヒサシブリノ人間ダ!シカモ2人モ女ガイル!オ前タチハサイゴダ!犯シ殺シテヤル!マズハオ前ラダ!野郎ドモ!ツーカヨ!コノテーブル邪魔ダ!」

デーモンは、オムライスとカフェラテが置いてあるテーブルを蹴り飛ばしオムライスが床に落ちて、それをさらに踏みつぶした

「!!!!」
「ヤバいわよ!まさか魔物を呼び出すなんて聞いてないわよ!カスミどうす・・・・!!」

アスナがカスミの方を見た途端、顔を真っ青になり思わず後ずさってしまいカスミはと言うと表情は怒りに満ちていて、まさに怒髪衝天であった

「もしかしてだけど、カスミってキレてるわよね?無茶苦茶怖いんだけど!何でキレてるの!?」
「・・・おそらくだけど、あのデーモンにオムライスをぐちゃぐちゃにされたからだと思うよ。実は1週間前にあったことなんだけど・・・」

➖ 1週間前➖

その日の夜
ファミリアではいつものようにみんなで夕食をとっている時の事である
夕食には野菜炒めがあった

「ゲゲぇー!またピーマンだよ!これ嫌いなんだよな」
「ロジー!ピーマン残したらダメだよ!ちゃんと食べてよ」
「そうだよ。ロジー君。好き嫌いは良くないよ」
「やーだよ!かーちゃんが見てないうちに捨てちゃおっと♪」

ロジーはカスミが目を離した隙を確認して、ピーマンの入った皿をゴミ箱に持って行きピーマンを捨てた

「!!!か、かーちゃん!?」

しかし、カスミはそれを見逃さず即座にロジーの背後に立ちロジーに見がけて《b》げんこつ《/b》を放った

《b》《x big》ゴンッ!《/x big》《/b》

《b》《xbig》「ロジー!食べ物を粗末にするんじゃない!」《/xbig》《/b》

その場にいたワタルを含む全員がカスミの恐ろしさに身の毛がよだっていた

・・・・
「それってつまり食べ物を粗末にしたからカスミは怒ったわけね?と言う事は今回はあのデーモンがオムライスを粗末にしたからキレたのね?」
「確かにその通りなんだけど、今カスミさんのステータスを見たけど『例のスキル』は発動してないし、レベルだって『1』のままなんだよ。今までは『例のスキル』が発動した状態で戦ってきたけど、今回の場合は何も無い状態で戦うことになるからデーモンに勝つのは難しいよ!」

「マズハ、ジジイ!キサマカラダ!」

「おい‼︎食べ物を粗末にするな!」

デーモンが意気揚々とスコットを殺しに掛かろうとしたところにカスミが正面から飛び掛かり、デーモンの顔面に渾身の右ストレートを放つ
右ストレートを食らったデーモンは、そのまま壁を突き破って空の彼方まで吹き飛ばされていった

「ねえワタル、もしかしたらカスミって現世の頃の身体能力が転生後にも引き継がれてるんじゃないかしら?あの動きって女子プロ時代のカスミそのものよ」  
「確かにそうかもしれないね。カスミさんの身体能力はステータスとは別ってことなのかもしれないね。それよりもカスミさんは?カスミさんのことだからクリフさんを絶対に殴るよ!今のキレた状態でクリフさんを殴ったら確実に殺しかねないよ!早く止めないと!」
「勝手に私を人殺しにさせるんじゃないよ!そんなことしなくても、クリフを殴る相手は他にいるよ!」

「そんな・・・馬鹿な!あのデーモンをが・・・はははっ・・」

打つ手のなくなったクリフがそのまま膝を落として倒れ込んだ
そして、そこには父親であるスコットが目の前に立っていて、スコットがクリフの顔に平手打ちを叩き込んだ

「この恥知らずが!大馬鹿もの!」
「そ、そうだよ兄さん!どうして密輸や密売なんてしたんだよ!」

クリフは俯きながら語り始め出した

「・・・・・優秀な親父やスレイには、わからないだろうが話してやるよ。親父たちも知ってるだろ、オレの出来の悪さをよ。スレイやライナーに比べるとオレは遥に劣っていた。それでもオレは親父の期待に応えるべく必死になって頑張ったよ・・・でも最初から親父はオレに期待していなかった!その事がきっかけでオレは落ちぶれたのさ」
「何を言っているんだ!私はお前にも期待していた!なのにお前が!」
「親父!気休めはやめろよ!オレが劣等生とわかった途端、ほったらかしにしたクセに!全てあんたのせいだ!・・・でも貴族だったおかげでトラブルを起こしても親父が全てモミ消してくれたから感謝はしてるよ。そして、いろんな悪事に手を染める内に1人の『魔族』と出会い、その誘いで『ヘル・プラント』の密輸にも加担した」
「『魔族』!?兄さんは魔族と繋がってたのかい?だから『ヘル・プラント』を!」
「ああ。そうさアレは高く売れるし女を抱く時に使うと最高な快楽を得られる最高の代物さ」

クリフの自分勝手な言い分や父親に対する責任転嫁に頭に来たカスミがクリフの胸ぐらを掴んで一喝する

「甘ったれんじゃいよ!己の不出来や落ちぶれたのを父親に責任転嫁!落ちぶれたのは、全て自分の弱さが招いたことだろう!そういうのをね!卑怯者って言うんだよ!」
「(なんだよコイツ!偉そうに!・・・なのに、この気持ち・・・はっ!」

➖クリフの回想➖

「クリフ!どうして、あんな事したんですか!」
「だって、あいつらが貴族のぼくに悪口を言ったんだ!」
「だからと言って暴力を振るっていいわけありませんよ!」

「(かあ様!)・・・・はは。そうだよな、確かにそうだ。今あんたに言われて目が覚めたよ。思い出したよ。昔、子供の頃に死んだお袋に『かあ様』に叱られた時の事を・・・馬鹿な事をしたよ」

そう呟きながらクリフは大粒の涙を流し始めた

ガチャ!

「レガイア騎士団だ!全員、おとなしくしろ!」

部屋の中にレガイア騎士団が入ってきた

「レガイア騎士団?一体誰が?」
「僕ですよ。旦那様」
「ジュンペイ?なぜ、お前が騎士団と一緒に?しかも鎧姿で」

ジュンペイと呼ばれた青年は騎士団と同じ鎧を着てカスミ達の前に現れた

「申し訳ございません。旦那様。実は僕の名前は『ジュンペイ・サクラバ』ではなく『ダイチ・ミサワ』と言います。この屋敷で、使用人として働かせていただいたのは潜入調査の為です。クリフさんには前々から違法薬物の所持や密輸などの疑いがありました」

ジュンペイ改めダイチの後から隊長のラルフと副隊長のイザークが部屋に入って来て、イザークがクリフに逮捕状を突き付けた

「クリフ・デルタ・ロックハート!お前を違法薬物の密輸と密売及び所持、未成年略取(以下略)の罪で逮捕する!」

イザークの掛け声でダイチと他の団員がクリフを拘束して連行して部屋を出ようとした時、クリフがスレイに向かって大声で言った

「スレイ!もう二度と会うこともないかもしれないが、もし再会した時にも、その情けないツラだったらぶん殴るぞ!こんな情けない兄貴のようになるんじゃないぞ!しっかりしろよ!『領主様』!」
「クリフ兄さん・・・・」

クリフの後ろ姿を見送るスコットとスレイにラルフが近づいて来てスコットにも逮捕状を見せる
 
「スコット・デルタ・ロックハートさん、あなたにも逮捕状が出ています。あなたの罪状は・・・」
「言わなくてもわかっております。私はクリフと共に罪を償わなければなりません」
「父さん!」

連行されていくスコットの後を追おうとしたが、後ろ姿のスコットに制止された

「スレイ!来るんじゃない!いいか!お前が領主として、この街をミスティを守らなくてはダメだ!決して私やクリフの様に道を踏み外すな!」
「と、父さん・・・わかったよ・・・・」
「それではカスミさん、我々はこれで失礼します。聴取のほうは後日、ファミリアに伺います」

そして、スコットはラルフ達に連行されて屋敷を後にする
スレイはスコットとクリフが見えなくなるまで後ろ姿を見送っていた

「行ってしまいましたね。なんだか色んな事があって疲れましたよ。ボク達も帰りましょうか」
「そうね。私もお腹すいちゃったわ。早く帰ってご飯にしましょ」
「いやいや、アスナちゃん何で当然の様にウチにご飯を食べに来てるの?君は教会に住まわせてもらってるんだから教会の方で食べればいいでしょう?」
「うっさいわね!いいじゃない!カスミの作るご飯は美味しいんだから!いいでしょ?カスミ・・・」

談笑していた2人を余所にカスミはスレイの様子が気になりスレイに声を掛けた

「スレイ、あんな事があった後だけど、これからはアンタがこの街を盛り立てていくんだよ」
「あの・・・そう言われましても・・・なかなか自信が持てなくて・・・僕が領主でも・・・」
「スレイ!」

バチーン!

スレイのあからさまな弱気な態度に腹を立てたカスミがスレイの顔に平手打ちを叩き込んだ

「ちょ!カスミさんまた!あんたは貴族に対して容赦ないですね!」
「な、何をするんですか!?」
「アンタのその弱気な態度には初めてあった時から気に食わなかったけど、心底気に入らないね!領主のクセになんだ、その弱気は!そんな事だから『お飾り領主』って呼ばれるんだよ!」
「カスミ!何もそこまで言わなくてもいいでしょ!家族が逮捕された後にそんな言い方!」
「そうですよ!もう少し優しく言ってあげて下さいよ!」

スレイに対してに情け容赦ない暴言にワタルとアスナが咄嗟にカスミを宥めるが逆に睨まれる

「何言ってんだい!領主がこんな弱気でどうすんだ!領主が弱気な態度じゃこの街の市民がついてこないよ!」
「じゃ、じゃあ、どうしたらいいんですか!領主になって日も浅いんですよ!」
「日が浅いのは関係ない!要はその気の弱さ!もっと自信を持ちな!その調子だから、顔にも現れて、周りに舐められるんだよ!シャキっとしな!」
「は、はい、わかりました・・・」
「声が小さい!返事はもっと大きくしな!」
「は、はい!すいません!」

バシン!

カスミはスレイの背中を思いっきり(一応手加減)叩く
 
「背筋が曲がってる!もう一回!」

カスミに思いっきり一喝されて背筋を伸ばして返事をする

「はい!すいませんでした!」

しっかりと返事をしたスレイだがカスミは何か気に入らなかった

「おい!スレイ!お前はどういうつもりだい!?」
「な、何がですか?」
「大の男が簡単に『すいません』なんて言うんじゃないよ!お前はこの街の領主だろ!」
「そ、そうですね!すいませんでした!」

言ってるそばから謝るスレイに堪忍袋のおが切れてカスミはスレイにネックハンギングツリーをかけた

「おーまーえーなぁ!私をおちょくってるのかい!男が簡単に謝るなって言ってるだろ!」
「あわわわっ!カスミさん何やってるんですか!流石にソレはまずいですよ!やめてください!」
「おおっ!この技はまさしく『ネック・シシド・ハンドツリー』じゃない!まさか、この技を間近で見れるなんて!感動だわ!」
「アスナちゃん!感心してないで一緒にカスミさんを止めてよ」

怒り心頭のカスミを2人がかりで宥める事、数分後にカスミも冷静になって帰り支度をする

「それじゃあ私達は帰るよ。それとスレイ!さっき言ったこと忘れるんじゃないよ!アンタはこの街の領主なんだから胸を張ってシャンとするんだよ!スコットやクリフの期待に応えるためにね!」
「はい!わかりました!カスミさん!ありがとうございました!僕は・・・俺がんばります!」

今のスレイの姿は、さっきの姿よりも凛々しく見えた

➖ファミリアへの帰り➖
「ホント、カスミの行動には肝を冷やしたわ。貴族相手に容赦なく殴ったり暴言吐いたり、普通の人はあんなことしないわよ」
「肝の座り方がハンパなさすぎですよ。この調子だと王族相手でも容赦なく殴ったり暴言を吐くよ。まさにONE PIECEのルフィだよ」
「何言ってんだいアンタ達。貴族だから悪い事をしていい訳ないだろ?私は誰であろうと容赦なく叱るよ」
「カスミ、あんたって現世の頃、よく生きて来れたわね。この世界だと下手したら秒で殺されるわよ」
「まさに『肝っ玉母さん』だね」
「確かにそうね」
2人が笑っている後ろでカスミが手をバキバキと鳴らしながら黒いオーラを漂わせていた

《b》《xbig》ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ《/xbig》《/b》

「それはそうとワタルにアスナ・・・屋敷でのメイド喫茶の『おまじない』をよくも私だけにやらせたね。覚悟はできてるだろうね」
「あ、あああのね!カスミ様!アレはは深いわけがあったのよ!」
「ボ、ボボクもね、カスミさんの声がはやみん(早見沙織)にそっくりだったから!是非ともはやみんボイスの『萌え萌え♪きゅん♪』が聞きたかったんですよ!」
「ちょっとカスミの背後に『滅』ってさん文字が出てるんですけど!」
「カスミさんどうかどうかご慈悲を!」

しかし、2人の言い訳はカスミの耳には届かった
そして、2人はカスミの瞬獄殺ばりの制裁を受けた

「ぎゃああああああ!」ワタルとアスナ

➖ロックハート邸➖

騒動から1時間が経過して、夕陽が沈む時にスレイはベランダから夕陽を見上げていた 
そこに、執事のモンシアが近づいてきて、スレイ話しかける

「スレイ様、お部屋の片付けが終わりました」
「ありがとうモンシア。君も今まで大変だったね。兄さんの尻拭いを手伝わされて」
「何をおっしゃいます。スレイ様の方が大変だったじゃないですか。旦那様とクリフ様があのようなことになってしい・・・・・」

スレイは振り向いてモンシアに苦笑いしながら話す

「仕方がないよ、いずれかはこうなるってわかっていたことだしね。父さんと兄さんには『お前だけは道を踏み外すな』って釘を刺されたから、領主としてこれから頑張らないと!」
「ほっほっほっ、なんだか一皮剥けた様ですな。失礼ながら、以前のスレイ様はどこか頼りなさげでしたが、今は頼もしく見えますよ」

スレイが、頭をかきながら顔を赤くし微笑む

「そう見えるかな?やっぱり、そう見えるかな?」
「ええっ。見えますとも。これも全てカスミ様のおかげですね」

カスミと聞いたスレイが咄嗟にモンシアの肩を掴み、息を荒くしながらモンシアに問いただした

「やっぱりモンシアもそう思うかい!そうだよね。そうだよね。僕がこんなにも変われたのもカスミさんのおかげなんだよ!あの時、カスミさんが面と向かって叱ってくれたことがきっかけで本当の『領主の責務』と言うのを教わった気がするよ!領主と言うのは、市民達では胸を張って自信を持って発言することが『領主の責務』だとね!」
「そ、それは、些か違う気がしますが・・・・」
「なあ、モンシア、俺さあ、カスミさんに叱られてからと言うものカスミさんの事を考えると凄く胸が熱くなるんだよ!カスミさんは超絶美人でスタイルも良く面倒見の良い素敵な女性だろ?その上、料理上手って言うじゃないか。そして何より、あの姉御肌なところが特に良い!コレが『恋』と言うものなのか?どう思うモンシア?」

カスミの事を熱く熱弁するスレイを見てモンシアは感動の余りに涙を流して喜んでいた

(よかったですね!スレイ様!彼女いない暦=年齢の『童貞』のあなたにも遂に春が来たんですね!)

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