1人は想像を超えられなかった

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第五章

命と引き換えた偽善

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(警察:彼が言うにはあなたに1週間ほど帰り道に家までつけられていると、なにより今彼の家の前にいるのが証拠だよ)

(せいや:あんたらは俺がストーカーしていると思い込んでいるだけだ!)

せいやはその場で事情聴取を受けた。
ストーカーと思われた男が被害者の帰り道をついていった理由はこうだ。

「せいやは被害者を見失わないように被害者とストーカー男についていく。
 実はストーカーじゃなかった男は自分をストーカーしているせいやから逃げるように被害者が逃げると同様、裏道を通った。
 しかも、被害者と家が近いのでストーカーされていると思い込まれていた。」

結果的にストーカー犯らしき一般人をせいやがストーカーしていたのだ。
せいやは罰金を受けた。
そこまでは良かった。

せいやは疲れ果てた顔で家に帰った。
その後いろいろ電話で聞いたが、やはりせいやは間違っていたと思う。

もう、正義感に飽きたせいやは暗い帰り道調査のことを思い出しながら歩いた。

そのとき、目の前から感じたことのある雰囲気を纏った女性とすれ違い、その女はヒールを履いていた。

甲高い音を立てながら通り過ぎたが足音が急に止まり、逆にこっちに向かってきている様子だった。

(せいや:なんか見覚えのある、、しかもついてきてない?)

せいやは早歩きをしたがやはり、一定の距離を置きながら追いかけてくるのがわかる。

今度はせいやがストーカーされる側となる皮肉的展開。

せいやは怖くなり、曲がり角の死角で隠れようとした。

コツコツ、コツコツ、だんだん近づいてくるがまだ音が遠いのに足音が止まった。

大丈夫かと恐る恐る後ろを見ながら歩き始めたら、目の前に気味が悪い雰囲気で裸足の女がいた。

せいやは思わず叫んでしまった。

(女:うわっ!…いきなり叫ぶなんてびっくりするじゃん。)

せいやは我に帰り、少し恥ずかしくなった。
(せいや:すみません笑。今少し気持ちに余裕がな…)

せいやはみぞおちに灼熱の痛みが走った。

(女:君は偽善者だ、人騒がせで手間をかける人間だったけど今私は一つ助かった。後一つだけあるけど)

そう、せいやの行動は全てこの女にストーカーされて知られていたのだ。

次の日せいやは目の無い状態で腹をナイフで刺されて発見され、ニュースになった。そして特徴を少し出された犯人は見つかっていない。

俺は悲しみと恐怖と怒りで大声で泣き叫んだ。

(俺:せいやは確かに人を見過ぎた、でもそれだけで目を取ったり殺したりするのは人間がやることじゃねぇ!!!)

俺は犯人をせいやに代わって偽善で犯人を探そうと思った。

だが、俺はニュースを見た瞬間血の気が引いて倒れそうになった。

冷静になり、俺は、、今、、必死に逃げることに決めた。
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