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大事な摂理を守った悲劇
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とある村には限られたたくさんの木があった。
木は家や生活に欠かせない存在であり、毎日一本は伐採していた。
もちろん限られているので使い方は賢い選択をしていた。
そしてたくさんの生命体の犠牲も同時に生んだ。
虫には気にしないのが一番良い。
村の子供「ジュン」は窓から見える林を毎朝見ていた。
家の目の前にある木にはよく見ると鳥の巣ができている。
最近作られたのだろう。その村特有の鳥が新しい暮らしを見つけていたのだ。
(ジュン:この鳥たちはいつ無くなるかわからない木を家にして怖くないのかな?)
純粋な疑問だがそこには沢山の問題点が詰まっている。
一つ一つ木が消えていくなかで、いつかは必ず順番が回ってくる。
もちろん木こりの人間も鳥が巣を作っていることに気づいている。そして、鳥がいるはずの木も切り倒す対象としていた。
これは運命なのだろうか?木こりとジュンはもう一つのことにはまだ気づいていない。
ある朝、ジュンはあることに気がついた。
鳥の家族にはヒナがいたことを。
親鳥は毎回餌をとりに巣を留守にする。
そうすればガラスがヒナを狙う、それをジュンは威嚇で毎回阻止していた。
寒い夜まで頑張る鳥をジュンは木を燃やした暖炉で見ていた。
やはり、毎日見ていれば可愛いという感情が芽生え木を切ることに反対したいという気持ちも出てくる。
その曖昧な気持ちを抱きながら暖炉の炎を見つめた。
その炎は何かにとても似ていた。
雨が降っていても自分の子供に親鳥は命をかけて世話をする。これは人間界でも変わらないこと。
村に目を向ければ自分の家族を守るために必死で働いている。
木こりもそのうちの1人であり、村を継続させるために必死に木を切る。
他の村でもこんな日常なのだろうか?ジュンは思う。
いつしかジュンは他の暮らしを見てみたくなった。なんせ自分の村は木に囲まれている食料不足気味の村なのだから。
自分の村に不安を感じたのでジュンは1週間見学に行くことにした。まず、近くにあるA村に足を運んだ。
そこは、自然が少なかった。
生活は不便ではないが、木材がないため明かりなどには苦労しているように見える。
それに比べたら自分の村の現状はとても安定しているように見えた。
A村の村長は言う。
(村長:この村は元々自然に溢れていて緑がとても綺麗だった。今はないけど食料に困っていないから別に気にしないな。)
(ジュン:ふーん、ならその食料はどこから入手しているの?)
(村長:まあそれは生態系があるから途絶えることはない。当たり前だろう。)
(ジュン:そうなんだ。やっぱり生き物は食べれられるし、とても良いものなんだね!)
(村長:そう、人間は動物がいないと生きていけないんだ。)
(ジュン:確かに、でもこの村には自然が少ないよ。)
そんな思いを持ちながらジュンはA村を後にした。
次に自然がたくさんあるB村に足を運んだ。
(ジュン:村長さん!私、A村に行ったんだけど食料は動物に頼っていた。この村は自然が多いみたいだけどどうなの?)
(村長:この村には水も木材もとにかく資源が沢山あるんだ。だから農業に勤しんでいるよ)
ジュンは農業ならば継続できるかもしれないと考えた。
(ジュン:でも、その資源がなくなったらどうなっちゃうの?村の人たちも生活できなくなるじゃない。)
(村長:その時は今まで依存していなかったから動物を主に食べ始めようと思っている。)
(ジュン:やっぱりどちらかは無くなっちゃうんだ。)
ジュンは悲しくなった。
自分の村に帰ったジュンは驚くべき現実を目の当たりにした。
そこには木が数えられるほどにしかない変わり果てた自分の村があった。
なにせ1週間しかいなかっただけでこんなにも変わり果てると言う事実に唖然とした。
(ジュン:鳥の家族は?!)
走って家に帰り、巣を確認した。
鳥の家族にはヒナが3匹いた。
口を開けて餌を待っている。
ジュンはその姿を見て安心した。
だけど、もう残りの木は少なくなってきている。
ジュンは木こりにこう言った。
(ジュン:この木は許可を得たとしても切らないでね!!切るなら鳥の家族から許可を得て!)
(木こり:そんなことを言われてももう切る木がこれくらいしかないんだよ。)
人々は何も気づいていなかった。
(ジュン:でも、この木を切れば村から木がひとつもなくなっちゃうよ?どうせ、もうすぐなくなるならこの木だけは残してあげて!)
(木こり:じゃあ切らずに残しとく、ただ結局は生活が不便になるぜ?)
そんなこんなで鳥の家族だけは助かった。
その村はじきに、消滅した自然の影響から動物がいなくなり、食料も無くなってしまった。
ただ一本だけ鳥の巣と共に木が存在する村となってしまった。
ジュンは鳥に語りかける。
(ジュン:こんなことになるなら木の使い方を考えればよかったね。自然は有限なんだ。)
(鳥:違うよ?)
鳥がそんなふうに言っている気がした。
この物語は鳥だけが知っていた。
鳥を犠牲にして木を得るにも、木を切らずに鳥を助けるのもどちらも違っていたらしい。
人間は一方に目を向けると、その考えに依存してしまう。
なぜ、その村は木を切らなければいけなかったのだろうか?
なぜ、食料を動物に頼らなければいけないのだろうか?
その理由は「現代の生き方では当たり前だから。」
ただその考えを否定したかったジュンは惜しかった。
木は家や生活に欠かせない存在であり、毎日一本は伐採していた。
もちろん限られているので使い方は賢い選択をしていた。
そしてたくさんの生命体の犠牲も同時に生んだ。
虫には気にしないのが一番良い。
村の子供「ジュン」は窓から見える林を毎朝見ていた。
家の目の前にある木にはよく見ると鳥の巣ができている。
最近作られたのだろう。その村特有の鳥が新しい暮らしを見つけていたのだ。
(ジュン:この鳥たちはいつ無くなるかわからない木を家にして怖くないのかな?)
純粋な疑問だがそこには沢山の問題点が詰まっている。
一つ一つ木が消えていくなかで、いつかは必ず順番が回ってくる。
もちろん木こりの人間も鳥が巣を作っていることに気づいている。そして、鳥がいるはずの木も切り倒す対象としていた。
これは運命なのだろうか?木こりとジュンはもう一つのことにはまだ気づいていない。
ある朝、ジュンはあることに気がついた。
鳥の家族にはヒナがいたことを。
親鳥は毎回餌をとりに巣を留守にする。
そうすればガラスがヒナを狙う、それをジュンは威嚇で毎回阻止していた。
寒い夜まで頑張る鳥をジュンは木を燃やした暖炉で見ていた。
やはり、毎日見ていれば可愛いという感情が芽生え木を切ることに反対したいという気持ちも出てくる。
その曖昧な気持ちを抱きながら暖炉の炎を見つめた。
その炎は何かにとても似ていた。
雨が降っていても自分の子供に親鳥は命をかけて世話をする。これは人間界でも変わらないこと。
村に目を向ければ自分の家族を守るために必死で働いている。
木こりもそのうちの1人であり、村を継続させるために必死に木を切る。
他の村でもこんな日常なのだろうか?ジュンは思う。
いつしかジュンは他の暮らしを見てみたくなった。なんせ自分の村は木に囲まれている食料不足気味の村なのだから。
自分の村に不安を感じたのでジュンは1週間見学に行くことにした。まず、近くにあるA村に足を運んだ。
そこは、自然が少なかった。
生活は不便ではないが、木材がないため明かりなどには苦労しているように見える。
それに比べたら自分の村の現状はとても安定しているように見えた。
A村の村長は言う。
(村長:この村は元々自然に溢れていて緑がとても綺麗だった。今はないけど食料に困っていないから別に気にしないな。)
(ジュン:ふーん、ならその食料はどこから入手しているの?)
(村長:まあそれは生態系があるから途絶えることはない。当たり前だろう。)
(ジュン:そうなんだ。やっぱり生き物は食べれられるし、とても良いものなんだね!)
(村長:そう、人間は動物がいないと生きていけないんだ。)
(ジュン:確かに、でもこの村には自然が少ないよ。)
そんな思いを持ちながらジュンはA村を後にした。
次に自然がたくさんあるB村に足を運んだ。
(ジュン:村長さん!私、A村に行ったんだけど食料は動物に頼っていた。この村は自然が多いみたいだけどどうなの?)
(村長:この村には水も木材もとにかく資源が沢山あるんだ。だから農業に勤しんでいるよ)
ジュンは農業ならば継続できるかもしれないと考えた。
(ジュン:でも、その資源がなくなったらどうなっちゃうの?村の人たちも生活できなくなるじゃない。)
(村長:その時は今まで依存していなかったから動物を主に食べ始めようと思っている。)
(ジュン:やっぱりどちらかは無くなっちゃうんだ。)
ジュンは悲しくなった。
自分の村に帰ったジュンは驚くべき現実を目の当たりにした。
そこには木が数えられるほどにしかない変わり果てた自分の村があった。
なにせ1週間しかいなかっただけでこんなにも変わり果てると言う事実に唖然とした。
(ジュン:鳥の家族は?!)
走って家に帰り、巣を確認した。
鳥の家族にはヒナが3匹いた。
口を開けて餌を待っている。
ジュンはその姿を見て安心した。
だけど、もう残りの木は少なくなってきている。
ジュンは木こりにこう言った。
(ジュン:この木は許可を得たとしても切らないでね!!切るなら鳥の家族から許可を得て!)
(木こり:そんなことを言われてももう切る木がこれくらいしかないんだよ。)
人々は何も気づいていなかった。
(ジュン:でも、この木を切れば村から木がひとつもなくなっちゃうよ?どうせ、もうすぐなくなるならこの木だけは残してあげて!)
(木こり:じゃあ切らずに残しとく、ただ結局は生活が不便になるぜ?)
そんなこんなで鳥の家族だけは助かった。
その村はじきに、消滅した自然の影響から動物がいなくなり、食料も無くなってしまった。
ただ一本だけ鳥の巣と共に木が存在する村となってしまった。
ジュンは鳥に語りかける。
(ジュン:こんなことになるなら木の使い方を考えればよかったね。自然は有限なんだ。)
(鳥:違うよ?)
鳥がそんなふうに言っている気がした。
この物語は鳥だけが知っていた。
鳥を犠牲にして木を得るにも、木を切らずに鳥を助けるのもどちらも違っていたらしい。
人間は一方に目を向けると、その考えに依存してしまう。
なぜ、その村は木を切らなければいけなかったのだろうか?
なぜ、食料を動物に頼らなければいけないのだろうか?
その理由は「現代の生き方では当たり前だから。」
ただその考えを否定したかったジュンは惜しかった。
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