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第四章 戦花の魔女
第112話 シチュー作れる?
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男の子の肩には小さなポシェット。ポシェットの口からは、細長い赤色の草がちらりと顔をのぞかせていた。確かあれは、魔法薬の材料になる薬草だったはず。薬草を採りに迷いの森へ入ったはいいが、魔獣に出くわしてしまったというところだろう。
彼を追いかける魔獣は、迷いの森に何頭か生息しているオオカミの仲間。だが、普通のオオカミとは異なり、頭を二つ持っている。群れを作る種ではなく、見た目のわりに力もそこまで強くはない。
私は、魔法で杖を取り出し魔獣に向ける。杖に魔力を込めると、青白い光とともに、魔力の塊が発射された。それは、ものすごいスピードで魔獣にぶつかり、その体を吹き飛ばした。
こちらを振り向いた彼と目が合う。年齢は、おそらく私よりも下。細身のパンツにパーカー。その額にはキラリと光る汗。混乱した様子の彼は、何も言わずにただ私を見つめていた。
さて、助けたはいいけど、この後はどうしたらいいのかな? 「大丈夫?」って聞くべき? それとも、「怪我はない?」とか? いや、いっそのこと、何も言わずに立ち去るって手も……。
その時、ふとある考えが頭をよぎる。突拍子もなくて。不思議で。どこか笑ってしまうような。そんな考え。
単なる気まぐれ? 好奇心? よく分からない。けれど、何となく聞いてみたい。
「ねえ、君」
「は、はい」
彼の声からは、確かな緊張がにじみ出ている。私は、彼に警戒されないよう、ゆっくりと優しくこう告げた。
「シチュー作れる?」
彼を追いかける魔獣は、迷いの森に何頭か生息しているオオカミの仲間。だが、普通のオオカミとは異なり、頭を二つ持っている。群れを作る種ではなく、見た目のわりに力もそこまで強くはない。
私は、魔法で杖を取り出し魔獣に向ける。杖に魔力を込めると、青白い光とともに、魔力の塊が発射された。それは、ものすごいスピードで魔獣にぶつかり、その体を吹き飛ばした。
こちらを振り向いた彼と目が合う。年齢は、おそらく私よりも下。細身のパンツにパーカー。その額にはキラリと光る汗。混乱した様子の彼は、何も言わずにただ私を見つめていた。
さて、助けたはいいけど、この後はどうしたらいいのかな? 「大丈夫?」って聞くべき? それとも、「怪我はない?」とか? いや、いっそのこと、何も言わずに立ち去るって手も……。
その時、ふとある考えが頭をよぎる。突拍子もなくて。不思議で。どこか笑ってしまうような。そんな考え。
単なる気まぐれ? 好奇心? よく分からない。けれど、何となく聞いてみたい。
「ねえ、君」
「は、はい」
彼の声からは、確かな緊張がにじみ出ている。私は、彼に警戒されないよう、ゆっくりと優しくこう告げた。
「シチュー作れる?」
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