大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

takemot

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第二章 郵便屋さん

第36話 別に、本当のことを言ったまでだよ

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「つまり、明日の郵便配達を手伝ってほしいってことですか?」

 僕の言葉に、郵便屋さんはコクリと頷きました。

「そうだね。まあ、郵便配達の仕事をするのは初めてだろうから、ある程度のことはボクが教えてからになると思うけど。でも、弟子ちゃんは飲み込みが早いからね。すぐに仕事ができるようになるよ」

「それは……過大評価な気もしますが」

「いや。全然そうじゃない。弟子ちゃんが優秀な魔法使いだってこと、ボク知ってるから」

 じっとこちらを見つめる郵便屋さん。その表情は、真剣そのもの。冗談で言っているようには見えません。

 そういえば、僕、師匠以外の人に真っ直ぐ褒められるのってあんまりないかも。

 もちろん、褒められたことがないわけではありません。仕事先で褒められたことだって何度もあります。でも……。

『さすがは、森の魔女様のお弟子さんだ』

 僕は、こんな褒め方ばかりされるのです。そう。それは、僕自身を褒めるというより、師匠を褒める言葉。師匠を褒められて嬉しいという思いが生まれると同時に、まだまだ僕は師匠と対等ではないのだと自覚させられる言葉。

 だからこそ、郵便屋さんの言葉は、僕の胸に強く強く響いたのでした。

「郵便屋さん」

「何かな?」

「ありがとうございます」

「別に、本当のことを言ったまでだよ。で、明日、どうかな?」

「……まあ、郵便屋さんにはいつもお世話になってますしね。やりますよ」

 僕がそう答えると、郵便屋さんは、ニコリと優しく微笑むのでした。
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