大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。

 薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。
「シチュー作れる?」
 …………へ?

 彼女の正体は、『森の魔女』。
 誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。
 そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。
 どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。
「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」
「あ、さっきよりミルク多めで!」
「今日はダラダラするって決めてたから!」
 はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。
 子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。
 でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。

 師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。

 表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。
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