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第三章
(06)
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ローウェルにどう思われようと、アシュリーに後ろめたい気持ちはない。ならば真っ直ぐに目を見て、伝えればいい。
アシュリーは視線を上げ、きちんとローウェルの目を見ながら口を開いた。
「……そう取られてもおかしくないことをしたと、自覚はしています。ですが、婚約を白紙にするためにラインフェルト副団長を誘ったわけではないし、相手が誰でも良かったわけでも、ありません」
「ふうん……なら、もし縁談の相手に昨日の夜のことが知れたらどうするの? 家柄的には相手の方が上で、実質君の家は断れない。なのにアシュリーちゃんの意思を尊重してくれるぐらい、相手は君のことが好きみたいだ。逆上して突き放される可能性もあれば、不貞をしたから婚約、結婚しろと迫ることもあり得るよね」
「あ……」
鋭い返しに、アシュリーの口からは次の言葉が出てこなかった。
王族に嫁ぐ場合でない限り、望ましくはあるものの、処女であることはあまり重く見られない。
ただし、貴族の中にも重要視する者はいて、アシュリーにもたらされた縁談の相手がそう言った人物でないとは言い切れなかった。
突き放されたら、家からも縁を切られるだろう。そのときは受け入れてくれる修道院を探し、そこでひっそりと暮らしていくつもりだった。
けれどもし、逆に婚約を迫られたら?
自分に自信がない彼女は、突き放されたときのことは考えられても、それでもと望まれたときのことは、考えすらしていなかったのだ。
何も言葉を返せないまま、アシュリーが必死にそのときの打開策を考えていると、正面から深いため息が零された。そこにいるのは、ローウェルしかいない。
「……まあ、そんなことだろうとは思ってたけど。アシュリーちゃんが自分に自信がないことなんて今更だし、前は《ヴィルヘルムの幸せを遠くから見守る名無しのモブB》になりたいって言ってたもんね」
「す、みません……」
「そもそも今回のことだって、ちゃんと話をしてもらうために作ってあげた機会なのに、どうしてすれ違いが加速して拗れてるの。まあ、側から見てると楽しいからいいけど」
「え?」
言葉の真意を知りたくて問い掛けようとしたけれど、その前に笑顔でそれ以上の問い掛けを拒絶される。
「んーん、何でもない。にしても、アシュリーちゃんは自分が誘ったって言うし、ヴィルヘルムは強引に事を進めたって言うし、お互いに相手を庇ってて君たち本当にお似合いだよね」
唐突に落とされた爆弾に、アシュリーは目を瞬かせた。
言葉の意味を理解してもアシュリーの頭から疑問符は消えてはくれない。
困惑と喜びと申し訳なさが混じったような、何とも言えない表情でローウェルを見るけれど、彼は先ほどまでの無表情を感じさせない楽しげな笑みをその顔に浮かべていた。
色んな気持ちでぐるぐる回っているアシュリーの思考を断ち切るように、
「まあ、でも」
と、ローウェルは仕切り直すように言葉を続けた。
「今回のことはこうなるところまで予測できなかったボクにも落ち度がある。別に悪いことしたわけでもないし、アシュリーちゃんにもヴィルヘルムにも、罰を与えようってことは考えてないから安心して。さっきの質問も、アシュリーちゃんの気持ちをちゃんと確認したかっただけだから」
言われた言葉に、アシュリーはローウェルを凝視する。掴みどころがないのは確かだが、どうしてかその言葉は嘘ではないと思えた。
緊張で強張っていた体の力が抜けていく。
けれど、アシュリーの気持ちを確認したとして、その気持ちが実ることはない。わかっているからこそ、叶わない片想いに胸が苦しかった。
「改めて、昨夜はお疲れ様。食事は取らせてあげられなかったけど、代わりに給金多く付けておくから、それで美味しいものでも食べて、また仕事頑張って」
「……そのお話、なのですが、今回のお仕事、わたしはきちんと完遂できませんでした。ですから、給金は頂けません。……軽率な行動で、館長にもご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした」
「……アシュリーちゃんがそう言うなら考えておくけど、ボクは謝罪より、ふたりがちゃんと話し合ってくれた方が嬉しいかなー?」
「っそもそも、その話って一体、何なんですか? 知ってるなら館長が教えてくれても──」
事情を知っているらしいローウェルが、何度も口にする言葉。そこに突っ込めば、躊躇なくローウェルは首を横に振った。
「それはだーめ。あまりのすれ違いっぷりがおもしろ……悲しくて、ここまで首を突っ込んだけど、この話はちゃんとヴィルヘルムの口から聞くべきだ」
断言されてしまったら、アシュリーも何も言えなくなる。
「ただ、うーん……ひとつ言えるとするなら、アシュリーちゃんにとって悪い話ではないと思うよ」
ね、と言い聞かすように言われて、納得はできなかったが、これ以上追及しても、はぐらかされるのが目に見えていた。
「──ヴィルヘルム様、とお話できるように、善処はしてみます」
「善処どころか壁ドンする勢いで迫ってくれていいよ?」
「実行しない方向で検討しておきます」
この人は一体何を言っているのだろう、とは思ったが、間違いなく面白がっていることがわかったので、アシュリーはなるべく冷静に言葉を返した。
残念だなあと、本当にそう思ってるのかわからない声音でローウェルが呟く。
ひとまず、そこで話題が途切れ、ちょうどいいタイミングで扉がノックされた。
ローウェルが入室の許可を出すと、執事らしき壮年の男性とカートを押した侍女たちが入ってきて、テーブルの上に朝食が並べられる。
狐色に焼けたパン。甘酸っぱい香りのするジャム。デミグラスソースのかかったオムレツ。マッシュポテトに色とりどりのサラダ。カリカリに焼けたベーコン。
ふわりと香り立つのは、湯気の立った鮮やかな水色の紅茶だ。
ごくり、とアシュリーの喉が鳴った。
「とりあえず朝食用意したから食べて。食べ終わったらアパートまで送らせるから、一回着替えて、それから出勤すること。今日は呼び出さないからデスクワークでちゃんと働いて定時に帰るのがアシュリーちゃんの今日の仕事ね」
有無を言わさない口調だったが、それはアシュリーのことを気遣ってのことだとわかってしまった。
紅茶を啜ってから、ローウェルはアシュリーに視線を向ける。
「返事は?」
「は、い、……っありがとう、ございます、館長」
「どーいたしまして」
勧められて飲んだ紅茶も口にした朝食も、どちらもとても美味しかった。
食事中、ローウェルが野菜が食べたくないとゴネて、執事に論破されて食べさせられていたり、節度を守りつつも、使用人たちはローウェルに対して躊躇がなく、予想以上に賑やかな食事に驚く。
そうして楽しく食事をしたアシュリーは、ずっと世話をしてくれた使用人の彼女にアパートまで送ってもらい、同じ服を連日着ては邪推されやすいからと別の仕事服に着替え、職場へと向かった。
ローウェルは本当にアシュリーにデスクワークしかやらせないつもりらしく、出勤すると、机の上が書類まみれになっている。それらを一心不乱に片付けていたらいつの間にか定時になっていた。
──仕事をしている間は、ヴィルヘルムのことを考えずに済む。
そのことに気付いて数日、今日まで、アシュリーはこれでもかと仕事に逃げていた。
アシュリーは視線を上げ、きちんとローウェルの目を見ながら口を開いた。
「……そう取られてもおかしくないことをしたと、自覚はしています。ですが、婚約を白紙にするためにラインフェルト副団長を誘ったわけではないし、相手が誰でも良かったわけでも、ありません」
「ふうん……なら、もし縁談の相手に昨日の夜のことが知れたらどうするの? 家柄的には相手の方が上で、実質君の家は断れない。なのにアシュリーちゃんの意思を尊重してくれるぐらい、相手は君のことが好きみたいだ。逆上して突き放される可能性もあれば、不貞をしたから婚約、結婚しろと迫ることもあり得るよね」
「あ……」
鋭い返しに、アシュリーの口からは次の言葉が出てこなかった。
王族に嫁ぐ場合でない限り、望ましくはあるものの、処女であることはあまり重く見られない。
ただし、貴族の中にも重要視する者はいて、アシュリーにもたらされた縁談の相手がそう言った人物でないとは言い切れなかった。
突き放されたら、家からも縁を切られるだろう。そのときは受け入れてくれる修道院を探し、そこでひっそりと暮らしていくつもりだった。
けれどもし、逆に婚約を迫られたら?
自分に自信がない彼女は、突き放されたときのことは考えられても、それでもと望まれたときのことは、考えすらしていなかったのだ。
何も言葉を返せないまま、アシュリーが必死にそのときの打開策を考えていると、正面から深いため息が零された。そこにいるのは、ローウェルしかいない。
「……まあ、そんなことだろうとは思ってたけど。アシュリーちゃんが自分に自信がないことなんて今更だし、前は《ヴィルヘルムの幸せを遠くから見守る名無しのモブB》になりたいって言ってたもんね」
「す、みません……」
「そもそも今回のことだって、ちゃんと話をしてもらうために作ってあげた機会なのに、どうしてすれ違いが加速して拗れてるの。まあ、側から見てると楽しいからいいけど」
「え?」
言葉の真意を知りたくて問い掛けようとしたけれど、その前に笑顔でそれ以上の問い掛けを拒絶される。
「んーん、何でもない。にしても、アシュリーちゃんは自分が誘ったって言うし、ヴィルヘルムは強引に事を進めたって言うし、お互いに相手を庇ってて君たち本当にお似合いだよね」
唐突に落とされた爆弾に、アシュリーは目を瞬かせた。
言葉の意味を理解してもアシュリーの頭から疑問符は消えてはくれない。
困惑と喜びと申し訳なさが混じったような、何とも言えない表情でローウェルを見るけれど、彼は先ほどまでの無表情を感じさせない楽しげな笑みをその顔に浮かべていた。
色んな気持ちでぐるぐる回っているアシュリーの思考を断ち切るように、
「まあ、でも」
と、ローウェルは仕切り直すように言葉を続けた。
「今回のことはこうなるところまで予測できなかったボクにも落ち度がある。別に悪いことしたわけでもないし、アシュリーちゃんにもヴィルヘルムにも、罰を与えようってことは考えてないから安心して。さっきの質問も、アシュリーちゃんの気持ちをちゃんと確認したかっただけだから」
言われた言葉に、アシュリーはローウェルを凝視する。掴みどころがないのは確かだが、どうしてかその言葉は嘘ではないと思えた。
緊張で強張っていた体の力が抜けていく。
けれど、アシュリーの気持ちを確認したとして、その気持ちが実ることはない。わかっているからこそ、叶わない片想いに胸が苦しかった。
「改めて、昨夜はお疲れ様。食事は取らせてあげられなかったけど、代わりに給金多く付けておくから、それで美味しいものでも食べて、また仕事頑張って」
「……そのお話、なのですが、今回のお仕事、わたしはきちんと完遂できませんでした。ですから、給金は頂けません。……軽率な行動で、館長にもご迷惑をお掛けし、申し訳ございませんでした」
「……アシュリーちゃんがそう言うなら考えておくけど、ボクは謝罪より、ふたりがちゃんと話し合ってくれた方が嬉しいかなー?」
「っそもそも、その話って一体、何なんですか? 知ってるなら館長が教えてくれても──」
事情を知っているらしいローウェルが、何度も口にする言葉。そこに突っ込めば、躊躇なくローウェルは首を横に振った。
「それはだーめ。あまりのすれ違いっぷりがおもしろ……悲しくて、ここまで首を突っ込んだけど、この話はちゃんとヴィルヘルムの口から聞くべきだ」
断言されてしまったら、アシュリーも何も言えなくなる。
「ただ、うーん……ひとつ言えるとするなら、アシュリーちゃんにとって悪い話ではないと思うよ」
ね、と言い聞かすように言われて、納得はできなかったが、これ以上追及しても、はぐらかされるのが目に見えていた。
「──ヴィルヘルム様、とお話できるように、善処はしてみます」
「善処どころか壁ドンする勢いで迫ってくれていいよ?」
「実行しない方向で検討しておきます」
この人は一体何を言っているのだろう、とは思ったが、間違いなく面白がっていることがわかったので、アシュリーはなるべく冷静に言葉を返した。
残念だなあと、本当にそう思ってるのかわからない声音でローウェルが呟く。
ひとまず、そこで話題が途切れ、ちょうどいいタイミングで扉がノックされた。
ローウェルが入室の許可を出すと、執事らしき壮年の男性とカートを押した侍女たちが入ってきて、テーブルの上に朝食が並べられる。
狐色に焼けたパン。甘酸っぱい香りのするジャム。デミグラスソースのかかったオムレツ。マッシュポテトに色とりどりのサラダ。カリカリに焼けたベーコン。
ふわりと香り立つのは、湯気の立った鮮やかな水色の紅茶だ。
ごくり、とアシュリーの喉が鳴った。
「とりあえず朝食用意したから食べて。食べ終わったらアパートまで送らせるから、一回着替えて、それから出勤すること。今日は呼び出さないからデスクワークでちゃんと働いて定時に帰るのがアシュリーちゃんの今日の仕事ね」
有無を言わさない口調だったが、それはアシュリーのことを気遣ってのことだとわかってしまった。
紅茶を啜ってから、ローウェルはアシュリーに視線を向ける。
「返事は?」
「は、い、……っありがとう、ございます、館長」
「どーいたしまして」
勧められて飲んだ紅茶も口にした朝食も、どちらもとても美味しかった。
食事中、ローウェルが野菜が食べたくないとゴネて、執事に論破されて食べさせられていたり、節度を守りつつも、使用人たちはローウェルに対して躊躇がなく、予想以上に賑やかな食事に驚く。
そうして楽しく食事をしたアシュリーは、ずっと世話をしてくれた使用人の彼女にアパートまで送ってもらい、同じ服を連日着ては邪推されやすいからと別の仕事服に着替え、職場へと向かった。
ローウェルは本当にアシュリーにデスクワークしかやらせないつもりらしく、出勤すると、机の上が書類まみれになっている。それらを一心不乱に片付けていたらいつの間にか定時になっていた。
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